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多角的及び地域的経済関係に関するASEMシンポジウム
(概要)


平成15年3月31日


 3月25日、経団連会館において「多角的及び地域的経済関係に関するASEMシンポジウム~21世紀のアジア・欧州関係は?~」を開催した。
 本シンポジウムは、昨年9月、コペンハーゲンにおいて開催されたASEM第4回首脳会合において、我が国がドイツ及びシンガポールとともに提案したイニシアティブとして開催したものであり、ASEM参加国の20カ国以上の政府関係者、ビジネス界、学界からの国際経済問題の専門家がパネリストとして参加した。総合議長は田中俊郎慶応義塾常任理事(日本EU学会会長)が務め、各セッションの司会はドイツのペルッツオ経済労働省対外経済政策局次長、シンガポールのパン・シンガポール経営大学教授及び佐々江経済局長が務めた。開会式においては、日出英輔外務大臣政務官が主催者を代表して挨拶及び基調講演を、ゲスト・スピーカーとしてミヒャエル・ライテラー駐日欧州委員会代表部公使が発表を行った。また、国内外の政府関係者の他、学識者、ビジネス関係者等から約120名の聴衆が集まった。

1.第1セッション:WTO新ラウンド交渉に対するASEMの貢献

(1) ペルッツオ独経済労働省対外経済政策局次長が司会を務め、ASEMとして注目すべきWTO分野・事項、ASEMは如何にWTO交渉の進展に寄与できるかを中心に議論を行った。

(2) 主な議論は以下のとおり。
 WTOカンクン閣僚会合及びドーハ開発アジェンダの進展のためにもASEMは重要な役割を演ずることができる。ASEM参加国としての共通ポジションを達成することは困難だが、非公式な対話を通じて互いの立場の理解を深め、信頼醸成をするとの役割は意義深い。S&D、実施問題、TRIP、公共衛生など途上国問題、農業、アンチダンピングなどが特に焦点となりうる。本年7月、大連で開催される経済閣僚会合はWTOカンクン閣僚会合の前に閣僚レベルが集まる最後の機会なので、ASEM参加国がカンクン閣僚会合の成功に向けた政治的意思をアピールする良い機会となり得る。

2.第2セッション:アジア地域の経済連携強化にとってのEUの教訓

(1) パン・シンガポール経営大学教授が司会を務め、欧州統合の進展やアジアにおける地域連携の動向をどのように評価するか、アジア及び欧州における経済連携を進める上での条件の類似点及び相違点を中心に議論を行った。

(2) 主な議論は以下のとおり。
 欧州の統合は欧州司法裁判所や欧州委員会の設立等制度の調整に基づき進めたものだが50年という長い時間がかかった。その際、推進力となったのは政治的意思であった。一方、アジアは各国の経済発展段階等、そのおかれている条件は異なっているが、欧州とは異なった進路(path)に従って域内外において連携に向けて進んでいる。

3.第3セッション:WTO新ラウンドを見据えたアジア欧州協力

(1) 佐々江経済局長が司会を務め、ASEMの今後取り組むべき事項、アジア・欧州の安定的な社会・経済成長を確保するためにASEMの果たすべき役割などを中心に議論を行った。

(2) 主な議論は以下のとおり。
 アジア地域の特徴としてその多様性があるが、アジアにおける統合のプロセスが何に起因しているのか、このようなアジア地域の変化を欧州がどのように見ているかは興味深い問題。欧州における構造改革の経験は、アジアにそのまま適応できないものの参考になるといえる。アジア・ボンドや欧州通貨のアジアにおける役割の問題は今後注目に値する。ASEMの役割に関しては、その非公式な対話の場という性格からむしろ機微な問題について取り上げる良い機会であるとの意見や、政策的議論だけでなくASEM制度上の整備も重要との意見もあった。

4.閉会式

 総合議長である田中俊郎教授より、以下のとおり締めくくりの発言がなされた。
 WTOのラウンド交渉に関しては、ASEM共通のポジションに合意することは現実的ではないが、ASEMにおいて最も重要な課題は信頼醸造(confidence building)である。欧州はその統合の過程において、(1)戦争のない社会を作ること、(2)ルールによって紛争解決することを定着させたといえる。この経験は、アジアとして学ぶべき教訓となり得る。ASEMは、その柔軟で非公式な性格が特徴であり、本シンポジウムのような機会を通じ、アジア・欧州間で情報共有及び信頼の構築を行うことが意義深いといえる。


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