外務省タウンミーティング第3回会合
川口外務大臣と語るタウンミーティング
(平成14年8月22日、於:札幌 京王プラザホテル エミネンスホール)
「日本の対ロシア外交」
(ディスカッション)
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【平野氏(コーディネーター)】
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今からちょうど30年前、1972年8月、私は当時、NHKの政治記者をしていたのですが、持ち場が総理大臣の官邸の記者クラブから外務省の記者クラブに変わりました。当時、政権が佐藤政権から田中政権に替わり、また、外務大臣も福田さんから大平さんに替わるという、日本の政治・外交にとって新しい時代が訪れたわけですが、外務省の取材は今思い出しても大変つらいものでございました。
外務省は、ご存じのように、国益を代表して外国の政府と交渉する人たちの集まりでございますから、自分たちの手の内をマスコミに知らせることはいたしません。それから、相手の国のいい分、あるいは、相手の国が出してきた条件などをそのままマスコミに漏らしたりすることもできません。そういう意味では、守秘義務が最も厳しく守られている、そういうお役所だったと私は思っております。ずいぶん鍛えられました。このように、外務省の大臣をはじめとする幹部が皆さんの前に出て、全部さらけ出してお話ししてしまいましょうということは、昔は到底考えられなかったことだったのですね。
そのころの日本外交の大きな柱は2つございました。1つは日中国交正常化、もう1つはソ連との領土問題をめぐる交渉です。日中国交正常化は、その年の9月に田中さん、大平さんが訪中をなさって完成しました。一方の日ソの関係は、翌年、田中さんと大平さんがモスクワにいらしたのですが、結局、あまり進展は見られませんでした。そのままの状態がといいますか、外務省の方々は、それよりもずっと進んでいるとたぶんおっしゃるでしょうが、実態のうえではあまり変わらない状態が今まで続いてきたということになります。
これからは、川口大臣と皆様方と、直接お話をしていただきたいと思います。事務局で皆様方のご意見、あるいは、思っていらっしゃることを事前に調べさせていただきましてまとめたものがございますから、これをごらんいただきたいと思います。ご意見の中で一番多かったのが、「日露関係一般」の42%でございました。それから、「北方領土問題」が29%、「対ロシア支援」が9%、「外務省改革」についてのご意見が9%、そして、「その他」となっています。
これに基づいて、今日はこれから4つのグループに分けて皆様方にご発言をいただき、大臣、それからコメンテーターの方々に答えていただきたいと思います。
テーマ1は「日露関係一般」、テーマ2が「北方領土問題」、テーマ3が「対ロシア支援」、そして、テーマ4が「外務省改革」でございます。
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1.日露関係一般
【参加者】
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北方領土返還要求運動に携わってから今年でちょうど40年目になりますが、私は日本国憲法の前文の精神を北方領土返還要求運動の理念としております。憲法の前文では、自国の主権維持が国の責務であり、国民の崇高な理想であるという旨を謳っておりますので、私はこの前文の精神に基づいて、北方領土返還要求運動を、日本の領土主権の回復運動というとらえ方をして、四島一括返還を実現させるべく、40年間頑張って運動を続けてきております。私の所属する北方領土復帰期成同盟におきましても、結成当初以来から北方領土四島の一括返還を標榜し、あげて運動を進めてきております。
さて、政府はこれまで、北方四島一括返還要求を、内外にはっきりと表明してきた時期もございます。現在の政府外交の基本方針は、「四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する」ということでございますが、私から見ると、返還についての我が国としての強い意思が感じられません。
さらにまた、先のカナナスキス・サミットの際の日露首脳会談で、小泉総理の訪ロが合意されたことでありますが、それに向けて、従来の対ロ外交を軌道修正し、むしろ経済協力、文化交流を含め、幅広い環境整備に重点を指向した「日露行動計画」を策定すると報道されておりまして、先程、大臣自らそういうご説明がありました。
しかしながら、これではますます領土問題が置き去りにされるのでないかということは、私ばかりの懸念でしょうか。おそらく、多くの方がこういうことを憂慮していると思います。確かに、経済協力、文化協力が大事なことは認めます。ソ連からロシア連合へと体制が変わり、ロシアは領土問題の存在を認めるようになったとはいえ、これまでロシア政府からは返還につながるような言動は一つとしてないまま、現在に至っております。
