在勤諸手当の改定に関する外務人事審議会勧告
平成15年10月
在外職員の少なからぬ者は、イラクやアフガニスタン、多くのアフリカ諸国に代表されるように、基礎的な日常生活の維持にも困難が伴い、かつ、予見し難い生命の危険に囲まれている在勤地において勤務を続けている。又、在外職員中、やむを得ない事情により単身赴任を強いられている職員にとっては、二重に世帯を構えるための負担が生じており、また、学齢期の子女を帯同し赴任する職員にとっては、在勤地における適切な教育機会の確保の問題がある。
在外職員が日本の国益を守るためにその職務と責任を十分に果たす志気を維持していくためにも、それぞれの在勤地における職員の勤務環境を引き続き整備していく必要がある。
外務人事審議会は、こうした認識に立ち、平成16年度予算における在勤諸手当については、各在勤地における為替相場及び物価の変動を十分に反映させることは勿論のこと、諸外国の外交官及び日本企業駐在員の例をも勘案した上で、具体的に特に下記の点に留意した改定を行うよう勧告する。
記
- 厳しい勤務条件への配慮
我が国在外公館の中には、自然環境、医療、治安、生活インフラが特に劣悪な生活環境の厳しい地、あるいは、テロや凶悪犯罪の頻発する地に所在するものが少なくない。こうした高度特定勤務地において勤務する職員の負う身体的なリスクや精神的・経済的な負担が在勤基本手当に一層適切に反映されるよう、在勤基本手当に含まれる特勤加算部分の算定方式の見直し・拡充や、日常的な戦乱・テロの脅威に対応して手当の新たな仕組みを策定すること。
- 在勤地における子女教育への支援
子女教育手当については、保護者たる在外職員が負うべき当然の負担を勘案しつつ、異なる国々で学校を転々とせざるを得ない在外職員の子女に適切な教育機会を与えるとの観点から、引き続き改善に努めること。
- やむを得ない事情による単身赴任者への支援
多数の職員がやむを得ない特別の事情(子女同伴が事実上不可能な在勤地への配置、高齢家族の介護等)のため、意に反して本邦に家族を残し在外公館に赴任する結果、二重生活を維持するために追加的な経費の負担を強いられている。このようなやむを得ない事情による単身赴任の問題については、昨年の本審議会の勧告にもかかわらず、十分な対応が図られておらず、極めて深刻な状況が続いている。こうした職員が一層職務に専念できるよう、やむを得ない事情による単身赴任を余儀なくされている在外職員に対して必要な手当を支給できるよう所要の措置を早急に講じること。
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