![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 各国・地域情勢 > アジア |
![]() |
||||||
![]() |
||||||
|
ASEM第3回首脳会合議長声明
(外務省仮訳)(ソウル、2000年10月20-21日)
序論
1.第3回アジア欧州会合(ASEM3)は、2000年10月20日から21日までソウルにおいて開催された。この会合には、アジアから10ヶ国の首脳が、また、欧州から欧州連合理事会議長としてのフランス共和国大統領を含む15ヶ国の首脳が、欧州委員会委員長とともに出席した。首脳には、外相、欧州委員会委員及び他の閣僚が同行した。この重要な会合では、大韓民国大統領が議長を務めた。
2.首脳は、政治、経済、文化その他の分野におけるアジアと欧州との間の協力を念頭に新たに包括的な「更なる成長のためのアジア欧州パートナーシップ」を形成した1996年3月1日から2日までのバンコクにおける第1回首脳会合(ASEM1)を想起し、また、とりわけアジアの経済・金融危機に対処するために共に取り組むとのコミットメントを通じて首脳がこのパートナーシップを更に強化した1998年4月3日から4日までのロンドンにおける第2回首脳会合(ASEM2)を想起した。
首脳は、これまでの成果を点検し、かつ、ASEMを新たな千年紀に導く広範な方向性を定めるための貴重な機会を提供したソウルにおける第3回ASEMを、ASEMプロセスの発展の歴史的な里程標として認識した。首脳は、アジアと欧州との間のパートナーシップを強化するとのコミットメントを再確認し、2002年にデンマークのコペンハーゲンで開催されるASEM4で再び会合するとの意思を確認した。
3.首脳は、バンコク及びロンドンにおける首脳会合で意見の一致をみ、アジア欧州協力の枠組み(AECF)に示された原則に基づき、第2回ASEM以降のASEMプロセスで図られた進展に満足の意をもって留意した。首脳は、1999年に行われた第2回外相会合、経済閣僚会合及び蔵相会合における討議を評価し、また、同じく1999年に行われた科学技術大臣会合の開催を歓迎した。
両地域の情勢
4.首脳は、金融・経済危機によって影響を受けたアジア諸国における明確な回復の兆候に特段の満足の意をもって留意し、関係当事国における個別の状況に照らした継続的な改革の重要性を認識した。首脳は、この危機に対処するために共に取り組むべくアジアと欧州を結束させる上でASEMが決定的な役割を果たしてきたことを認めた。首脳は、アジア経済の新たな活力及び増大しつつある欧州の経済力が、相乗効果となって両地域の繁栄と安定を促進し、これによって、相互依存の一層の深まりを示しつつある世界において国際社会全体に利益をもたらしていくとの確信を表明した。
この点に関し、首脳は、石油価格の急激な変動に懸念を表明しつつ、石油その他の燃料を含むエネルギーの安定供給を確保することが全てのASEM参加国及び世界全体の長期的経済成長の維持に不可欠であるとの見解を共有した。
5.首脳は、1999年4月のハノイでのASEAN特別外相会合におけるカンボディアのASEAN新規加盟国としての加入(「ASEAN10」)を歓迎し、東南アジアの10カ国の全てを包摂するというASEANの目標の達成に留意した。首脳は、また、ASEAN諸国、中国、日本及び大韓民国が定期的に会合することの重要性を確認し「東アジアにおける協力に関する共同声明」を採択した1999年11月のマニラでのASEANプラス3首脳会議において、東アジア協力の大きな進展が達成されたことを認めた。首脳は、この関連で、2000年7月にバンコクにおいて開催された第1回ASEANプラス3外相会議で達成された進展を歓迎した。首脳は、更に、2000年5月にチェンマイで行われたASEANプラス3蔵相会議及び2000年10月に同じくチェンマイで行われたASEANプラス3経済閣僚会議における進展を、東アジアの金融・経済面での協力を更に強化するものとして歓迎した。
首脳は、また、地域、政治及び安全保障の課題に関する対話と協力のための重要なフォーラムとしてのASEAN地域フォーラム(ARF)の継続した発展に留意し、2000年7月の北朝鮮の加入を、ARFを更に強化し、また、今後地域の平和及び安全保障という目的の前進に貢献する一助となる有意義な一歩として歓迎した。
