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欧州経済通貨統合(EMU)

平成13年5月

EMU:3段階のアプローチ

アプローチ
1989年4月発表「ドロール報告書」(「欧州共同体の経済通貨同盟に関する報告書」)で示されたもの
(同報告書は同年6月のマドリッド閣僚理事会で了承)


ユーロ参加国(12ヶ国)

ユーロ12

・ユーロ圏の誕生
  世界GDP比(%) 世界貿易額比(%)
ユーロ圏 22.7  14.1 
(EU15) (29.5) (14.9)
米国 29.2  15.3 
日本 13.4  6.4 
(GDP:98年実績、貿易:99年実績。数値は、経済企画庁「海外経済データ」及び総務庁「世界の統計」に基づく。
なお、世界貿易量比は域内貿易(ユーロ圏とEU15の場合)を除いた値を指す。)


EU諸国の経済収斂状況(1997年)(当初参加国決定時の状況)

国名 (1) (2) (3) (4)
インフレ率 長期金利 財政赤字/GDP 政府債務/GDP 為替要件
2.7% 基準値 7.8% 基準値 3.0% 基準値 60.0% 基準値  
1.2% 5.5% 3.0% 58.0%
1.4% 5.6% 2.7% 61.3%  
オランダ 1.8% 5.5% 1.4% 72.1%  
ベルギー 1.4% 5.7% 2.1% 122.2%  
ルクセンブルグ 1.4% 5.6% △1.7% 6.7%
1.8% 6.7% 2.7% 121.6%  
スペイン 1.8% 6.3% 2.6% 68.8%  
ポルトガル 1.8% 6.2% 2.5% 62.0%  
アイルランド 1.2% 6.2% △0.9% 66.3%  
オーストリア 1.1% 5.6% 2.5% 66.1%  
フィンランド 1.3% 5.9% 0.9% 55.8%
デンマーク 1.9% 6.2% △0.7% 65.1%  
1.8% 7.0% 1.9% 53.4%
ギリシャ 5.2%   9.8%   4.0%   108.7%  
スウェーデン 1.9% 6.5% 0.8% 76.6%  
           (△:財政黒字)

資料:欧州委員会「Convergence Report 1998 」
・表中の「○」は、各数値が収斂基準を満たしていることを示す。
(参考)第三段階移行のための基準
(1) インフレ率:過去1年間最も安定した3ヶ国より1.5%上回っていない
(2) 長期金利:過去1年間(1)の3ヶ国より2.0%以上上回っていない
(3) 1) 単年度財政赤字:GDP比3.0%以内(条文上、トレンドを考慮した弾力適用の余地有り)
  2) 政府債務残高:GDP比60.0%以内(条文上、トレンドを考慮した弾力適用の余地有り)
(4) 過去2年間、為替相場メカニズム(ERM)通常変動幅の中で取り引きされ、切り下げが行われていない


EU諸国の経済動向

  国名 インフレ率 長期金利
1998年 1999年 2000年 1998年 1999年 2000年





0.7% 0.6% 1.8% 4.6% 4.6% 5.4%
0.6% 0.6% 2.1% 4.6% 4.5% 5.3%
オランダ 1.8% 2.0% 2.3% 4.6% 4.6% 5.4%
ベルギー 0.9% 1.1% 2.7% 4.7% 4.8% 5.6%
ルクセンブルグ 1.0% 1.0% 3.8% 4.6% 4.6% 5.4%
2.0% 1.7% 2.6% 4.8% 4.8% 5.6%
スペイン 1.8% 2.2% 3.5% 4.8% 4.7% 5.5%
ポルトガル 2.2% 2.2% 2.8% 5.0% 4.8% 5.6%
アイルランド 2.1% 2.5% 5.3% 4.8% 4.6% 5.4%
オーストリア 0.8% 0.5% 2.0% 4.7% 4.7% 5.6%
フィンランド 1.4% 1.3% 3.0% 4.8% 4.7% 5.5%
ギリシャ 4.5% 2.1% 2.9% 8.5% 6.5% 6.5%
ユーロ圏 1.1% 1.1% 2.3% 4.7% 4.6% 5.4%



1.6% 1.3% 0.8% 5.5% 5.0% 5.3%
デンマーク 1.3% 2.1% 2.7% 4.9% 4.9% 5.6%
スウェーデン 1.0% 0.6% 1.3% 5.0% 5.0% 5.4%
EU15ヶ国 1.3% 1.2% 2.1% 4.9% 4.7% 5.4%
資料:欧州委員会(2001年4月経済見通し)


