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ハノイ宣言 (仮訳) 平成16年10月9日
1.2004年10月8日~9日にハノイで開催された第5回アジア欧州会合(ASEM)において、参加国首脳は、より緊密なASEMの経済パートナーシップについて掘り下げた議論を行い、以下の宣言を発出することで合意した。 2.アジアと欧州内及び両者間に存在する経済的多様性に関する認識と共に、市場経済へのコミットメント、政府とビジネス界の間のより密接な協力関係、非差別的な自由化と地域主義、WTOルールの遵守、相互の尊重及び対等のパートナーシップ等を含む、ASEMの経済協力の原則を再度表明し、 3.両地域の経済的潜在性、両地域間の相乗効果の価値及びかかる可能性を実現するためのASEM経済協力の重要性を認識し、またこのためにASEMの貿易円滑化・投資促進行動計画が1998年以来成し遂げた貢献を賞賛し、 4.拡大ASEMにおいてアジアと欧州間の経済パートナーシップを更に深めるための幅広い機会を提供する、アジア経済の1997年の通貨危機による後退からの堅調な回復と欧州連合の拡大に力づけられ、 5.不安定な石油価格、富裕層と貧困層との間の乖離、デジタル・ディバイド、HIV/エイズ、及び人口高齢化といった我々の経済が直面する諸々の課題に対して一致団結して取り組むことを決意し、 6.ASEMタスクフォース及びアジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF)が提出した報告書に謝意を表し、 ここに以下の通り宣言する。 7.ASEM参加国は、アジアと欧州の両地域の可能性と相乗効果を十分に発揮し、地域的協力と統合のプロセスを加速化し、パートナーシップの持続性と有効性を強化し、さらに経済のグローバリゼーションの過程におけるASEMの役割を高めるため、より緊密なASEMの経済パートナーシップの育成に一層力を注ぐ。この作業は、ASEMの経済協力を強化するための全体的目標、すなわち持続可能な経済成長、ビジネス環境と機会の改善、モノとサービスの貿易及び投資フローの促進、世界的経済対話への貢献、グローバリゼーションの影響への対応、及び人々の生活水準の向上、という目標に沿って実施される。 8.我々は、モノとサービスの貿易並びに投資の拡大を目指した、より緊密な経済パートナーシップを通じる両地域間のより緊密な経済協力を追求することへの強い決意を表明する。我々は、非公式な政策対話を活用し、情報と経験を共有し、さらに実践的かつプロジェクト指向の目標に対して共に取り組むことにより、かかるパートナーシップを平等と公正の原則に基づき前進させることを目指す。我々は、下記の指針に基づきASEMプロセスの効率性と有効性をより高めるよう努力する決意である。 両地域間における貿易と投資フローの強化 9.我々は、貿易円滑化行動計画(TFAP)、投資促進行動計画(IPAP)、及びその他の経済協力の枠組を考慮しつつ、ASEMの経済活動を推進していく決意である。今後のASEMの経済活動には、貿易と投資の円滑化と促進、両地域間の貿易と投資の流れを活性化するための貿易障壁の削減、官民パートナーシップ(Public-Private Partnership - PPP)の強化、相互の関心分野での協調並びにキャパシティ・ビルディング、政策の透明性、共同での投資促進といった貿易及び投資に関する主要なテーマについての対話の拡充等の努力が含まれる。 10.我々は、参加諸国の経済閣僚と高級実務者に対し、貿易と投資の円滑化と促進に関係する新たなイニシアティブを更に見出し、そして追求し、新たなASEM参加諸国における貿易と投資の機会についての情報交換を行い、地域間における貿易と投資の効果を最大化するためにASEAN、ASEAN+3(中国、日本及び韓国)及び欧州連合の既存のイニシアティブ間における補完性と相乗効果の余地を探求することを求める。 金融面における協力 11.より緊密なASEM経済パートナーシップの下における金融協力は、情報の共有と協力及び対話を通じて強化される。注目すべき対象分野としては、金融・財政政策、金融市場の動向と監視、債務管理、構造改革、マネーロンダリング並びにテロ資金に対する対応、及び人口の高齢化と貧困によりもたらされる諸課題がある。我々の協力の全体的目標は、潜在的な金融ショックに対処し、将来のアジアと欧州における幅広い持続的成長を支えるために、健全で持続可能な弾力性のある金融構造を構築することである。 12.