6.首脳は、ユーロの導入を歓迎し、これが国際通貨システムにおける為替レートの一層の安定に貢献していくことに留意した。首脳は、また、欧州連合の拡大プロセスにおける進展と並び、欧州連合の諸組織を強化するための欧州連合政府間会議における進展に留意した。首脳は、更に、欧州安全保障防衛政策をはじめとする共通外交・安全保障政策の文脈の中での安全保障協力の発展に留意した。
政治対話の促進
7.首脳は、バンコク及びロンドンにおける首脳会合で確立された政治対話の指針に基づき、第1回及び第2回のASEM外相会合並びに高級実務者会合が地域的な及び世界的な共通の関心事項についての議論のための有用な場となり、参加国間の相互の認識及び理解の増進に貢献してきたことに留意した。
8.首脳は、全ての国にとって安全な国際環境を追求すること、更には、国際の平和、安定及び繁栄並びに国際法の尊重に貢献するためにアジアと欧州との間の協力を強化することへのコミットメントを再確認した。この観点から、首脳は、地域的な及び国際的な共通の関心事項について詳細にわたる討議を行った。
首脳は、2000年6月にピョンヤンにおいて開催された歴史的な第1回南北首脳会談を歓迎し、朝鮮半島の平和へのプロセスのための基礎を築いたこの会談の重要な意義を認めた。このプロセスの重要性を踏まえ、朝鮮半島における最近の情勢に関する別途の宣言が発出された。
首脳は、東チモールにおける安定の回復に向けた進展を歓迎し、移行プロセスの成功を保証するため、緊密に関与してきた諸国との協力の下でのUNTAETによる更なる努力を奨励した。首脳は、東チモールにおける復興及び国家建設のプロセスが国際社会全体によって積極的にかつ継続的に支援されるべきであるとの見解を共有した。首脳は、また、これまでにとられた重要な措置を認識するとともに、西チモールにおける東チモール人の難民に関し未解決の問題を包括的な方法で解決することの緊急性を認識した。これらの措置は、全てのチモール人にとっての和解、平和及び調和を確保することを目指すべきである。
首脳は、南東欧諸国の間の協力を進展させることの重要性を強調し、この文脈において、南東欧安定協定を歓迎し、その目的に留意した。首脳は、また、コソヴォにおける国連安全保障理事会決議1244の完全な実施の重要性を強調した。
首脳は、中東情勢に関し懸念を表明した。首脳は、衝突を終結させるための措置に関し合意に達したシャルム・エル・シェイクにおける首脳会談を歓迎した。首脳は、当事者に対し、これらの措置を遅滞なく実施するよう要請した。
首脳は、本年9月6日から8日まで国連本部において開催されたミレニアム・サミットの成功裡の終結を歓迎した。首脳は、特に、世界の首脳による国連憲章の目的及び原則への新たなコミットメントを歓迎し、ミレニアム宣言で特定された21世紀における国際社会の主要な目的を再確認した。この文脈において、首脳は、安全保障理事会を含め、国連システムの代表性、透明性及び実効性を強化し、かつ、増進することを目標とした国連改革へのコミットメントを表明した。首脳は、また、開発協力の分野における国連とその他の関係機関との間のより良い調整を呼びかけるとともに、国連に対しその任務を遂行することができるような十分な資金を提供することの重要性と並び、より健全な国連財政の重要性を確認した。
首脳は、ウィーンにおける世界人権会議において表明された人権及び基本的自由の普遍的、不可分的及び相互依存的な性格に留意しつつ、開発の権利を含む全ての人権及び基本的自由を助長しかつ擁護することにコミットした。