以上のような状況の中で、今後、我が国としては、領土問題についてどのような外交姿勢でのぞむのか、大臣のお考えを、ぜひ、我が国としての方針としてお伺いいたします。
なお、私たち北方領土返還要求運動団体の者は、今まで、北海道民や国民に向かって、政府が従前に表明している四島一括返還要求で協力を呼びかけ、そして、全国の各界各層の広範な方々からご賛同・ご協力をいただいております。これも外務省ではご存じだと思います。四島一括返還要求と、現在の政府方針の四島の帰属の問題の解決との整合性についてわかりやすく、この際、ぜひ、ご説明をお願いいたします。
1956年に、日ソ共同宣言の際の全権大使を務められ、私ども復帰期成同盟の5代目の会長をなされた、外務省の方々、大先輩の松本俊一先生は私どもによく言っていました。「外交は外務省と国民との間の信頼関係が大切だ」と、こういうふうに申しておりました。川口大臣におかれましては、国民世論をバックに、対ロ外交で大いに頑張っていただきたいと思います。期待いたします。
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【川口外務大臣】
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まず、長い間、北方四島返還の問題のためにご尽力をずっとなさってきた、そのご努力、そしてその熱意に対して、高く、深く敬意を申し払わせていただきたいと思っております。
先程申しましたけれども、政府の北方四島の返還問題に対する方針は全く変わっていないということです。「四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」。これはずっと変わってきておりません。そして、弱いと先程おっしゃいましたけれども、決してそういうことではない。強い、固い意思を持って、これをねばり強く進めていくことについて、それは今までと全く変わるところがないということを申し上げたいと思います。
「行動計画」、その中に、あるいは、その「行動計画」の前に、先程申しましたように、3つのことを日本はやっていきたいと考えています。1つは平和条約の問題です。それから、もう1つは経済の分野での協力です。それから、もう1つは、幅広い国際的な広がりを持つ問題についての協力です。これはテロですとか麻薬ですとか、そういった問題です。そういった平和条約のほかの問題を取り扱うことが、平和条約の問題を置き去りにするということでは全くなくて、ほかの分野で一緒にロシアと、お互いの利益になるような協力をし、あるいは、お互いに国際社会に貢献できるような努力をともに重ねながら、それをしながら平和条約の問題をやっていきましょうということです。
もしも、経済の分野でのお互いの協力が進んで、お互いの依存関係が深まってくるということに、今よりもずっとそうなってくる状態ができますと、日本とロシアの関係は、お互いに切っても切れない関係、相手がそっぽを向けない状態ということになるわけですね。それは、今の日米関係をお考えいただければよくおわかりになると思います。そういう関係をつくりながら平和条約の問題を解決していくというのが方針です。
物事の解決をするのにいろいろな方法があると思います。北風、(と太陽の寓話のように、問題が)解決しないかぎりはほかのことは何もしないというのも、一つの考え方としてあると思います。今、政府の取っている考え方はそういうことではない。3つの分野での協力をしていく。その1つが、重要な平和条約の問題であります。
「行動計画」を作るということについてですけれども、当然、平和条約の問題は大きな柱として入っているわけです。そのほかの分野は先程申しましたような文化ですとか、経済ですとか、人の交流ですとか、そして、国際的な問題についての協力ですとか、そういったことを含むということです。
そういう考え方ですので、繰り返しますが、我が国の、我が政府の北方四島の問題を解決しようというこの熱意ということについては、全く変わらずに強いものを持っている。そういうことでございます。
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【参加者】
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日本とロシアの経済交流についてお伺いいたします。
ロシアから水産物をもらって、北海道のおいしい農産物を物々交換するようにはできないでしょうか。今、お米が余るといって青田刈りをしたり、また、余るといってタマネギなどを大量に投棄されたり、せっかく食べられるようになったものを投棄することを思うと、涙の出る思いです。これらを考えるときに、北海道の農産物とロシアの水産物とのバーター取引はいかがなものでしょうか。
