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文化と文明間の対話に関するASEM宣言
(仮訳)


平成16年10月9日


1.2004年10月8日及び9日にベトナム国ハノイにおいて開催された第5回アジア欧州会合(ASEM 5)において、アジア13か国及び欧州25か国の首脳並びに欧州委員会委員長は、「情報技術及びグローバル化の時代の文化多様性及び各国の文化」の議題の下に意見交換を行い、以下の通り合意した。

2.コペンハーゲン首脳会合(2002年9月)以降の国際情勢の展開は、国際社会には解決すべき大きな諸問題が依然として存在することを明らかにした。貿易自由化の進捗とグローバリゼーションの進展を背景に、我々は、世界がより開放的となり、より相互に関連し、新たな情報通信技術の発展と世界規模での大衆文化(globalised mass culture)の出現に更に一体化して行く過程を目のあたりにしている。それと同時に、国際的テロリズム、大量破壊兵器の拡散、人種差別主義の広がり、人種的・宗教的不寛容、富裕層と貧困層との乖離の拡大が国際社会の差し迫った脅威となり、平和的で調和の取れた世界を構築しようとする我々の能力に対する挑戦となっている。

3.こうした挑戦に直面し、国際社会はかつてないほどに一致協力してこれに立ち向かうことが必要となっている。そのために、平等と相互の尊重に基づく、文化と文明間の対話が必要とされている。そのような対話は、潜在的な紛争を予防し、開発を共に促進し、そしてすべての人がその利益を享受できるようにグローバリゼーションに人間味を持たせることに貢献するのみならず、国際連合憲章の目的と原則を保全し、また世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、及び経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約において明確に規定されている普遍的人権を促進するために基本的に重要なものである。

4.ASEM首脳は、文化の多様性は人類共通の財産であり、人間社会の経済的発展及び社会開発を革新させ、鼓舞し、前進させる重要な推進力の源泉であることを再確認した。文化の多様性はより安定した平和な世界を構築する上で極めて大きな機会を提供するものである。なぜなら、それは排除ではなく、包含、寛容、対話及び協力を希求するものだからである。

5.首脳は、ASEMが地理的な利便性と長きにわたる交流が対話と文化交流を拡充するための好ましい土台を築いている東洋及び西洋双方の文化と文明を包含するものであることを認識した。首脳は、ASEMプロセスはまた、両地域の人々の間にパートナーシップ意識を育成することを目指すべきであることを認識した。首脳は、ASEMが取り組んでいる文化と文明間の対話における進展に満足の意をもって留意した。それは、相互理解と文化多様性の尊重を促進する助けとなり、もって両地域間の健全で安定的な関係の基盤を提供する社会間の平和、寛容、及び調和という文化を拡充してきた。この関連で、首脳は、知的、文化的、及び人的交流を促進するための計画を通じて市民社会間に掛け橋を築こうとするアジア欧州財団(ASEF)の重要な役割を強調した。

6.首脳は、2003年12月3日及び4日に北京で開催された文化と文明に関するASEM会合の成果並びに閣僚が採択した勧告を歓迎した。首脳は、関連する国際機関の重要性とそれらが示した決意、特に国際連合教育科学文化機関(UNESCO)一般会議第31回会合においてコンセンサスにて採択された文化多様性に関する世界宣言を実施に移すことの必要性を強調した。首脳は、特に、ASEM参加国がUNESCOで採択された文化に関する諸協定の締約国となるよう求めた。

7.上記に鑑み、首脳は、文化と文明間の対話に向け調和の取れた行動をとっていくことの重要性を確認し、ASEMにおいて開始された協力を、以下の分野に重点を置きつつ継続していくことを決定した。