首脳は、世界各地で頻発する武力紛争に深い懸念を表明し、国連憲章と国際法に従った紛争の効果的な予防のために共に取り組むことにつき意見の一致をみた。首脳は、また、世界的な戦略バランス及び安定を維持すること並びに大量破壊兵器の軍備管理、軍縮及び不拡散に関する地域的な及び世界的なイニシアティブを強化することの重要性を強調した。首脳は、更に、国際的な軍備管理及び軍縮に関する既存の諸条約の一体性及び妥当性を堅持し、これらの分野におけるASEMの対話と協力を更に進展させる決意を表明した。首脳は、核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功裡の結果を歓迎し、同会議でコンセンサスにより採択された最終文書の完全な実施を期待した。首脳は、包括的核実験禁止条約の早期発効、合意された作業計画の枠組みの中で5年以内の妥結を目指す核兵器用核分裂性物質生産禁止条約交渉の即時開始、並びに、生物・毒物兵器禁止条約を強化するための措置に関するアドホック・グループ交渉の早期妥結に対する支持を再確認した。首脳は、更に、化学兵器条約を実施する上で化学兵器禁止機関によって図られた進展に留意し、また、普遍性を積極的に促進する必要性を強調した。首脳は、対人地雷(APL)の無差別使用により引き起こされた被害及び死傷者に対処するための国際社会の努力を評価し、また、地雷除去の訓練、不発弾の除去及び被災者の社会復帰のための国際支援を支持した。首脳は、また、小型武器問題に対処する必要性を強調し、2001年に行われる小型武器非合法取引のあらゆる側面に関する国連会議の成功のために共に取り組むことにつき意見の一致をみた。
首脳は、世界の急激な変化が国際社会全体に対して手強い課題を提示するとの見解を共有した。これに関し、首脳は、対等のパートナーシップ、相互尊重及び互恵に基づく多国間の強化された対話と協力を促進する上で、また、アジアと欧州との間で深まりつつある相互依存及び変化する国際環境に照らして新たな国際政治経済秩序を構築する上で、ASEMが建設的な役割を果たすことへのコミットメントを表明した。
9.首脳は、バンコク及びロンドンにおける首脳会合の結論及びアジア欧州協力枠組み2000を基礎として、例えば、グローバル化した世界における移民の流れを管理すること、資金洗浄を含む国境を越えた犯罪、移民の密輸及び搾取、人身特に性的搾取を目的とした女性と児童の売買、国際テロリズム及び海賊行為、人種差別及び外国人に対する敵意、不法な薬物との闘い、女性と児童の福祉、地域ヘルス・ケアの改善、HIV/エイズ、感染性及び寄生虫性の病気との闘い、並びに、食糧安全保障及び食糧供給といった地球規模の共通の関心事項に対処することへのコミットメントを表明した。この点に関し、首脳は、国連国際組織犯罪条約及びその議定書の2000年末までの採択に対する確固たる支持を表明した。
首脳は、天然資源基盤の減少、特にエネルギーと環境の問題が全てのASEM参加国にとっての課題であることを認識し、地球規模の環境問題に対処すること、2000年11月に行われる気候変動枠組条約第6回締約国会議の成功を確保すること及び京都議定書の早期発効に向けて取り組むことへのコミットメントを改めて表明した。この文脈において、首脳は、環境の保護及びASEM参加国間の協力の増進の際立った重要性を強調した。この関連で、首脳は、1999年3月の正式な開設以降タイのアジア欧州環境技術センター(AEETC)によってなされた進展に評価の意をもって留意し、環境分野の協力の増進に向けて触媒としての役割を果たすための同センターの努力を支持した。
経済・金融分野における協力の更なる強化
10.首脳は、両地域間の強力なパートナーシップの不可欠な要素として、ASEM参加国の間の経済的繋がりを一層強化することにコミットした。首脳は、ASEM2の際に打ち出された貿易と投資に関するプレッジが、アジア危機によって打撃を受けた経済を安定させ、かつ、この地域の新たな成長のための強固な基礎を提供する上で果たした実質的な貢献に特に留意した。首脳は、また、1999年10月にベルリンで開催された第2回経済閣僚会合及び貿易と投資に関する高級実務者会合の成果を歓迎した。
首脳は、両地域間の貿易と投資の流れを増大させる努力を更に強化することを決定し、また、貿易円滑化行動計画(TFAP)に関連して達成された進展、特にASEM2以降達成されTFAPの全体評価の報告書の中に反映された具体的な目標、電子商取引の新たな優先分野としての追加、及び、ASEM参加国によって共同で特定された主要な一般的貿易障壁を克服すべく、個々の参加国の現状について自主的な年次報告を準備することに関する意見の一致に満足の意を表明した。