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【川口外務大臣】
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農業をやっていらっしゃるということで、本当に毎日の生活の中でそういうことができるようになればいいとお考えになられているのがよくわかります。
私は、先程言いましたように、日本とロシア間の経済関係はまだまだ弱い、今後、もっと広まる可能性を持っていると思っています。そして、それを進めていきたいというのが、1つは今度の「行動計画」で経済の分野も扱っていきましょうということですし、申し上げたように、もともと日本とロシアの間で経済の分野の協力をもっと強めていこう、投資や貿易を深めていこうというのが政府の方針です。
「バーター」とおっしゃられましたけれども、バーターの貿易は、過去、歴史的にも、それから、広く世界を見ても、一部で行われたことはありますけれども、必ずしも常に合理的にいかない場合が多いということです。
例えばどういうことかといいますと、ものの値段は上がったり下がったりしますよね。そして、安いときにたくさん買うということが人の常であるわけです。バーターというのは、値段にはおかまいなく、常に同じものを同じ量だけ交換するという仕組みですから、仮に、作っていらっしゃるタマネギが高くなって、日本のほかでもっと高く売れるということがあったとします。そうしたら、ロシアに対して安いバーターでの取り決めで送るよりも、日本の国内に高い値段で出した方が得だとお考えになられますよね。ロシアにも同じような状況がありうると思いますね。そういう状況があったときに、政府が値段にかまわないで、同じ量を必ずロシアに送りなさいということを強制することは難しい。日本の経済の体制はそういう体制ですから、バーターというのはなかなかもたないと私は思います。
ロシアは今、WTOという世界の貿易のルールを一緒にしましょうという組織へ入るための努力をしています。日本もこれを手伝っています。そういったことが可能になると、貿易のルールが同じになって、もっともっと日本とロシアとの間の貿易は広がっていくと私は思います。
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【参加者】
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大臣は、行政に非常に知悉されている方であると、私はそのように伺っております。それで、対ロシア外交においても支援の効果の確認とか、それから、ODAのそのものの現況に即した見直し等を、自ら能動的に精査して、真摯に取り組んでいる。そういう姿には、私ども、国民の1人として、畏敬の念を持って支持させていただきたいという考えを持っております。今後とも、その卓抜した炯眼で、日本外交をぜひ長く指揮していただきたい、かように思っております。
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【参加者】
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最近、ロシアの上院議員というのですか、残念ながら、数年前の東京宣言などでの合意事項について、それは日本は誤解しているのだということで、いまだにロシア側ではそういう新聞、テレビの報道がされております。
帰属が先だと、それから平和条約をするんだということは、私は逆だと考えている1人です。ビザなし交流を稚内・紋別もやっています。姉妹都市の関係でサハリンとやっています。元の樺太です。来る前に市役所にも寄ってきました。だけど、だれも行くやつはいないんだと、こういうことを言っていました。
私は、平成6年から道政モニターをやっていて、銃の持ち込みとか、いろいろな問題をやっております。ロシアという国は、環境、言動、いろいろなことで違うのだから、この問題についてももっと税関なり、外務省としてお話しすることが第一の条件じゃないかと私は思っておる1人でございます。
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【川口外務大臣】
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まず、支援をしていることの効果ですけれども、これを短い時間で効果が上がったかどうかというのを最終的に見るのはなかなか難しいとは思いますけれども、それぞれの案件について、支援をしたことが初期の成果を上げているかどうかというのは、厳しくチェックをすべきだと私は思っています。北方四島の支援委員会の問題が問題になったのは、必ずしもそれが十分になされていないというところがあったわけでして、今、新しいやり方を検討していますけれども、これは税金を使ってやる仕事ですから、きちんと税金が生きるようなかたちになるようにということを、きちんといの一番に念頭に置いてやりたいと思っています。
