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第12回日EU定期首脳協議
(概要)


平成15年5月2日


 欧州訪問中の小泉総理は、2日、EU議長国ギリシャにおいて、第12回日EU定期首脳協議に出席したところ、概要以下のとおり(EU側からはシミティス・ギリシャ首相、プローディ欧州委員会委員長(ソラナEU共通外交安全保障政策上級代表及びパッテン欧州委員会対外関係委員同席)が、我が方からは小泉総理(安倍官房副長官ほか同席)が出席)。

 なお、今回の定期首脳協議においては、1日夜にワーキング・ディナーで地域情勢を、2日午前には日EU関係等につき議論を行い、共同プレス・ステートメント(概要別添)を発出した。

1.国際情勢

(1) イラク/中東

 速やかな人道支援の必要性につき確認するとともに、イラク人自身による政府の立ち上げが重要であることで意見が一致した。この関連でEU側は、人道・復興支援に十分な実績や経験を有する国連が関与することが実際的な観点から必要であるとするとともに、中東地域全体の安定にとって中東和平の進展が重要であり、イスラエル及びパレスチナによるロードマップの受け入れ及び実施を促す必要があると述べた。

(2) 北朝鮮

 小泉総理より、北朝鮮問題の政治的・平和的・外交的解決が必要であると述べた。また、拉致問題について詳細な説明を行った上で、拉致問題、安全保障問題、植民地支配に係る過去の問題等を包括的に解決し北朝鮮との国交正常化を図るとの「平壌宣言」の立場を堅持する旨説明するとともに、EUが拉致という非人道的な行為の問題に理解を示し、いろいろな場で協力してきていることに謝意を表明した。また、先般の米中朝の三者会談について、北朝鮮の表面的な発言と真意について慎重に分析する要がある旨述べた。これに対し、EU側は、今後とも日本と協力していきたいと述べた。

(3) 西バルカン

 西バルカンには依然として問題が残っており、西バルカン諸国のEU参加の前提が整うよう、今後とも支援を継続していくことで一致した。

(4) スリランカ

 6月の東京で開催予定の復興開発会議に向け、日EU双方が共同議長として協力していくことで合意した。

 
(5) アフガニスタン

 小泉総理より、EUの2億ドルの支援表明を評価するとともに、日本のテロ対策特措法に基づく自衛艦による洋上給油活動の継続及び3億8千万ドルの支出について説明した。

 
(6) ミャンマー

 EU側より、スーチー女史の軟禁解除後も事態が進展していないことに失望を表明。これに対し小泉総理より、欧米による経済制裁のアプローチに疑義を呈するとともに、日本は民主化、経済改革、民政の安定を含めた「包括的アプローチ」をとることを説明。

 
(7) 中国

 小泉総理より、中国の経済発展は日本経済を刺激し、「脅威」というよりむしろ「好機」ととらえるべき旨述べ、EUからも、中国とは科学技術、海運、関税協力、人権対話等の面で交流が進んでいると紹介。小泉総理より、アジアでSARSが経済に打撃を与えているが、これを機に中国が病気の予防、治療体制の改善に真剣に取り組めば、国際社会全体の利益にもなると述べた。

(8) インドネシア

 EU側より、アチェの独立分離運動の問題を巡る最近の状況につき懸念を表明。小泉総理より、アチェの問題につき平和的な解決のため努力していきたい旨述べた。

2.日EU関係

(1) 日EU行動計画の実施状況

(イ) 共同プレス・ステートメントにつき最終合意するとともに、今後も首脳レベル、外相レベルの対話を推進していくことが合意された。小泉総理より、日EU経済関係閣僚会議をなるべく早く開催したい旨述べたのに対して、EU側は2003年中に開催したい旨応じた。
(ロ) 独占禁止協力協定の早期署名、科学技術協定締結交渉の開始、2005年の「日EU市民交流年」の準備等を日EU間の今後の優先事項としていくことにつき合意された。


(2) 日EU経済

(イ) 投資:小泉総理より、双方向の投資の重要性を強調しつつ、「日EU投資イニシアティブ」の発出を歓迎するとともに、2003年1月の施政方針演説において今後5年間で対日投資残高を倍増することを表明したことを紹介し、これを実現するため日本を魅力ある国にしていきたい旨述べた。EU側は、(i)双方向の投資の増大は重要であり、そのためにEUは「リスボン宣言」に基づき経済分野の近代化を進めていること、(ii)ルノーの成功例があるように対日投資の魅力について欧州企業に説明していきたいこと、(iii)日EU間の規制改革対話を通じて双方が魅力ある投資先となるよう努力していきたいことを述べた。
(ロ) 観光:小泉総理より、過去十数年、日本から外国への観光客は大幅に増加したが日本への観光客は少なく、2010年までに外国から日本への観光客を今の倍の1000万人に増加させるため官民一体となって取り組んでいる旨述べ、EUの協力も求めた。
(ハ) 航空機:EU側より、欧州は世界市場で約半分のシェアを保持しているが、日本での存在感は薄い旨述べるとともに、今後とも協議していきたい旨述べた。小泉総理より、民間の調達については、政府は口を出す立場にない旨述べた。
(ニ) 宇宙開発:EU側より、ガリレオを含む宇宙における協力を進めていきたい旨要請があった。小泉総理より、日本の国産ロケットの打ち上げはここ数回成功しており、日本は深海底にも力を入れている旨述べた。


(3) EU拡大

 小泉総理より、2004年に10ヶ国のEUへの新規加盟が見込まれているが、このような拡大の努力に敬意を表すると述べるとともに、拡大は域外に対して開かれたかたちで行われるべきであり、拡大が日EU経済関係に与える影響について協議を開始したい旨述べた。EU側は、EU拡大がもたらす経済的影響につき日本のビジネス界が心配していることは承知しているが、総じてみればEU拡大がもたらすメリットの方が大きいとしつつ、EU拡大に向けて日本と調整をしていきたい旨述べた。


3.地球的規模の問題

(1) 環境

 京都議定書について、EU側より、幾つかの国では批准のモメンタムが失われてきており心配している、日本とともに各国に働きかけを行いたい旨述べた。小泉総理より、京都議定書の目標達成が容易ではないことはわかっているが努力する考えであり、日本の高度経済成長期の経験を踏まえても、経済成長と環境を両立させることが重要であるとしつつ、各国に批准を働きかけていきたい旨述べた。

(2) WTO

 日本とEUとは、意見の違いや交渉スタイルが異なる分野もあるが、9月のカンクンでの閣僚会議に向けて連携していくことを確認した。

(3) テロ

 小泉総理より、2001年の「テロに関する日EU共同宣言」に基づきテロ防止・根絶に協力したい旨述べたのに対して、EU側より同意するとの発言があった。

(4) その他

 ASEMの調整国として2004年の第5回首脳会合に向けて努力していくことで一致した。SARS問題を含む保健衛生分野における日EU双方の協力を確認した。


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