首脳は、また、特に投資に関する制度及び参加国にとっての機会についての情報を提供する「ヴァーチャル情報交換(VIE)」の拡張、並びに、海外直接投資(FDI)を促進する上で、参加国にとっての非拘束的な基準として経済閣僚によって承認された最も効果的な措置のリストの編纂を含め、投資促進行動計画(IPAP)を実施する上でSOMTIによってとられた積極的な措置に留意した。首脳は、経済閣僚に対し、アジアと欧州との間の貿易と投資の制度を開かれた透明な方法で強化するため、これらの措置及び今後策定されるその他のメカニズムが効果的に実施されることを確保するための弾みを維持するよう求めた。この目的のため、首脳は、貿易円滑化行動計画に付属された作業計画(2000年から2002年までのTFAPの成果と目標)を承認した。
知識、情報及びグローバリゼーションの時代に、首脳は、貿易と投資と並び、情報通信技術の分野における協力の重要性を認識した。首脳は、情報通信技術が世界経済において枢要な成長の原動力となるに至り、また、それに伴う情報格差が一国の国内及び国と国との間の経済的・社会的不均衡を拡大していくとの見解を共有した。これを念頭に、首脳は、両地域の共通の繁栄を促進するために情報格差に対処する努力を加速することにつき意見の一致をみ、経済閣僚に対し、この分野における進展を点検するよう指示した。この文脈において、首脳は、また、研究交流とともに知識及び情報の流れを円滑化するため、両地域間及びASEM参加国の間に情報・研究ネットワークを確立し、拡大することの必要性を強調した。
11.首脳は、世界の成長、繁栄及び持続可能な開発を促進し、グローバリゼーションへの課題に対処する上でのルールに基づく多角的貿易体制の重要性を改めて表明した。この点に関し、首脳は、多国間貿易交渉の新ラウンドを通じ、更なる自由化を促進し、ルールを強化し及び発展させることに共に取り組むとのコミットメントを強調した。首脳は、他のWTO加盟国とともに、そのようなラウンドを最も早い機会に立ち上げる努力を強化することにつき意見の一致をみた。交渉の議題は、開発途上国の加盟国を含む全てのWTO加盟国の関心に対応する全体としてのバランスを反映したものとすべきである。これは、グローバル化した世界経済におけるWTOの有用性を引き続き確保することを目指しつつ、個々のWTO加盟国の関心項目を予め排除しないものの議題の設定における包括的なアプローチをとることによって、より達成されやすくなるであろう。この目的のために、首脳は、新ラウンドの開始について必要なコンセンサスによる決定の土台を構築するためには、全てのWTO加盟国間の開放的で建設的な対話と並び、強い政治的意思及びより大きな柔軟性が必要となっていくことを強調した。
首脳は、ビルト・イン・アジェンダの下での交渉がこれまで積極的にかつ建設的に行われてきていることを歓迎し、これらの交渉に誠意をもって積極的に取り組むことを誓った。首脳は、交渉が新ラウンドの一部として行われれば、合理的な時間的枠組みの中でより意味のあるバランスのとれた結果が達成され得ることを認識した。この点に関し、首脳の間では、既にマンデートを与えられた交渉における更なる進展がこのような多角的交渉にも積極的な影響をもたらしていくとの一般的な理解も存在した。
首脳は、また、特に市場アクセス機会の改善及びキャパシティ・ビルディングの増進のための技術協力を含む様々な手段を通じ、更にはウルグアイ・ラウンド合意の実施に関連した課題への対処を通じ、開発途上国及び後発開発途上国の関心及び懸念が適切に対処されるべきであることを強調した。
首脳は、ASEM参加国によるWTOへの完全な参加がWTO体制を強化することを認識し、また、情報及び経験の交換並びに技術協力を通じ、相互に受入れ可能な市場アクセスへのコミットメント及びWTOルールの遵守に基づき、ASEMの非WTO加盟国に関し現在行われている加盟交渉を加速することへの支持を再確認した。首脳は、また、多角的貿易体制に対する広範な国民の支持を持続させることの重要性を強調し、貿易自由化の利益及び課題に関し国民への関与を改善するための努力を強化することにつき意見の一致をみた。
首脳は、地域的な貿易取極の数が近年増加していることに留意しつつ、多角的貿易体制の優位性を強調した。この点に関し、首脳は、全ての地域的な貿易取極がWTOと整合的であり、かつ、多角的貿易体制を補完するものとなるよう確保することにつき意見の一致をみた。
