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日EU規制改革対話の概要


平成15年11月


概論

1.日EU規制改革対話の位置付け

 2001年より「日欧協力の10年」が開始され、同年採択された「日EU協力のための行動計画」により具体的に協力措置が実施されている。同行動計画においては、様々な重要項目に並び、経済・貿易分野における双方のビジネス環境の改善が重要な柱として取り上げられており、日EU規制改革対話はその中核的な手段として位置づけられている。本対話は、94年より継続的に実施されており、合意事項を積み上げる拘束的な枠組みという形態によらず、自由闊達な建設的な意見交換により幅広い分野での日EU双方の規制改革を推進する全省横断的なハイレベル(局長級)の枠組みである。

2.民間との連携協力の必要性

 政府間の対話枠組に加え、ビジネス環境改善のための民間対話の枠組みも存在しており、99年に、既存の2つの民間対話が統合され、「日EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブル(BDRT)」が設立された。日欧の大企業CEOクラス40数名が参加し、小林陽太郎(富士ゼロックス会長)及びダヴィニョン(ソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジック会長)が共同議長を務めている。毎年、BDRTからは、日EU双方の首脳に対し、日EU双方の政府へ規制改革の具体的な項目を含めた提言書が発出されている。このように規制改革に対する民間からの要望が発出されている事実を踏まえ、今後とも民間との連携強化を図ることが重要である。

3.日EU規制改革対話の方向性

 これまで、日・EU規制改革対話は一定の成果をあげてきたが、日欧の政府・民間からの日EU双方の規制改革に対する要請がこれまでにも増して高まり、対象分野も広がっている現状においては、本対話をより効率的で実質的なものとすることが求められている。実際に、昨年度より、本会合における議論の双方向性を高めるとともに、事前に書面回答を提出するなどの改善を行っている。今後とも、規制改革対話のあり方について、日EUの間で率直かつ具体的な意見交換を行うことが必要である。
 また、我が国における新たな「規制改革推進3か年計画」の実施を機に、我が国及びEUの規制改革を国際経済環境の著しい変化(IT、産業再編等)に即応した形で進めるため、日EU規制改革対話を活用していくとの観点が重要である。


最近の対話の概要

東京会合

(1) 日程

 2002年11月25日、於:三田共用会議所(第一特別会議室)

(2) 出席者

 日本側 佐々江外務省経済局長他、内閣府、金融、総務、公取委、法務、外務、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通の10省庁の関係者
 EU側 バレンスエラ欧州委員会対外関係総局次長他、欧州委、駐日欧州委代表部関係者

(3) 概要

 東京会合では、EUの対日要望を中心に議論が行われ、数年来にわたる要望事項(航空、検疫等)に加え、公共調達、ジャーナリズム、血漿といった新たな項目についても取りあげられた。

<特に活発な意見交換があったEU要望項目>
・法律サービス 外国法事務弁護士と日本の弁護士のパートナーシップの自由化等を要望
・対外直接投資の促進 投資家の参入にあたり便利な統一的窓口の設置を要望
・M&A 外国の企業が日本の企業を合併・買収する際に必要な手続の整備を要望
・ジャーナリズム 外務省記者証の他の公的機関での認容、記者クラブの廃止を要望

(4) 対話の方式の改善点

これまで半日であった会議を全日の会議とし、EU側の優先要望項目全体にわたり、活発な意見交換が行われた。
従来は、東京会合においては、EU側からの要望に対する回答を日本側より行っていたが、今回会合では、EU側における実施状況等を照会したり、関連の我が方要望等も言及したりすることにより、議論の双方向性をより高め、何がグローバル・スタンダードかとの視点からの議論を深めた。


ブリュッセル会合

(1) 日程

 2003年3月4,5日、  於:欧州委員会:対外関係総局シャルルマーニュ・ビル・国際会議室

(2) 出席者

 日本側 佐々江外務省経済局長他、外務、経済産業の関係者
 EU側 バレンスエラ欧州委員会対外関係総局次長他、欧州委対外関係総局、貿易総局、企業総局、競争総局等関係者

(3) 概要

 東京会合同様、全日の会議を行い、対EU要望を中心に議論を行い、右に関連を有するEUの対日要望ついても議論を行った。
 欧州化学戦略政策、アンチダンピング・関税分類、運転免許証問題、滞在労働許可問題について本会合の前日に専門家会合を開催し、詳細にわたり意見交換を実施。

<成果があがったもの>
特許制度 EUの新しい特許制度が設立されることになり、これまで各国でバラバラに行われていた特許を巡る係争が、ルクセンブルグに新たに設置される裁判所で一元的に裁かれることになった。
社会保障制度 EUの社会保障制度が改組され、日本人等域外からの外国人がEU域内で一国から他国に移動する際、社会保障面で被る負担が軽減されることとなった。

<事態の改善を申し入れた懸案>
EUは化学品の生産、流通について環境的配慮から包括的規制をかけようとしているが、右は、日本も含め世界の化学品産業に過重な負担と規制を課すことになる可能性が高い。我が国はじめ米国等、さらにはEU内の産業界も反発している。
EU各国における過度の労働者保護が、結果として進出した日系企業のビジネスに悪影響を及ぼしている。
欧州に駐在する日本人ビジネスマン及びその家族が、運転免許について本邦一時帰国時の運転の関係で不便が生じている。
アンチダンピング等について、依然EUの恣意的運用がみられ、日本の企業が被害を被っている。





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