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アジア欧州会合第5回首脳会合(ASEM5)
(概要と評価)

平成16年10月

概要
  • アジア欧州会合第5回首脳会合(ASEM5)は、10月7日から9日までベトナムのハノイにおいて開催された。
  • アジア側よりは、閣僚レベルで参加したミャンマーと大統領選挙直後のインドネシアを除きASEAN+3(日中韓)の全首脳が、欧州側よりは、仏、独、欧州委員会委員長を含む11か国・機関の首脳(その他は閣僚レベルの代理出席者)が出席した。

評価
  • 今次会合において、アジア側より3か国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)、欧州側よりEU新規加盟10か国のASEMへの新規参加が正式承認され、これを契機として、欧州連合(EU)とASEANプラス3という実質的な協力の枠組みの中で、アジアと欧州のパートナーシップの更なる活性化と実質化にいかに取り組むべきかとの主要テーマの下、首脳間の率直な意見交換を行うことができた。
  • 小泉総理からは国連改革の必要性を強調したほか、北朝鮮、テロ、不拡散等への国際社会の取組、経済成長と環境保護の両立文化の多様性の重要性を訴えた
  • 我が国は、アジア側調整国として、13か国のASEM新規参加のための調整や、アジア・欧州間の経済関係の強化を訴える経済宣言のとりまとめ、将来のASEMのあるべき姿の検討についての提案を行い、アジアと欧州の架け橋として尽力した。

今後の我が国の取組

ASEM5での議論を踏まえ、我が国は以下につき取り組んでいく必要がある。
  • ASEMとしての具体的な協力分野機構の改善及び更なる新規参加問題等のASEMの将来について、来年5月の外相会合での議論に向けて考え方を整理。
  • ASEMタスクフォースの提言に関する検討とフォロー・アップ。
  • アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF)の勧告に関する検討。
  • ICT利用に関するイニシアティブの共同提案国として協力。



1.議論の概要

(1) 新規参加国の承認(7日夕方)
 アジア側3か国、欧州側10か国の新規参加が承認された。

(2) 非公式夕食会:欧州・アジアの各地域情勢(7日夜)
 アジア側より東アジア・コミュニティ形成に向けた動き、欧州側よりEU統合の深化と拡大の状況について説明。
 ミャンマー情勢については、一部欧州諸国より、現在の同国の国民和解、民主化の状況は十分なものではなく、更なる進展を期待する旨の発言があり、これに対しミャンマーより、同国の国民和解及び民主化に向けた努力について説明し、各国の理解を求めた。
 また北朝鮮情勢について、各国より、六者会合を通じた核問題の解決に対する期待が表明された。
 小泉総理からは、ASEMにおける建設的な対話がミャンマーの民主化につながることを期待する旨述べ、北朝鮮については拉致に加え、核問題その他の問題を解決するために、ASEM各国からの支持を得たい旨述べた。

(3) 第1セッション:政治(7日午前)
 地域情勢として、イラクについては、国際社会が一致してイラク復興に協力していくべきである、来年1月の選挙が予定どおり実施されることが重要との意見が表明された。
 北朝鮮については、複数の国から、六者会合を通じた平和的解決が重要であり、ASEMとしても協力していくべきであるとの意見が表明された。
 国連改革については、多国間主義が国際問題を解決する上で唯一の手段であり、そのためには国連改革の実現に努力すべしとの点で意見の一致が見られた。ただし、その具体的方策については、安保理や総会の改革を含め様々な意見が出された。
 テロリズム、大量破壊兵器の不拡散、感染症についても議論され、国際社会の取組を強化する必要があることで一致した。
 小泉総理からは、国連改革に向けての機運が高まっている、ASEMとしても国連改革の重要性を認め、これを是非進めていくべきである、わが国も国連改革を進めるべく努力していきたい旨述べた。

(4) 非公式昼食会:ASEMの将来(8日昼)
 今回のASEM拡大を契機としてASEMの将来について議論。
 冒頭小泉総理より、本件については来年5月に京都で行われる外相会合に向けて考えを整理していくこととしたいと述べたことを受け、各国首脳からは、これを支持しつつ、(イ)ASEMが優先的に対話や協力に取り組むべき分野、(ロ)ASEMの効率的運営のための方策、特に事務局設置の是非、(ハ)ASEM参加国の更なる拡大につき様々な意見が出された。これらの点について、次回首脳会合(2006年フィンランド)において具体的な勧告を採択すべく、外相、高級事務(SOM)レベルで作業を行っていくことが合意された。