12.首脳は、国際社会からの実質的な支援に伴い、アジアが1997年に起こった経済・金融危機から相当程度の回復途上にあることに満足の意をもって留意し、金融の分野、特に危機の再発の防止における協力を強化することを目指したASEMの活動の現状を評価した。
この文脈において、首脳は、1999年1月にフランクフルト・マインにおいて開催された第2回蔵相会合の結果を点検し、これにより、ASEM信託基金及び欧州金融専門家ネットワークをはじめとする具体的なイニシアティブが金融セクター及び社会セクターにおける問題に対処する上での有意義なインパクトを認識した。首脳は、また、健全な金融規制の実施において達成された進展、特に効果的な銀行監督のためのバーゼル・コア・プリンシプルにおける進展を歓迎した。首脳は、また、国際金融アーキテクチャーを強化するために既にとられた措置を歓迎した。首脳は、健全な長期的成長の条件を創出する上での改革の決定的な役割を想起し、欧州及びアジアの参加国に対し、各々の経済改革努力に関する経験を交換することを要請した。
首脳は、経済・金融危機がその影響を受けたアジア諸国に与えた打撃を軽減する一助としてのASEM信託基金(ATF)の成果を歓迎した。首脳は、ATFの第2フェーズへの延長を支持した。この関連で、首脳は、蔵相に対し、2001年1月に神戸において行われる蔵相会合においてATF第2フェーズの態様を決定することを要請した。
首脳は、国際金融市場の脆弱性を評価した上で、国内の金融改革及びコーポレート・ガバナンスの重要性を強調しつつ、国際金融システムを強化し長期的安定を確保するために更なる措置をとることにつき意見の一致をみた。首脳は、秩序ある金融自由化の原則を実行に移すためにあらゆる努力を払うことにつき意見の一致をみた。首脳は、コード及び基準を実施する必要性を強調した。首脳は、高レバレッジ機関に関する金融安定化フォーラムの作業に留意し、間接規制を実施することの重要性を強調した。首脳は、見直しを行った上で間接規制の実施が特定された懸念に十分対処していない場合には、直接規制も検討されることを強調した。首脳は、また、急激な国際資本移動に関連する潜在的な問題に対処することに引き続きコミットしていることを再確認した。加えて、首脳は、問題のあるオフショア金融センターにおける規制を強化する必要性を改めて表明し、この観点から、資金洗浄に対する闘いが市場の一体性、ひいては金融の全般的安定を強化する上で果たすべき決定的な役割を強調した。この観点から、首脳は、金融活動作業部会の勧告及びこの勧告を優先的な国際基準に含めることを強く支持した。首脳は、また、危機の防止及び解決において民間債権者を組織的に関与させることの必要性を強調した。首脳は、EMUに例示されるように、国際的な安定を促進する上での地域的な経済・通貨協力の役割を認識した。
首脳は、来る蔵相会合に対し、欧州の参加国が地域的な経済・通貨協力を促進する上での経験をいかにしてアジアの参加国と共有し得るかにつき研究するよう奨励した。首脳は、また、蔵相に対し、アジアの参加国がいかにしてユーロの導入に起因する国際通貨システムにおける際立った変化を考慮し得るかにつき検討するよう求めた。
首脳は、神戸において開催される第3回ASEM蔵相会合が通貨及び金融問題において更に実質的な進展を達成することに強い期待を表明した。
13.首脳は、ASEMが両地域のビジネス界の対話と協力を促進する必要性を改めて表明し、1999年のAEBFガイドラインの採択によって更に強化されたアジア欧州ビジネス・フォーラム(AEBF)の中心的な役割を強調した。首脳は、ASEMプロセスにおいて深化しつつあるビジネス界の関与の証左として、特に貿易円滑化及び投資促進に関するAEBFからの積極的な成果及びインプットを歓迎した。首脳は、AEBFに対し、TFAP及びIPAPを実施するために行われる活動において、より積極的な役割を果たすよう要請した。