かかる精神の下に、より緊密な経済パートナーシップのためのASEMタスクフォースによる報告書に関し、我々はASEM参加各国の財務大臣に対し、このパートナーシップを強化するための諸勧告及びその他の方策を彼等の責任下で更に追求するよう要請する。 他の分野における協力 13.我々は、ASEMプロセスが、ニつの地域内及び地域間におけるエネルギー、運輸、執行面を含む知的財産権保護、観光、電子商取引、中小企業(SME)促進等の特定の分野における協力の過程で、建設的及び補完的な役割を果たしており、また果たすことができると確信している。我々は、情報・経験・最優良事例(best practice)の共有、また適切な場合には実践指向の協力活動を通じ、これらの分野における協力関係が強化されることを願望する。 14.現在の石油市場の状況に鑑み、我々は、エネルギー関連問題で相互に関心と懸念を有する分野において、自発的かつ商業的ベースで、共通の取り組み及び協力の可能性を見出すことを望む。 多角的貿易体制への地域主義の補完的支援 15.我々は、世界貿易機構(WTO)の下でのルールに基づく多角的貿易体制の重要性を再確認する。この体制は、ASEM参加国間における貿易関係を管理・拡大する上で最も効果的かつ正当な方法としてこれからも存続する。 16.我々は、ドーハ世界貿易ラウンドにおいて、先般合意分野について交渉の枠組みが採択されたことを大きな前進として歓迎し、ドーハ開発アジェンダ(Doha Development Agenda - DDA)交渉において持続的前進を達成するために、WTO加盟国が残された作業を実施することを要請する。我々は、すべての者の利益のため多角的貿易体制を強化・改善するよう、野心的かつバランスの取れた結論に至るように、我々の貿易アジェンダの最優先事項として、ドーハ交渉を前進させるべく協力していく決意を表明する。 17.我々は、ルールに基づく多角的貿易体制への統合の重要性を認識し、ベトナム社会主義共和国及びラオス人民民主共和国のWTOへの早期加盟を強く支持する。 18.我々は、欧州における、より深く、より幅広い経済統合を達成しようとする気運の高まり、並びに東アジア及び東南アジアにおける、より幅広い自由貿易協定ネットワークの構築に留意する。我々は、多角的貿易体制を補完し、他の地域のパートナーとの貿易関係について外に目を向けたアプローチと組み合わされた地域主義は、時間の流れとともに、より一層の自由化に寄与し、世界経済にとって大きな利益となることに同意する。従って、我々は、より緊密な経済協力へ向けたASEM参加国のイニシアティブを歓迎するが、WTOのルールに合致した形で、多角的貿易体制に支障を来たすことのない方法で協力を進めることが本質的に重要であることを強調する。我々は、ASEM内においてより緊密な経済パートナーシップを展開するに当り、かかる原則を尊重することを確約する。 ビジネス界との相互関係 19.我々は、推進力としてのビジネス界の役割を認識し、AEBFをニつの地域におけるビジネス界と政府、及び中小企業(SME)を含む個々の事業とを結びつける重要な橋渡しと考える。我々は、AEBFが、小規模な企業と大規模な企業の間の関連を強化し、また仲介となる機関を含めてSME間での協力を促進する方法を探求することを奨励する。 20.我々は、ASEMプロセスにおけるビジネス界の関与を改善する必要性、並びにASEMをビジネス界に対しより反応し、実際的な価値を持ち、実質的に相互作用するようにする必要性を強調する。この文脈で、我々はAEBFの勧告に留意する。いかなる新たな動きも、それらが利益をもたらそうと意図する者からの全幅の支持と支援が得られることを確保するように、ビジネス界内外との協議が拡充されるべきである。 21.我々は、商工会議所、雇用者連合会、及び主要な実業家といった国並びに地域の実業組織及びネットワークがASEM経済の柱の下での協力活動により深く関与することを奨励する。我々は、経済閣僚・財務大臣、及び次期AEBF議長に対し、ビジネス界と政府間の相互関係を更に改善することを求める。 結 論 22.我々は、この宣言に沿って展開されるASEMのより緊密な経済パートナーシップが、アジアと欧州大陸における持続的な成長及び共有された繁栄を促進するという我々の強い確信を表明する。我々は、ASEMのタスクフォースとAEBFが提出した勧告を含め、最近提出された提案を考慮しつつ、これらの指針の下での行動を前に進めるため、ASEM参加国の経済閣僚・財務大臣ができるだけ早い機会に会合し、適宜他の特定の責任を有する大臣と協調していくことを要請する。 2004年10月9日
ベトナム国ハノイにて作成 |
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