EU諸国の財政動向

  国名 財政赤字/GDP 政府債務/GDP
1998年 1999年 2000年 1998年 1999年 2000年





2.7% 1.6% 1.3% 59.7% 58.7% 58.0%
2.1% 1.4% △1.5% 60.7% 61.1% 60.2%
オランダ 0.7% △1.0% △2.0% 66.8% 63.2% 56.3%
ベルギー 0.9% 0.7% 0.0% 119.8% 116.4% 110.9%
ルクセンブルグ △3.2% △4.7% △5.3% 6.4% 6.0% 5.3%
2.8% 1.8% 0.3% 116.2% 114.5% 110.2%
スペイン 2.6% 1.2% 0.3% 64.7% 63.4% 60.6%
ポルトガル 2.3% 2.1% 1.4% 55.3% 55.0% 53.8%
アイルランド △2.1% △2.1% △4.5% 55.0% 50.1% 39.1%
オーストリア 2.2% 2.1% 1.1% 63.9% 64.7% 62.8%
フィンランド △1.3% △1.8% △6.7% 48.8% 46.9% 44.0%
ギリシャ 3.1% 1.8% 0.9% 105.5% 104.6% 103.9%
ユーロ圏 2.1% 1.2% △0.4% 73.1% 72.0% 69.7%



△0.4% △1.3% △4.3% 48.1% 45.7% 42.9%
デンマーク △1.1% △3.1% △2.5% 55.8% 52.6% 47.3%
スウェーデン △1.9% △1.8% △4.0% 71.8% 65.2% 55.6%
EU15ヶ国 1.5% 0.6% △1.2% 69.0% 67.5% 64.5%
資料:欧州委員会(2001年4月経済見通し)
(注)財政赤字/GDPのマイナス表示は財政黒字の状態。


ユーロ当初不参加国(4ヶ国の立場)

  基本的動向 経済収斂基準*の達成状況 国内世論の動向



2000年3月9日、欧州委に正式な参加申請を提出
欧州委・ECBでの審議を経て昨年6月のEUサミット(於フェイラ)にて2001年からの参加が承認され、本年1月より参加
政府債務残高を除き、基準を達成。
99年1月よりERM2*に参加。
官民に幅広いコンセンサスがあり、政府は2001年からの参加方針を早くから決定。民間も賃上げ抑制等で協力。




2000年9月28日、ユーロ参加是非を問う国民投票を実施。反対53.1%、賛成46.9%で否決された
政府は今後も参加を模索すると見られるが、具体的な見通しは当面立っていない。
全ての基準を達成済。
99年1月よりERM2に参加。
国民にはユーロ参加による福祉レベルの低下等に対する懸念あり。
独仏主導で進む欧州統合そのものへの不信感も。





2000年3月10日、与党(社民党)は党大会においてユーロ参加の方針を決定
参加時期は未定(ユーロ圏との景気サイクル等の収斂を見極めた上で参加時期を決定、参加是非を国民投票に問う予定)。
為替水準を除き、基準を達成。
ERM2には未参加。
国民にはユーロ参加による福祉レベルの低下等に対する懸念あり。
最近の世論調査では、参加不支持が支持を上回る。

政府は次期総選挙後2年以内に参加の可否を決定する旨発表(総選挙は6月7日に実施)。
政府による参加の決定後、国民投票にて民意を問う
為替水準を除き、基準を達成。
ERM2には未参加。
ユーロ圏との景気サイクルにズレがある(短期金利(政策金利)と為替動向に相違あり)。
製造業を中心に産業界からは早期参加を求める声が強い一方、世論調査では参加不支持の回答が多数。
経済収斂基準項目:インフレ率、長期金利、単年度赤字、政府債務残高、為替水準
ERM2:自国通貨とユーロとの間で為替相場を一定の範囲で連動させるシステム


欧州中央銀行(ECB)

98年6月1日より業務開始(フランクフルト)
主要目的:物価の安定
  • この目的に反しない限りにおいて、他の目的の達成に貢献すべく一般的な経済政策を支援
  • 統一的な金融政策の実施(マネーサプライ、物価動向見通し等を指標として使用)
基本任務:
(1)域内の金融政策の策定・実施
(2)為替操作の実施
(3)加盟国の公的外貨準備の保持・管理
(4)決裁制度の円滑な運営の促進
理事会メンバー
総裁: ドイゼンベルク(任期8年)(前蘭中銀総裁)
副総裁: ノワイエ(任期4年)(元仏大蔵省国庫局長)
専任理事: イッシング(任期8年)(独連銀理事・首席エコノミスト)
スキオッパ(任期7年)(伊証券取引委委員長)
ソランス(任期6年)(西中銀理事)
ハマライネン(任期5年)(フィンランド中銀総裁)

欧州中央銀行
出典:『図解「ユーロ」を読む』(中経出版 1998年)

ユーロ誕生の影響


(1)ユーロ圏の活性化

為替リスクの消滅と為替取引コストの大幅削減
域内における貿易・投資が活性化、企業活動の競争促進
域内内需主導による経済成長の促進

(2)政治統合の加速
通貨は一国の経済社会の重要なシンボルの一つ
ユーロ導入が欧州政治統合への土台に
後戻りはもはや出来ない段階

 

