(イ) |
ヨハネスブルグサミット(WSSD)のフォローアップ
各国代表より、ヨハネスブルグサミットの成果の実施の重要性が指摘された。また欧州側からは環境保全と経済・社会政策との統合、持続可能な生産消費パターンへの転換、飲料水・衛生施設へのアクセスの改善と人間居住(Human Settlement)の改善を通じた貧困の撲滅、再生可能エネルギー・エネルギー効率の改善の重要性について指摘した。国連持続可能な開発委員会(CSD)については、環境大臣のみならずその他の関係大臣の参加の重要性、UNEPの国際環境ガバナンスの強化の必要性について指摘がなされた。アジア側からは、国内ガバナンスの強化、水、衛生の目標達成のための自国の取組み等についての説明があった他、先進国よりの知見、技術の移転の必要性等について発言があった。
小池大臣よりは、持続可能な生産消費パターンについて、本年3月に閣議決定された「循環型社会形成推進基本計画」に基づく2010年を期限とした3つの数値目標(資源生産性、リユース・リサイクル率及び最終処分率向上)の達成のため、環境教育の強化、環境に配慮した製品設計等の重要性を指摘した。さらに、本年4月のG8環境大臣会合においてわが国が提唱した資源生産性に関する共同提案、及びそのフォローアップのため本年11月に東京において物質フロー会計及び資源生産性に関する国際専門家会合を開催することを発表した。
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(ロ) |
砂漠化防止、生物多様性及びその他の多国間環境条約
各国大臣から、多国間条約をどのように遵守し実行して成果を出していくかに関して議論が行われた。各国から積極的に条約の実施の取り組んでいることが紹介され、多国間条約間の相互調整や世界規模での様々な政策の統合が重要であり、また環境と経済の統合の視点が重要である旨主張された。また、民間部門を活用するため、市民や企業をまきこんだパートナーシップの重要性についても触れられた。
ベトナム、中国等の途上国側からは、人材の不足、制度の不十分性が条約の実施を妨げており、京都議定書等の条約の確実な実施のためには情報、財源等の分野での人造りが必要であり、国際協力がなければ持続可能な開発はありえないとの意見が表明された。各国から国際協力の必要性や技術・体験の共有の必要性が主張される中、シンガポールより、条約実施にあたっての障害を撤廃するために「ASEMを、戦略的にベスト・プラクティスを学ぶ場とするべき」との提案がなされ、欧州側の支持を得た。
UNEPに関しては、EU各国(ルクセンブルク、フランス、アイルランド、欧州委員会)より、UNEPを国連専門機関へ改革することを支持し、国際的な調整機関として強化していくべきであるという主張がなされた。
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(ハ) |
気候変動
小池大臣より、12日のワーキング・ディナーに続いて、気候変動への取組の国際的なモメンタムを維持するためにも議定書の早期発効が待たれること、そのためにはアジア・欧州各国が協力してロシアに対し議定書の批准を働きかける必要があり、今次ASEM会合出席者全員よりロシアを含む未批准国に対して批准を呼びかけるメッセージの発出することを呼びかけた。また、京都議定書は、気候変動枠組条約の究極の目標達成のための第一歩であり、全ての国が参加する共通の枠組を構築し、環境保全上の実効性確保の必要性を指摘した。
英、仏等の欧州からは、京都議定書の早期発効を目指して協力してロシアへの働きかけの重要性を指摘した。また、欧州国の他、中国、インドネシアがCDMを通じた先進国と途上国の協力の重要性について指摘した。
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(ニ) |
ASEMにおける環境に関する今後の取組
タイより、アジア欧州環境技術センター(AEETC)の活動実績及び2001年8月に提出された最終報告の内容についての報告がなされ、また、ASEMにおけるアジア側の協議・調整を強化するためにフォーラムを構築することを含む提案がなされた。アジア側のみならず欧州側からはその趣旨に賛同する発言があった。小池大臣からは、問題意識は共有する、他方既存の枠組みとの関係を踏まえて考えるべきである、いずれにせよこの問題については真剣に、かつ積極的にASEM参加国と協議していくこととしたい旨述べた。また独より、環境大臣会合は2~3年に1回開催すべきである旨述べた。最終的には、各国のフォーカルポイントのリストを整備し、このネットワークを活用していく旨議長サマリー(PDF)にまとめられた。
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