7.1 教育、高等教育及び訓練:
特にASEMにより発展してきた計画、例えば現行のASEM-DUOフェローシップ・プログラム第1段階及び第2段階、アジア欧州インスティテュート(AEI)といった手段を通じ、欧州委員会が開始した現行のエラスムス・ムンドゥス計画及びアジア欧州間のフェローシップと交流への実質的な資金貢献に留意しつつ、教育交流を推進する。
ASEM青少年スポーツ試合(ASEM Youth Games)やASEM青年政治指導者フォーラムといった青年の参加しやすい計画を通じ、アジアと欧州間の青年交流を拡充・強化する。
民族的偏見や宗教的不寛容をなくすための環境を作り、民族、社会、文化、宗教、言語上のグループ及び国家に対する寛容の精神を育むために、他の諸文化・文明に関する知識向上を目的とした教育により重点を置く。
ASEM生涯学習イニシアティブの継続を含め、教育と訓練における経験の共有を促進する。

7.2. 文化交流及び協力:
大衆文化政策(視聴覚、出版、翻訳等)を展開する国家の権利を認識する。
ASEM参加国間において、舞台芸術、視覚芸術及び文学作品を含む、芸術及び文化の分野における専門家の交流、並びにかかる分野に関係する情報及び経験の共有を促進する。
ASEM参加国間における映画、放送プログラム、出版物、展示会、音楽会、舞台演劇の交流を奨励する。
ASEM諸国が開催する国際的祭典、博覧会、討論会、展示会、会議、セミナー、及びその他の文化的行事への参加を支援する。
他の諸文化・文明についての理解を深め、ASEM参加国間における友好関係を強化するために、その他の文化的活動における協力を促進する。

7.3. アイデアと知識の交流、及び創造力の促進:
欧州とアジアとの間におけるアイデアのフローを円滑にするために、新しい情報通信技術を共有する。
知的財産及び著作権を保護するために、アジアと欧州との間の協力関係を発展させる。
創造力の分野における経験の共有を促進する。
創造力及び芸術的革新にとって有利な政策を展開する。

7.4. 持続可能かつ責任を持った文化的観光事業の促進:
自然及び文化的遺産の保全とその合理的な利用を促進する。
持続可能かつ責任を持った文化的観光事業における経験を共有する。
貧困削減を達成する手段として持続可能かつ責任を持った文化的観光事業を拡大するために、人材育成及びその他の分野での協力を推進し、支援する。

7.5. 文化的資源の保護と促進:
芸術と文化の伝統的形態と現代的形態の双方を保存、発展させる。
有形・無形の文化的遺産の保護における経験を交換し、協力を図る。
創造的産業についての経験の共有と協力を促進する。
ASEMUSのような、アジア及び欧州における博物館の間での協力と交流を支援する。


7.6. アジア欧州財団(ASEF)の能力の強化:
アジアと欧州の市民社会が、ASEMの枠組み内での文化交流活動に積極的に参加するよう奨励する。
現行のASEF文化と文明間の対話計画に重点を置きつつ、ASEFの枠組み内において実施されるイニシアティブを支援する。

8.首脳は、文化と文明間の対話を促進するために国際連合の枠組み内で実施される活動に対する支持を再確認した。首脳は、2005年に国連がその設立60周年を祝うのに際し、関連するフォローアップ活動に積極的に参加することへの期待を表明した。

9.首脳は特に、UNESCOにおいて、文化的内容及び芸術的表現の多様性の保護に関する国際条約の交渉に着手したことを、文化多様性の強化と国家、地域及び国際レベルでの文化間交流の強化の促進に対する重要な可能性を持つ貢献として歓迎した。これに関連し、文化財と文化的サービスの特性が認識されなければならない。文化的及び言語上の多様性を保護・発展させるために必要とされる政策を各国家が策定・実施する権利が認識されなければならない。現在行なわれている交渉は、その結果の如何を問わず、この条約の諸規定と他の国際合意との間に適切な相互関連性を持たせるべきものでもある。この分野における国際的連携と能力の開発を奨励すべきである。

10.首脳は、ASEMにおいて文化と文明間の対話が政治レベルで継続していることに対し謝意を表明した。首脳は、2005年にパリにおいて次回の文化担当大臣会合が開催されることが発表されたことを満足の意をもって歓迎し、各国の閣僚に対し、文明間の対話を促進し、アジア・欧州間の文化交流を更に推進するための長期的計画を策定するよう要請した。


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