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「アフリカの紛争の予防と和平イニシアティブにおける
準地域機関とNGOの役割に関する国際シンポジウム」

(2000年3月28・29日、於:東京)

議長サマリー(仮訳)

 「アフリカの紛争の予防と和平イニシアティブにおける準地域機関とNGOの役割に関する国際シンポジウム」は、日本国外務省、財団法人世界平和研究所の共催、朝日新聞社の後援により、2000年3月28日及び29日に東京で開催された。
 以下は参加パネリストの意見を集約した議長サマリーである。

1.現状認識(国際社会の関心事としてのアフリカの紛争)

(1)アフリカにおける紛争は、過去における恣意的な国境の設定、貧困、部族・民族対立と共生の難しさ、グッド・ガヴァナンスの欠如、希少天然資源の利権をめぐる争いなど様々な諸要因が複雑に絡んでいる。また、アフリカでは紛争の終結と再発を繰り返すとともに新たに紛争が勃発するなど、その状況は一層深刻化していると言っても過言ではない。その深刻さの故に、国際社会としてはアフリカの紛争をこのまま放置することはできず、引き続き関心を維持しつつ、対処すべき世界的な関心事かつ課題であることを認識した。同様にアフリカの参加者から、このままでは世界の他の地域からますます遅れをとってしまうとの懸念が表明された。

(2)近年、アフリカの紛争に対しては、従来の国家や国連の果たしてきた役割に加えて、紛争の予防と解決に果たす地域機関・準地域機関やNGOの役割が増大している。

(3)紛争の予防と解決へのアプローチについても、その基本的考え方において、「平和の文化の創造」といった側面の重要性が増している。また、具体的対応においては、様々なアクターが、(単に外交的手段のみならず、経済援助、安全保障措置、人道的救援活動、民主化支援などを含む様々な手段を活用して)紛争の様々な局面に応じ、連携するという「包括的アプローチ」の重要性が認識された。

2.様々な行動主体間の協力の必要性

(1)紛争の予防と解決への取り組みは、国連、OAU、準地域機関、NGO、ドナーなど、様々なアクターの間での一層の努力を通じて達成しうる。換言すれば、紛争の予防と解決は、すべての実行主体による協調的努力として表現できよう。紛争の予防と解決は各主体が相互補完的に協力し合うことにより、一層効果的かつ有効なものとなりうる。この目的のためには、それぞれの主体の行動基準の明確化の必要性と国際法、とりわけ国連憲章との整合性が重要であること、また、国連、就中、安保理が中心的な役割を担うべき点で一致した。但し、実行主体間の役割分担の調整役をどの主体がどのように務めるべきかについて、今後右議論を進めるべきであるとの問題提起がなされた。また、個々の紛争のおかれた状況に応じ、その調整役が異なることもありうる点に留意した。

(2)更に、研究機関は、研究成果により紛争の予防と解決に多大な知的貢献を行いうる点に着目し、その研究成果の公表、準地域機関と研究機関の交流、研究機関間のネットワーク化の推進、これら研究機関に対する国際社会の支援の必要性が認識された。

(3)紛争予防と解決における女性の一層の参加の必要性が強調された。

3.準地域機関の能力向上のための準地域機関の努力と改善のための具体的施策

(1)アフリカの紛争の予防と解決に、準地域機関が積極的な役割を果たしており、既に一定の成果をあげている事例があることを評価した。

(2)準地域機関は現在、紛争の予防と解決の能力を向上すべく法的、制度的な整備を行っていることを評価するとともに、今後右努力を一層強化すべきことで一致した。それらは加盟国間の相互信頼をつちかう意思の疎通、利害調整、準地域機関の意思決定、関与の方法などについての整備を含む。

(3)準地域機関自身が早期警報システムの構築を念頭におくとともに、国連、OAU、準地域機関は三層からなる統合的かつ機能的な警報システムを構築すべく協調的努力を推進することで一致した。また、90年代のアフリカの紛争への国際社会の対応の遅れを反省して、早期警報に基づく早期対応・行動の必要性を認識し、早期警報と早期対応の間のギャップを埋める努力の重要性が強調された。

