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ペレス・イスラエル首相特使とアラファト・パレスチナ解放機構議長の訪日
(概要と評価)
平成12年8月21日
8月14日から15日にかけてペレス・イスラエル元首相(バラック首相特使)が、17日から18日にかけてアラファト・パレスチナ解放機構議長が相次いで訪日し、森総理及び河野大臣と会談した。この概要と評価以下の通り。(1)ペレス特使の訪日
(イ)ペレス特使よりは、先月のキャンプ・デービッドにおける首脳会談の説明として、i)バラック首相はパレスチナの要求に対し譲歩を行っているにも拘らず、パレスチナ側が歩み寄っていない、ii)パレスチナ国家の独立、領土問題、パレスチナ経済のあり方、イスラエルの安全保障問題等については双方の隔たりが大きくないが、特にエルサレム問題が一番難しい問題となっている、等の発言があった。また、同特使はアラファト議長は現実的かつ責任ある政治家であり、自分(ペレス元首相)の友人であるとしながらも、パレスチナ側がイスラエルとの合意なしに独立を宣言する等の「一方的措置」を採り、これまでの和平努力が水の泡と帰してしまうことへの懸念を表明し、後に訪日する予定のアラファト議長に日本から伝達するよう要請があった。
(ロ)これに対して、わが方よりは、交渉を通じた解決こそが中東和平問題解決の唯一の選択肢であり、9月13日の交渉期限に向けてイスラエル・パレスチナ双方が早期に交渉を再開し、和平を実現させることを希望する旨述べた。
(ハ)また、ペレス特使は外交上の和平のみならず、経済的な和平が必要であるとして、死海と紅海を結ぶ鉄道の敷設プロジェクト、ジョルダン・パレスチナ・イスラエルの小中学校をネットワークで結ぶe-peaceプロジェクトといった地域的なプロジェクトに対して日本が官民レベルで協力することを要請した。
(2)アラファト議長の訪日
(イ)アラファト議長よりは、これまでのわが国のパレスチナ支援を多としつつ、キャンプ・デービッド会談の評価として、エルサレム問題、難民問題、水資源問題、領土問題等を話し合ったが、イスラエルが9月までにパレスチナ国家が独立するとのシャルム・エル・シェイク合意を始めこれまでの合意を守らず、必要な譲歩をしないために何ら成果を生まなかった、エルサレムはユダヤ教徒のみならずイスラム教徒、キリスト教徒にとって聖地であり、イスラエルによる主権の主張に対しては、アラファト議長としても安易な譲歩はできない旨の発言があった。
(ロ)また、同議長より、今まで53年間国家も希望もない状況で暮らし、昨年5月の独立宣言延期からも1年間以上ずっと待ってきたとパレスチナ人の苦境を説明し、パレスチナ問題が未解決のまま続けば、中東は爆発するとの発言があった。
(ハ)これに対してわが方よりは、i)わが国はパレスチナの友人であり、従来よりパレスチナ人の国家樹立の権利を含む民族自決の権利を支持してきている、ii)しかし、先のキャンプ・デービッド会談で7年に亘る交渉史上初めて問題の核心に触れる交渉が始まったばかりであり、ここでイスラエルとの合意がない形で独立を宣言すれば、パレスチナとしてあまりにも失うものが多く、得策ではない。粘り強い交渉を強く望む、iii)そのような努力が実を結んだ結果、パレスチナが平和的に独立をすることになれば、わが国は速やかに国家承認を検討する用意がある、旨述べた。
2.評価
(1)第一に、中東和平が重要な時期を迎えている中、両当事者の高いレベルからそれぞれの立場と見方を詳細に聴取しえたことは、今後のわが国の対中東和平外交を考える上で実に有益であった。第二に、両当事者に対して、わが国が総理及び大臣のレベルで、中東和平では交渉を通じた解決しか選択肢がなく、粘り強い交渉を行うべしとのメッセージが伝達でき、わが国の責務を確実に果たすことができた。
(2)これまでわが国は対パレスチナ支援、一方の当事者に偏らない中立的かつ公正な政治的メッセージの発出という形で和平プロセスに関与してきたが、こういった努力の積み重ねが両当事者に評価されていることが改めて確認できた。
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