ユーロ誕生後に残された課題

(1)各国独自の金融・為替政策の消滅

  • 各国の景気調整機能の消滅
    →局地的な経済不況に対しどう対応するか

(2)緊縮的な財政運営

  • 欧州経済がデフレ的傾向を持つ懸念
  • 成長・雇用を重視する各国政府が財政規律を遵守できるか(→アイルランド予算案への修正勧告はその一例)

(3)構造問題への取り組み

  • 硬直的な労働市場の改善、各国税制の調整
  • 域内各国の景気サイクルの収斂


ユーロの見通し

99年1月、ユーロは順調にスタート。
ユーロの強さと安定度の評価にはもう暫く時間が必要。
中長期的には、米国にほぼ匹敵する経済圏を背景として、ドルに次ぐ主要国際通貨となる可能性は大きい。
ユーロが安定した信頼される通貨として、国際的に幅広く使用されていくかどうかを左右するポイント
(1) 欧州中央銀行(ECB)による適切な金融政策の実施
(2) ユーロ参加各国政府による健全な財政運営(財政規律の遵守
(3) ユーロ経済圏の実体経済の安定的な成長
(4) ユーロの金融市場での調達・運用の利便性(債券市場流動性の向上・株式市場統合・資金証券決済システム統合)
(5) 欧州内外での貿易取引での決済通貨としてのユーロ利用進展

ユーロの不安定化につながる要素

(1) ユーロ圏の経済動向(成長の鈍化、失業率の高止まり)
財政政策・金融政策による対応には制約あり。
構造問題を克服できるか(税制調和、労働市場改革、地域経済 格差の解消等)

(2) ユーロ参加国(12カ国中8カ国が中道左派・社会民主党系政権)の成長・雇用重視路線が財政拡大路線につながらないか
弱いユーロの可能性

(3) ECBの政策への信認の欠如
統計未整備、政策決定過程の透明性欠如、加盟国利害の対立、スタッフの不足等
ユーロの信頼性低下

(4) 不参加国の動向
英国のユーロ参加にも影響(ユーロの成功を見届けた上で参加するというのが英の基本的スタンス)
デンマークの国民投票否決(英・スウェーデンの参加に影響)


ユーロが世界経済に与える影響

(1) ユーロの安定は→国際通貨・金融体制、世界経済の安定にとって重要

(2) 米国への影響:米(世界最大の債務国)←→欧州(債権国、経常収支黒字)

(3) ユーロ発足で自信をつけた欧州の姿勢
発言力の向上。他方、内向きとなる危険がないか
日本としても欧州との協力と日米欧三極協力を一層強化

(4) 主要国際通貨の相場安定のための協力
ドルへの過剰依存はアジア通貨危機の一因
国際通貨・金融体制の安定に寄与

(5) 円の国際化への努力=円が国際的利用を促進する環境整備等
金融市場の整備(短期金融市場の拡充、海外の投資家がわが国の国債に投資しやすい仕組み等の整備)
貿易・資本取引における円の使用促進(特にアジア域内で有益)


ユーロ為替動向(導入以来の対ドル相場下落に関する分析)

(1)ユーロの対ドル相場下落(99年~2000年)の要因

米欧間の景気格差、欧州各国の構造改革の遅れ、ECBへの不信

(2)ユーロ安の影響
  • メリット →ユーロ圏産品の輸出競争力の向上
  • デメリット→輸入インフレの懸念、ユーロに対する信頼性の喪失

(3)ユーロ圏における反応
  • ECB → 基本的に輸入インフレの懸念がない限り、ユーロ相場の水準には中立的(2000年9月にG7協調介入、同11月にECB単独介入を実施)。
  • ユーロ圏各国政策当局 → ユーロ圏のファンダメンタルズは堅調で、ユーロには一段の上昇余地があるとの認識で一致。
  • 産業界 → 昨年は輸出主導の経済成長過程にあり、ユーロ安を歓迎。

(4)今後の見通し
2000年11月下旬より相場は反転したが、本年3月より再度下落、5月下旬以降半年ぶりの安値圏、今後も軟調な展開が予想される。


世界の中での欧州通貨

●世界の外貨準備高に占める通貨の割合

世界の外貨準備高に占める通貨の割合
      (1999年実績:IMF ANNUAL REPORT 2000)

(参考)主要各国の外貨準備高
        (単位:百万ドル)

中国 154,675
米国 32,180
日本 277,708
英国 24,040
33,933
52,661
(1999年、出典:IMF)

●外貨建て債券の発行状況

世界貿易の表示通貨別内訳
      2000年実績 : BIS Quarterly Review (February 2001)

(参考)通貨別発行額
        (単位:10億ドル)

米ドル 543
ユーロ 441
英ポンド 103
39
その他 12
(2000年、出典:BIS)



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