それから、ロシアで、例えば東京宣言でいろいろいわれて、あるいはほかにいろいろな積み重ねがありますけれども、ロシアの国会や新聞やテレビでいろいろ違うことをいっているじゃないかということについては、実は、日本国内も同じ話ではあるかと思います。普通の国では、日本もそうですけれども、政府の意見と違う意見を持つ人はたくさんあるわけです。それは民主主義であるわけですから、ロシアもそういう意味では、私どもの考えていることと、あるいは、ロシアの政府が約束をしたことと違うことを考えている人たちがいるということは、止めることはできないということだと思います。
私たちとして、日本としてやらなければいけないのは、ロシアに対して、この北方四島の領土問題がどういう問題であるかということをきちんと説明する。ロシア政府との間で、共同の資料も作りました。こういったことをきちんと国民に働きかけていく。日本はもちろんですけれども、ロシアの国民に働きかけていく。そういうことを日本もやらなければいけませんし、ロシアだけではなくて、今までも、ほかの国の外務大臣と話したときに北方四島の領土問題があるということは私もいろいろ言っています。そういうことで、世界的にこの問題の認識を高めていくことがまた大事だと思います。
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【下斗米教授】
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私はロシアを30年以上研究しているわけですが、ロシアを動物に例えたら何が一番いいかというと、よくクマに例えられることがございます。ロシア語でクマというのはメドベージ(медведь)といいまして、ハチミツを食べるものという意味です。ロシア人は、クマという心優しい、愛称ミーシャなのだというのが、ロシア人の自分たちのイメージなのです。ただし、このクマは、頭はヨーロッパにあって、体はヨーロッパとアジアにまたがる非常に大きな大国である。ここがロシアという国をめぐり大きな、いろいろな問題が生まれる理由なのです。
20世紀の国際政治、あるいはその前の19世紀から考えてもいいのですが、ロシアはそんなに軽挙妄動しないけれども、動いたら大きく動く。これが、いろいろな意味で日本との関係だけでなく、国際政治そのものを決めてきた。20世紀に起きた国際政治の事件でロシアがかかわらなかった、ソ連がかかわらなかったことは何一つないといっていいほどであります。今、ご指摘のあった北方領土問題を含め、戦争と平和という問題は多くロシアにかかわっている。ということは、日本がロシアとの関係を考えるというのは、もちろん狭い意味での日本人が、あるいは北海道の人たちが、極東の人たちとどうつきあうという問題であると同時に、やはりものすごく大きな問題、グローバルな問題なのではないかと思うのですね。
もう1つ、一つの逆説がございます。そんなに大きな国なのに、しかし、経済の規模が特にこのところ縮小してしまった。今、ロシア連邦の来年の予算案が出ていますが、その予算案の規模は、ほぼ北海道の予算の3年分ぐらいにしかすぎないのです。今度のは2兆3300億ルーブリ、740億ドルということでございますから、大体9兆円程度でしょうか。逆に、ものすごく大きな政治的なパワーでありながら、ものすごく経済的に小さくなった国。これが、ユーラシア政治に不安定を増さないだろうか。
今、経済のことで、バーターという大変おもしろいご質問がありましたが、現金が要するにないわけですね。したがって、バーター取引が、この7~8年、経済の相当部分を占めました。今、ようやく、この問題をロシアは解決しつつあります。その意味では、大臣の言う普通の市場経済の国にようやくなりつつあるわけですが、この政治の強大国、そして、経済の規模は小さくなって、今、中国の5分の1ぐらいだとプーチン大統領が言っている。このアンバランスをどうかしないと日本とロシアの関係だけでなく、グローバルな安定と平和をつくっていくという問題も解決しないのではないだろうか。
ロシアという私が知っている大きなクマについてご説明申し上げました。
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2.北方領土問題
【参加者】
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我々、北方四島の元居住者は、昭和20年、当時のソ連邦の不法占拠によって、ふるさとを強制的に追われてから、すでに57年という長い年月が経過しております。