(5) 第2セッション:経済(8日午後)
 最近の急激な原油価格の高騰を背景に、アジア及び欧州の双方から、エネルギー問題が経済成長に及ぼす影響について高い関心が表明される一方、持続的な経済開発を達成するため、各参加国が気候変動問題を含む環境問題貧困の削減といった地球規模の問題に協力して取り組むことの重要性が指摘された。また多くの国が貿易円滑化行動計画(TFAP)WTO関連の政策対話など貿易関連の対話と協力をASEMにおいて継続・強化すべきとした。より緊密な経済パートナーシップのためのASEMタスク・フォースからの提言については関係する閣僚会合がフォローアップしていくことが合意された。
 小泉総理からは、経済成長と環境保護の両立の必要性を訴え、その中で科学技術を活用することの重要性を指摘した。また、わが国が世界でも最高レベルの環境基準を採用し、現在3R社会の実現に向けて取り組んでいること、来年には自然の叡智をテーマとする愛知万博を開催予定であることを紹介した。

(6) 第3セッション:文化等(9日午前)
 多くの首脳が、自国の歴史的背景に言及しつつ、文化の多様性及び文化と文明に関する対話の重要性を強調し、また、文明間対話(第2回文化担当大臣会合、来年6月)、学生・青少年交流、スポーツ交流(ASEM青年スポーツ大会、来年6月)等のASEMの枠内における具体的事業について言及した。
 小泉総理からは、様々な芸術に言及しつつ、日本が中国、韓国、欧州からの影響を受け独自の文化を形成してきたことを述べ、様々な芸術について言及、また文化、社会面でのIT活用の重要性にふれ、この分野でのASEMの活動にも協力していく旨述べた。



2.発出文書

以上のような議論を踏まえ、以下の3つの文書が発出された。

(1) 議長声明
 政治分野では、多国間主義の強化及び安保理を含む国連改革、テロ対策、大量破壊兵器の不拡散、地域情勢(地域統合、朝鮮半島、中東和平、イラク、アフガン、ミャンマー)について言及。
 経済分野では、タスクフォースからの提言につき閣僚に検討を指示し、WTOドーハ・ラウンド交渉の成功に向けた協力の強化に言及。また、文化等の分野では、文化多様性の重要性につき言及し、アジア欧州財団(ASEF)の運営及び長期的財政安定に関する提言を承認

(2) より緊密なASEM経済パートナーシップに関する宣言
 アジア欧州両地域における経済分野での協力関係の更なる緊密化、特に金融、エネルギー、運輸、知的財産保護、観光、電子商取引、中小企業等の分野での協力の促進、WTOドーハ・ラウンド交渉の速やかな進展と成功に向けた取組の継続、経済閣僚会合及び財務大臣会合の早期開催とASEMタスクフォースの提言を含む諸提案の検討等に言及。

(3) 文化と文明間の対話に関するASEM宣言
 文化多様性は人類共通の遺産であることの再確認、対話促進のために教育・文化交流と協力、知的交流、持続可能な観光の促進、文化財の保護、アジア欧州財団(ASEF)の活動強化への優先的な取組、ユネスコにおける文化多様性条約策定に向けた交渉開始の歓迎等に言及。



3.ASEM5における我が国の貢献

(1) ASEM新規参加実現に向けた調整
 ASEMへの新たなメンバーの参加に関しては、EU新規加盟10か国のASEM参加を求める一方、ミャンマーの国内情勢を理由として同国の参加を拒む欧州側と、ASEAN加盟国でありながらASEM未参加の3か国(ミャンマー、カンボジア、ラオス)の参加を主張するアジア側との間で意見がまとまらない状況が続いた。
 我が国は、アジア側の立場を確認しつつ、ASEM5主催国であるベトナムと共に欧州側と様々な協議を続け、ミャンマーを含む13か国の新規参加の実現に貢献した。

(2) 「より緊密なASEM経済パートナーシップに関するハノイ宣言」
 我が国は、調整国として原案作成段階からベトナムに協力し、他の調整国とともに、数度にわたる協議、電話会談等を通じて、宣言発出に大きく貢献した。

(3) ASEMタスクフォースの活動への支援
 ASEMタスクフォース(アジア側共同議長は、行天豊雄国際通貨研究所理事長)からASEM首脳に対し、より緊密な経済パートナーシップの実現に向けた諸提言が行われたが、我が国は、タスクフォースに対するASEM関連諸情報の提供や東京での会合開催に関する支援等の協力を行い、タスクフォースの活動促進に貢献した。

(4) アジア欧州財団(ASEF)の改革
 我が国は、アジア・欧州の相互理解促進のための活動を行っているASEFが、ASEMの諸会合等とより連携すること及び財政的安定のために任意拠出を継続することを確認するために、その改革の提言等を起案し、各国との意見調整を経て、ASEM5においてこれらの提案(議長声明付属書1)の採択に成功した。

(5) ASEM作業方法の改革及びASEM情報ボードの提案
 今回の首脳会合で承認された「ASEM作業方法の改革」や、試験的な運用が始められたASEM情報ボードは、その概念作りから日本が積極的に推進し、各国の賛同を得て実現に至った。



4.二国間会談等

 小泉総理は、ハノイ滞在中、シラク仏大統領、カイ越首相と二国間会談を行ったほか、各国の首脳と食事の機会や会合の前後を捉えて懇談し、二国間の問題や国際情勢について意見交換を行った。


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