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中国遺棄化学兵器処理に関する日中間の覚書の署名について

平成11年7月30日

1.わが国政府は、中華人民共和国政府との間で、化学兵器禁止条約に基づく中国の遺棄化学兵器処理の基本的枠組みにつき認識の一致をみ、これに従い、遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書の署名が7月30日(金)北京において、わが方谷野作太郎在中華人民共和国大使と先方王毅中華人民共和国外交部部長助理との間で行われた。

2.わが国は平成3年より、中国に残置されている旧日本軍の化学兵器につき実態把握のための現地調査を鋭意進めるとともに、化学兵器禁止条約の発効を間近に控えた平成9年4月より日中共同作業グループ会合を開催し、今後の処理に関する基本な考え方や処理の段取り等につき中国側と協議を続けてきた。
 本件廃棄処理については、化学兵器禁止条約に基づいて取り組んでいくことで日中双方が一致しているが、従来からの協議内容を踏まえて今後の処理の枠組みについての日中間の一致した認識を確認したいとの中国側の意向を受けて、日中間で鋭意協議を行ってきた。この程、化学兵器禁止条約に基づく遺棄化学兵器の廃棄に際して必要となる両政府間の協力の内容等につき認識の一致をみたので、覚書に署名を行うこととなった。

3.覚書は別紙参照。なお、主要点は以下のとおり。

(1)両国政府は、累次に亘る共同調査を経て、中華人民共和国国内に大量の旧日本軍の遺棄化学兵器が存在していることを確認した。

(2)旧日本軍のものであると既に確認され、および今後確認される化学兵器の廃棄問題に対し、日本国政府は「化学兵器禁止条約」に従って遺棄締約国として負っている義務を誠実に履行する。

(3)日本国政府は、「化学兵器禁止条約」の規定に従って、遺棄化学兵器の廃棄のため、すべての必要な資金、技術、専門家、施設およびその他の資源を提供する。中華人民共和国政府は廃棄に対し適切な協力を行う。

(4)日本国政府は、上記の廃棄に係る作業を進めるにあたり、中華人民共和国の法律を遵守し、中華人民共和国の領土の生態環境に汚染をもたらさないことおよび人員の安全を確保することを最も優先させることを確認する。この基礎の上に、中華人民共和国政府は中華人民共和国国内で廃棄を行うことに同意する。

(5)廃棄の具体的な場所、廃棄施設の建設等の問題は、両国政府が協議して確定する。廃棄作業を行う際に遵守される環境に関する基準に関し、両国政府は原則として中華人民共和国の国家基準を採用することとし、双方は環境影響評価および環境監視測定を行うこととした。

(6)廃棄の対象、廃棄の規則および廃棄の期限については、両国政府は「化学兵器禁止条約」に基づき、協議して確定する。

(7)両国政府は、廃棄効率、安全および環境面で十分な信頼性がある、成熟した廃棄技術を選定するものとし、具体的な廃棄処理技術の種類については、日中共同作業グループにおける双方の専門家による十分な検討、論証の後に、透明性および公平性を確保した方法で、最終的に確定されることとする。

(8)廃棄の過程で万一事故が発生した場合には、両国政府は直ちに協議を行い、その基礎の上に、日本側として必要な補償を与えるため、双方が満足する措置をとる。中国側は日本側の措置に適切な協力を行う。

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