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佐藤アフリカ紛争・難民問題担当大使のエチオピア、マリ及びコートジボワール訪問
(概要と評価)


平成16年6月

1.概要

 佐藤啓太郎アフリカ紛争・難民問題担当大使は5月23日から6月4日までエチオピア、マリ及びコートジボワールを訪問しました。エチオピアでは、アフリカ連合(AU)平和・安全保障理事会の首脳級設立式に日本政府の代表として出席しました。マリでは、「第6回人間の安全保障ネットワーク閣僚会議」にオブザーバーとして出席しました。コートジボワールではわが国の平和の定着分野での施策や和平プロセスについて政府関係者や国際機関関係者などと幅広く意見交換を行いました。以下、それぞれの訪問結果です。

2.アフリカ連合(AU)平和・安全保障理事会設立式(於:エチオピア)

 アフリカ連合(AU)の本部(エチオピア)において、平和・安全保障理事会の首脳級設立式が5月25日に開催されました。この設立式には、アルジェリア、ナイジェリア、スーダン、モザンビーク、エチオピア、レソト、トーゴなどから大統領や首相が出席した他、AU加盟国やAUパートナー諸国が出席し、日本からは佐藤大使が日本政府を代表として出席しました。この平和・安全保障理事会は、アフリカにおいて紛争予防や紛争解決などのためにアフリカ各国が協力して取り組むための中心となる枠組みです。日本政府はこの設立式の機会に小泉総理よりお祝いのメッセージを発出しました。

3.第6回人間の安全保障ネットワーク閣僚会議

 人間の安全保障ネットワーク(以下、「ネットワーク」)とは、1999年にカナダとノルウェーのイニシアティヴで設立されたグループで、我が国が国際社会に推進している「人間の安全保障」とはやや異なった「人間の安全保障」を推進しています。ネットワークの加盟国は、現在12カ国(注)で、第6回閣僚会議は5月27-28日に、その時点の議長国であるマリで開催されました(右閣僚会議を以て、議長国は、カナダに交替されました)。第5回閣僚会議には、緒方貞子元国連難民高等弁務官(現国際協力機構理事長)が「人間の安全保障委員会」の共同議長として、ゲストスピーカーという形で参加しましたが、今回の閣僚会議には、日本から初めて正式なオブザーバーとして佐藤大使が出席の上、演説を行い、「人間の安全保障」についての我が国の考え方をネットワーク諸国に直接伝達しました。
 (注)カナダ、オーストリア、チリ、ギリシア、アイルランド、ヨルダン、マリ、オランダ、ノルウェー、スロベニア、スイス、タイ。南アがオブザーバー

4.コートジボワール

(1) 会談

(イ) バンバ外相
 佐藤大使より、第三回アフリカ開発会議(TICAD III)で示されたわが国のアフリカ支援策を紹介しつつ、その柱である平和の定着を重視する観点から、対コートジボワール支援について説明しました。これに対しバンバ外相は、日本の支援に謝意を述べるとともに、西アフリカ地域の難民支援の課題について説明し、わが国からの協力を求めました。
(ロ) テヴォエジレ国連事務総長特別代表
 テヴォエジレ代表は、今年4月からの国連PKO UNOCIの活動及び今後のコートジボワールの課題につき説明しました。これに対し、佐藤大使よりUNOCIのコートジボワール和平に対する貢献を高く評価しつつ、国連PKOに対するわが国の貢献を紹介し、これに対しテヴォエジレ代表より日本の多大な貢献に対し謝意が述べられました。また、コートジボワール情勢及び西アフリカ地域(コートジボワール、リベリア、シエラレオネ)に展開している国連PKOについて意見交換しました。
(ハ) ディアラ首相
 コートジボワール国民和解政府の課題や日本の支援方向性につき意見交換を行いました。その中で、ディアラ首相はコートジボワール国内融和に向けた日本の支援、国連PKOを通じた支援、緊急人道援助及びDDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰計画)関連のコートジボワール支援に謝意を述べつつ、コートジボワール自身としても一層の努力をしたいとの決意を述べました。また、ディアラ首相は日本の対アフリカ支援の柱である「平和の定着」について大いに賛同し、特に2005年に実施予定の同国における大統領選挙への決意を述べ、わが国からの今後の一層の協力を求めました。
(ニ) その他
 佐藤大使は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)関係者及び駐コートジボワール仏大使とそれぞれ意見交換の機会を持ちました。主に難民問題や2005年に実施予定の同国における大統領選挙の見通しや課題について説明を受け、今後の協力の可能性について議論しました。