首脳は、中小企業が全ての国において中核的な経済活動を構成し、また、新たな雇用を創出する上で必要不可欠であることを認識し、アジア欧州中小企業会合及びセミナーの成果、アジア及び欧州の中小企業に対し成長と繁栄を共に追求することを奨励するに際してのAEBFの努力並びに両地域間の中小企業活動を促進し円滑化するための中小企業組織の間のネットワークの発展を歓迎した。首脳は、また、中小企業のニーズに応えるASEMの努力の一環として、オンライン・ビジネス・マッチング及び情報へのアクセスを円滑化するためのASEMコネクトが設立されたことを歓迎した。
14.首脳は、科学技術の重要性を強調しつつ、1999年10月に北京において開催されたASEM科学技術大臣会合の成果を歓迎した。首脳は、同会合以降のアジアと欧州との間の科学技術協力を増進するための措置の具体的な進展を歓迎した。首脳は、同会合において特定された共通の関心・優先分野における活動についての強化並びに更なるフォローアップを要請した。これらは、生物多様性の保存及びバイオ・セイフティをはじめとし、食糧安全保障、持続可能な経済・社会の開発などを含む地球規模の解決が求められる課題から、企業の研究能力の向上、電子商取引及び情報技術の発展、研究機関・大学から産業への知識移転、科学技術についての人材養成並びに農業における科学技術の課題に及ぶ。これらの分野における協力は、共同研究の促進、研究者交流、セミナー、訓練コース及び優良な研究拠点の間のネットワークを通じ、増進される。
社会・文化を含む他の分野における協力の促進
15.首脳は、社会的な及び文化的な分野における様々なレベルでのより緊密な人と人との交流を通じて両地域間の相互理解を増進させることの重要性を強調した。首脳は、また、いきいきとして多様なアジアと欧州の文化を、両地域の相互協力を活気づけるための活力の源として認識し、ASEMがこの目標を達成するための優れた手段であることに留意した。
首脳は、教育の決定的な重要性を認識し、主要な優先事項が、学生及び研究者の交流、大学間協力並びに両地域間における学校の間の電子的なネットワーク構築の円滑化を含め、この分野における接触及び交流を増進することであるべきことにつき意見の一致をみた。この点に関し、首脳は、両地域の教育機関の間での学位、免許などの相互承認の可能性を探求することに着手した。首脳は、また、教育に関する協力を拡大し、一層の異文化間の接触を促進し及びアジアと欧州との間の相互理解を促進するに際してのASEM教育ハブ(AEH)、アジア欧州大学(AEU)その他の関連活動の潜在力を認識した。
16.首脳は、グローバリゼーションの負の影響を減らしつつ、グローバリゼーションの利益が広く共有されることを確保する必要性につき意見の一致をみ、参加国の間で社会・経済問題に関する対話を強化することへのコミットメントを表明した。首脳は、アジアと欧州双方の持続的な成長及びメコン河流域などの後発開発途上地域における持続可能な開発の促進にとって、並びに、ASEM参加国の国内及びASEM参加国の間における経済的・社会的格差の是正にとって、社会開発及び生涯学習を含む人材養成が重要であることを強調した。首脳は、また、社会的に脆弱な人々の福祉を促進するためにソーシャル・セーフティ・ネットを増進する意思を確認した。首脳は、1995年のコペンハーゲン宣言の実施の進展を点検するために2000年6月26日から30日までジュネーブにおいて開催された社会開発サミット・フォローアップに関する第24回国際連合特別総会の成果を歓迎した。首脳は、コペンハーゲン・プラス5の原則及び目標の遵守により、また、更なる措置及び同特別総会で特定されたイニシアティブの実施により、社会開発の障害を克服することへのコミットメントを表明した。
17.首脳は、1997年の設立以降、アジアと欧州との間の人と人との交流、知的繋がり及び文化交流を促進する上でアジア欧州財団(ASEF)が果たした重要な役割を認識し、両地域間の相互理解を増大する主要な手段としてのASEFの役割に対する全面的な支持を再確認した。首脳は、また、この機会を利用し、退任するASEFの運営チームの功績に対し謝意を表すとともに、新たな運営チームを歓迎した。
ASEMプロセスの前進
18.首脳は、バンコク及びロンドンにおける首脳会合を基礎として、
-ASEM3に提出されたアジア欧州ビジョン・グループ報告書を歓迎した。首脳は、グループのメンバーに対し、ASEMプロセスのための中長期的ビジョン及びアジアと欧州との間の相互協力を促進する多くの価値ある提言を提示するこの報告書を作成する上での努力に対し、謝意を表明した。