先日、北方領土問題については、期待と落胆を繰り返しながらも、国の外交交渉を信じ、1日も早いふるさと、祖国復帰の実現を期待し、返還要求運動の先頭に立って、その使命を果たしてまいりました。
さて、領土問題については、政府は従来から一貫して、先程もございましたが、北方四島は我が国固有の領土であると主張しております。しかし、近年の政府の外交交渉に対する姿勢というのは、領土問題は四島の帰属に関する問題と位置づけております。このことは、従来からの政府の主張と矛盾しているのではないでしょうか。旧ソ連、現ロシア側は、北方四島を不法に占拠したのであります。北方四島に居住していた我々元島民としては、いまさら帰属の問題を議論するのではなく、日本の領土の返還を求めて協議し、一段と強い姿勢で交渉にあたることが、従来からの日本政府の主張に合致しているものと考えるものであります。
その交渉の過程の中で、両国が抱える諸事情があるならば、その事情に配慮して、返還の時期や対応については、柔軟な姿勢ということになるのではないでしょうか。日本政府として、今後、北方領土問題に対する交渉にあたっては、我々元島民が、北方四島に生活基盤のすべてを残し、強制退去させられ、以来、苦難の道を歩んでおります。今では、平均年齢が70歳を超え、残された時間も少ないという状況を踏まえ、元島民の意向を十分に反映したものとしていただくよう、強く要望いたします。
最後に、川口外務大臣には、10月に訪ロされることが発表されましたが、ぜひとも北方領土問題の解決に向けていっそうの前進が図られますよう、我々元島民は心からの期待をいたしております。特段のご努力をお願い申し上げます。
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【川口外務大臣】
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前に北方四島にお住まいで、そして、北海道にいらっしゃって、1日も早く北方四島に戻りたいと思っていらっしゃる方のお気持ちは、私はよく理解しているつもりでおります。夜、小さな船で一家を挙げて逃げてきた、北海道に来たというお話も伺いましたけれども、本当に、それからずっと大変でいらっしゃったと思います。
矛盾があるとおっしゃられました。先程も言いましたように四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結しますというのが政府の方針ですけれども、この帰属の問題を解決することが、簡単にいってしまうと返還の前提であるということなのですね。
今、おっしゃったように、四島は不法にロシアに占拠されているという状態にあるわけです。これを、帰属が日本にあるんだということを、両国の間できちんと確認することによって返還にいくということが考え方であるわけです。おっしゃいましたように、帰属の問題が両国の間できちんとすれば、いつ返還をするか、あるいは、返還の条件は何かといったことについては、それは柔軟に対応しましょうというのが日本の立場であるわけですので、帰属は返還の前提であるとお考えいただければいいと思います。
おっしゃった10月の訪ロに際しては、伺ったご意見に対しまして一生懸命に努力をしてまいるつもりでおります。
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【参加者】
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私は不謹慎な発言があるかもわかりませんけれども、ここにおみえになっている方は、北方領土に大変関心ある方だと思いますけれど、北海道は特に多いと思いますが、私は一般的に見て、全国的に見たら、関心のある方はごく一部の方と思います。このミーティングに出していただくということになってからインターネットなどで見ていましたが、北方四島という島が無人島ではないかとか、だれが住んでいたんだとか、どんな島かとか、島の大きさすらもわからない。四島というから4つあるんだろうというぐらいの知識しかない方が、本州の方にしてみたら私はほぼ大勢ではないかと思うのです。北海道の方ではないですよ。
そういうことから見て、せっかくこのビザなし渡航ができるので、簡単に行けるのであれば、先程、何か交流してもだれも行かないというようなことを言っていましたけれども、全国に呼びかけたら、ものすごくたくさんの方が希望して、おみえになると思うのです。
今、宿泊関係うんぬんといっても、りっぱな船がありますし、そういうもので行けば、簡単に行けそうなところですし。それから、自然環境破壊の心配があるから入れないのかという考え方もありますけれども、そういうことも、昔、大臣は環境庁の大臣もおやりになっていたから、そういうこともわきまえて、一般の方々にある程度行けますよという呼びかけを、ここにプレスの方もたくさんおみえになりますので、そういう希望があるということを発言いただければ、ものすごく関心度が違ってくるかと思うのです。私も行ったことがないものですから、ぜひ行ってみたいとは思っています。面積からいったら、沖縄の3~4倍あるのですよね。