(4)地域的プログラムを通じて小火器の拡散、非合法物資の密輸、並びに環境問題などの安全保障問題に取り組んでいる準地域機関による努力に対し支援の必要性が表明された。

(5)特に、準地域機関が停戦監視及びDDR(武装解除・動員解除・市民生活への再統合)等ポスト・コンフリクト段階において果たしうる役割が大きいことで一致した。地域紛争の拡大と長期化を招いている最大要因の一つである小火器の蓄積と拡散問題への対処が喫緊の課題であり、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)の小火器モラトリアムはかかる観点から評価されるべきであり、今後かかる試みがアフリカの他の地域にも緊急に導入されるべきことで一致した。

(6)地域機関または準地域機関を支援の受け皿として国際支援のフォーカル・ポイントとする可能性を更に追求すべきかどうかについて討議を進めることで一致した。この関連で、OAUが準地域機関と連携して活動できるよう支援を受けるべきであるとともに、OAUが指導的役割を担うことが確認された。

(7)各準地域機関のおかれた諸条件が異なることを留意しつつも、多くの共通点があることを踏まえ、お互いの経験の交流は有益であり、準地域機関間の交流・連携は推進すべき点で一致した。

4.NGOの役割とNGOの一層の参画の必要性

(1)内戦が大部分を占めるアフリカの紛争予防と紛争後の平和構築においてNGOの活躍しうる可能性は大きく、その役割に対し国際社会の期待が高まっている。特に主権国家を前提とする内政不干渉と領土保全の原則が紛争予防と解決のための国際社会による関与の障害となるうる状況に鑑み、NGOは以下に概観する重要な機能を果たしうることが参加者の間で広く認識された。
 第一に、NGOは紛争当事者が引き起こしている行動を国際社会に周知させることを通じ、国際世論を形成しうる。第二に、様々な草の根活動を通じ現地住民との密接な接触を持つが故に早期警報情報の発信源となりうる。第三に、NGOは政府だけにとどまらず反政府勢力を含めたほとんどすべての当事者にアクセスすることができる。第四に、NGOは中立かつ公平な立場から紛争当事者間の相互理解及び融和を促進しうる。

(2)上で述べた機能をふまえ、紛争の予防と解決におけるNGOの具体的役割は以下の通りである。
 これらの役割は国際機関や各国政府などの公的機関が担うトラック1プロセスを補完するアウトリーチ機能として表現できよう。

(イ)早期警報の発信
(ロ)仲介・調停の実施
(ハ)国際世論の形成
(ニ)人道的救援活動の実施
(ホ)紛争後のDDR活動(小火器及び対人地雷の回収・管理・廃棄、武装解除・動員解除、元戦闘員の市民生活への復帰)
(ヘ)相互理解の増進
(ト)民主化支援(選挙の監視など)

(3)NGOが早期警報能力を持つことを踏まえ、国連、OAU、準地域機関で既に構築されているか、または構築中の早期警報システムに貢献しうる点で一致した。

(4)加えて、NGO間で業務が重複したり、競合意識がはびこる等の問題を克服するためにNGOのネットワーク化や行動規範作りを含めた対応策を検討すべきことで一致した。

(5)更に、紛争地域及びその周辺でNGOのスタッフが活動する際の安全性を確保する必要性が認識された。武装勢力との折衝や危機時の撤収についても行動規範が設定されるべき点で一致した。

(6)紛争の予防と解決においてNGO、地域機関、準地域機関が資金確保の面で共窒フアピールを発出することが戦略的な利点を持つ場合があることが指摘された。

5.日本政府への要望

(1)本シンポジウム参加者は日本政府外務省及び財団法人世界平和研究所が今次シンポジウムを開催したことを高く評価し、今次招聘に対し謝意を表明するとともに、今後ともかかる行事が行われることに対し期待を表明した。

(2)この夏、九州・沖縄サミットを開催する日本政府に対し、アフリカにおける紛争の予防と解決への一層の関与につき期待を表明した。

目次


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