-ロンドンにおけるASEM2において首脳により承認されたAECFを基礎として作成され、21世紀の最初の10年のためのASEMプロセスのビジョン、原則及び目的、優先事項並びに仕組みを設定したアジア欧州協力枠組み2000(AECF2000)を採択した。
19.バンコク及びロンドンにおける首脳会合において特定された協力に加え、また、今回採択されたアジア欧州協力枠組み2000にて設定された目的及び優先事項を前進させることを目指し、首脳は、
-次の新たなイニシアティブを承認した。
(グローバリゼーション/情報技術)
- 電子商取引と物流に関する会議
- 情報格差に対処するためのイニシアティブ
- グローバリゼーションに関する円卓会議
- 中小企業のアジア欧州協力に関するセミナー
- 情報通信技術に関するセミナー
- ユーラシア大陸横断情報ネットワーク
- WTO貿易円滑化会議
(国境をまたぐ事項及び法執行関連事項)
- 汚職対策イニシアティブ
- 資金洗浄対策イニシアティブ
- 女性と児童の売買と闘うためのイニシアティブ
- 国境を越えた犯罪との闘いにおけるASEM法執行機関の協力に関するシンポジウム
(人材養成/環境/保険)
- DUO/フェローシップ・プログラム
- 環境大臣会合
- HIV/エイズに関するイニシアティブ
- アジア欧州移民管理協力に関する閣僚会合
- 森林保全と持続可能な開発に関する科学技術協力
-また、ASEMに提案された次の新たな活動に留意し、アジア欧州協力枠組み2000の文脈の中での更なる進展を奨励した。
- ネットワーキングに関する共同研究プログラム
- 情報通信技術に関する人材養成
- 生涯学習
- 文化的差異の克服:新たな公的部門の運営に向けて
- 伝染病の監視及び管理のための欧州アジア・ネットワークのためのプロジェクト
- ASEMにおけるビジネス機会の促進
- メコン河流域開発における人材養成に対する情報技術の応用についてのアジア欧州協力に関するセミナー
ASEM4に向けてとその後
20.首脳は、2002年にデンマークのコペンハーゲンで開催されるASEM4にて会合することを待望し、2004年にアジアにおいて第5回ASEMを開催することを決定した。首脳は、2001年については、外相、経済閣僚及び蔵相が各々中国、ヴィエトナム及び日本において会合することに留意した。首脳は、閣僚に対し、2002年のASEM4が開かれる前の各々の会合の具体的期日及び開催地について決定するよう指示した。
ASEM2以降の活動 1.閣僚会合
1) 1999年3月28日から29日までドイツにおいて行われた外相会合 2) 1999年10月9日から10日までドイツにおいて行われた経済閣僚会合 3) 1999年1月15日から16日までドイツにおいて行われた蔵相会合 4) 1999年10月14日から15日まで中国において行われた科学技術大臣会合 2.高級実務者会合
- タイ(1998年10月27-28日)、フィンランド(1999年11月2-4日)、ポルトガル(2000年5月2-3日)及び韓国(2000年9月18-20日)
3.貿易と投資に関する高級実務者会合
- シンガポール(1999年2月12-13日)、ベルギー(1999年7月7-8日)及び韓国(2000年5月12-13日)
4.蔵相代理会合
- オーストリア(1999年12月18日)及びフランス(2000年9月14日)
5.その他の会合
1) アジア欧州ビジョン・グループ会合
-英国(1998年4月5-6日)、シンガポール(1998年7月2-3日)、イタリア(1998年10月3-4日)、日本(1999年1月8-9日)及びポルトガル(1999年2月6-7日)2) アジア欧州ビジネス・フォーラム
-韓国(1999年9月29日-10月1日)及びオーストリア(2000年9月29-30日3) ASEM信託基金レビュー会合