(2) 現地視察等

 コートジボワールでは、DDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰計画)サイトの現場、国連開発計画(UNDP)の現地代表及び現地のDDR関係者らと意見交換しました。(なお、日本もDDR事業を支援しています。)

地元の人々と歓談する佐藤大使 地元の人々と歓談する佐藤大使
DDR関係者からの説明 動員解除施設視察
(元兵士の武装解除後、
一時駐留する宿泊施設、保健所等)
5.評価

(1) 佐藤大使のアフリカ連合(AU)平和・安全保障理事会設立式への出席は、日本がアフリカ開発会議(TICAD)プロセスにおいてアフリカでの平和の定着を重視しており、積極的に協力していく姿勢を広く印象づけることができました。

(2) ネットワークが推進する「人間の安全保障」と我が国が推進する「人間の安全保障」の理念は、そのいずれも、グローバル化が進展することにより、従来の国家安全保障の枠組みでは対処が難しい様々な脅威から、人間一人一人を保護しようとする考え方で、その内容は概ね一致しています。他方、ネットワークが推進する「人間の安全保障」は、紛争や大量虐殺など、特定地域の人々が、真に重大な脅威に晒されている場合で、本来これらの人々を保護すべき、主権国家・政府が機能しない場合に、最終的な手段として、人道的目的から、第三国が軍事介入を行うこともやむを得ないとする「人道的介入」の考え方をも念頭に置いた概念であり、中南米諸国の一部を中心とするいくつかの国がこの考え方に反発しています。我が国が、国際社会に推進している「人間の安全保障」の理念は、むしろ人々の能力強化に重点を置いたものであり、我が国政府は、この目的を実現するために「人間の安全保障基金」を国連に拠出(現在までに約259億円)し、様々な具体的なプロジェクトを関係国際機関を通じて行ってきております。
 今回のネットワーク閣僚会議では、佐藤大使より、(イ)我が国とネットワークの理念の共通点と相違点、(ロ)我が国とネットワークが今後協力関係を構築しようとする場合の問題点、等を指摘し、ネットワーク側より、一定の評価を得ました。

 ↓佐藤大使がネットワーク閣僚会議で行った演説全文
 (http://www.mofa.go.jp/policy/human_secu/state0405.html

 またマリのトゥーレ大統領、ウアン外務大臣は、今回の佐藤大使のネットワーク会合への参加と日本がマリを含むアフリカ全体に対して行っている様々な貢献を高く評価し、その趣旨を直接佐藤大使に伝えました。

(3) コートジボワールにおいては、コートジボワール国民和解政府のハイレベル要人に直接平和の定着を働きかけることにより、わが国として一定の政治的な役割を果たすとともに、コートジボワールの平和の定着分野でのわが国の積極的な支援姿勢を説明しました。また、今後のコートジボワールにおける政策の検討に役立てるため、国連関係者との意見交換を行い、復興支援現場の視察等を行いました。

(4) 佐藤大使のアフリカ紛争・難民問題担当大使への就任からこれまで約1年間の積極的な活動について、会談した関係者の多くが、アフリカの「平和の定着」支援に対するわが国の強い意志を示すものであるとして高く評価しました。
(a) 03年7月:モザンビーク、ケニア、スーダン訪問
(b) 03年8月:タンザニア、スーダン、エチオピア訪問
(c) 03年10~11月:ウガンダ、エリトリア、ケニア、ナイジェリア、セネガル訪問
(d) 04年2~3月:ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、エチオピア、スイス、ベルギー、フランス訪問
(e) 2004年4月18日~30日:ニューヨーク、リベリア訪問




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