-ベルギー(1998年7月8日)、タイ(1999年1月20日)、英国(1999年6月22日)、インドネシア(2000年2月3-4日)及びフランス(2000年9月13日)4) 1999年3月8日から10日までデンマークにおいて行われた国家と市場に関するASEM会合 5) 1998年5月28日から30日までイタリアにおいて行われたASEM中小企業会合 6) 1999年10月4日から5日までイタリアにおいて行われた産業地区と技術移転に関するセミナー 7) 1999年2月23日から25日までフィリピンにおいて行われた税関手続の簡素化・ハーモナイゼーションに関するセミナー 8) 1998年10月26日から27日までオランダにおいて行われた労働関係に関するセミナー 9) 1999年6月23日にベルギーにおいて行われたASEM関税局長・長官会合 10) 執行に関する税関作業部会
-ベルギー(1999年2月5-6日及び2000年2月4-5日)11) 手続に関する税関作業部会
-フィリピン(1999年2月26日)及びベルギー(2000年4月14-15日)12) 2000年9月30日にオーストリアにおいて行われた貿易、投資及び競争に関する会合 13) 動物・植物検疫に関するTFAP会合
-タイ(1999年2月2-5日)、中国(1999年11月23-24日)及びオランダ(2000年9月11-14日)14) 基準及び適合性に関するTFAP会合
-ベルギー(1998年9月30日-10月2日)、韓国(1999年3月10-12日)、ベルギー(1999年10月4-6日)、タイ(2000年2月28日-3月1日)及びベルギー(2000年10月2-4日)15) 知的所有権に関するTFAPテーマ別会合
-フランス(1999年6月24-25日)及びタイ(2000年3月16-18日)16) 1999年9月14-15日までドイツにおいて行われた政府調達に関するTFAPテーマ別会合 17) SOMTI4におけるASEM流通に関する報告書の採択 18) 1998年7月24日にタイにおいて行われたIPAP(投資促進行動計画)投資専門家会合(IEG)シェパード会合 19) IPAP投資専門家会合
-フランス(1998年11月23-24日)、シンガポール(1999年2月11日)、ベルギー(1999年7月5-6日)及び韓国(2000年5月11-12日)20) 1999年10月1日に韓国において行われたIPAP政策担当者円卓会議 21) アジア欧州環境技術センター・パイロット・フェーズ・ガイダンス・グループ会合
-タイ(1998年6月25-26日)、タイ(1998年11月26-27日)、タイ(1999年3月29-30日)、ドイツ(1999年6月21-22日)、日本(1999年12月9-10日)及び韓国(2000年7月6-7日)22) アジア欧州ヤング・リーダーズ・シンポジウム
-オーストリア(1998年5月25-29日)、韓国(1999年5月24-28日)及びアイルランド(2000年6月12-16日)23) 1999年11月25日から27日までフランスにおいて行われたASEM教育ハブ・ネットワークの形成に関する会合 24) 1998年6月15日から16日までフィリピンにおいて行われた児童福祉についてのASEM行動に関する準備会合 25) 1998年10月6日から8日まで英国において行われた児童福祉専門家会合 26) 1999年3月にマニラにて行われた警察及び執行機関による児童福祉会合のための準備会合 27) 2000年5月4日から6日まで韓国にて行われた警察及び執行機関による児童福祉会合 28) 1999年3月18日から19日までヴィエトナムにおいて行われた公的ヘルス・ケアのための伝統医療と近代医療の組合せに関するASEMセミナー 29) 1999年1月21日から22日までヴィエトナムにおいて行われた文化遺産の保護及び促進に関するASEM専門家会合 30) 1999年5月19日から21日まで中国において行われた文化産業と文化発展に関する会合 31) 1999年5月26日から28日までドイツにおいて行われたアジア危機、民主主義及び人権に関する会合 32) 2000年5月26日から28日までルクセンブルグにおいて行われた21世紀の教育に関するアジア欧州ワークショップ 33) アジア欧州財団理事会
-オランダ(1998年10月25日)、中国(1999年5月17-18日)、デンマーク(1999年10月25-26日)、オーストリア(2000年5月4-5日)及び韓国(2000年10月16-17日)
BACK / 目次 |
| ||||||||||
![]() |