これは、私がまちがっているかもわかりませんけれど、行ってはだめだというのは、外務省が止めているのではないかという発想を持っているのですけれど、もし、まちがっていたら、また訂正してください。
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【川口外務大臣】
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ビザなし渡航というのは、北方四島が日本の領土なのに、ロシアに不法に占拠されているという特殊な状況を背景にしてできた制度であるわけですね。日本の領土であるから、そこに行くのに、例えばビザを取ったりして行くということは、これは外国の領土だということを認めることになって、これは日本としてはやるつもりはない。外国の領土だと認識をされるようなことを日本としてはやってはいけないということがベースになっていますけれど、現実には、ロシアが不法に占拠しているということで、日本とロシアと話し合いをして、特別の枠組みをつくって、日本人がビザなしで、日本が法律上、領土として持っている日本の権利を害するようなことがないかたちで渡航をさせるという枠組みをつくっているわけです。
したがって、理解してもらえる、理解する人が増えるという意味で、北方四島に、私は大勢の人が行けば行くほどいいと思います。もちろん、おっしゃったような環境の問題とか、いろいろ注意しなければいけませんけれども、行けばいいということはよくわかりますけれども、それが、日本が北方四島を外国の領土であるような扱いをすることによって達成されるということであれば、やるべきではないと思うのです。
とすれば、この大勢の人が行けるようにするためには、ビザなし渡航の枠をうんと広げて、だれでも行けるように、ロシアとの間で合意をしていくということになるわけですけれども、日本としては、ロシアに対してこの枠を広げましょうという話はしています。あとで、ここにロシアを担当している局の局長や課長がいますから、少し補足してもらいたいと思います。そういう話をしていますけれども、そこについて合意がまだできていないということです。
外務省が止めているということではなくて、外務省は、だれでも自由に、アメリカに行くのや中国に行くのと同じように手続きをして行くという状況ではないと考えているということだけでして、外務省が止めているわけではない。それが日本の国益である。ビザなし渡航の枠で行くならば、ビザなし渡航の枠で行くということが日本の国益で、それ以外のやり方で行くということは日本の国益ではないというのが外務省、日本政府の考え方です。
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【斎藤欧州局長】
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先程の大臣のご発言に少し補足させていただきますと、我々の固有の領土である北方四島に行く枠組みを閣議了解のかたちでつくっているわけですけれども、この枠組みから外れて、日本の国民が北方四島に行くということになると問題点は何かということでございます。遺憾ながら、ロシアが不法占拠している。そのロシアの管轄権に日本の国民が服すようなかたちになりますと、ロシアの領土であるということを認めたという印象を強く与えることになるということでして、そのようなかたちはぜひとも日本の法的立場から考えて、避ける必要がある。こういうことであるわけでございます。
他方、ご指摘のように、できるだけ多くの方にこの問題を理解していただくために行けるようにというのは、私どもも同感でございまして、これまで、何回かにわたりまして、この枠組みを拡大してきたわけでございます。そもそもは旧島民や北方領土返還要求運動関係者及び報道関係者に限定されていたものを、専門家の方々も参加できるようにとか、あるいは一定の人数ですけれども、日本の政治家の方も参加できるように拡大してきたわけでございます。こういうかたちで、できるだけ拡大するようにロシア側と話を進めてきているところでございます。
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【下斗米教授】
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今、北方四島には、4つ合わせて大体一万四千人ぐらい、かつてはソ連軍の基地もあったので、数千人の兵隊さんがいたといわれていますけれども、それはほとんど減って、国境警備隊程度だと理解しています。特に択捉は魚の資源が捕れて、その加工工場ができたということで、特に密漁とか何かも関係しますけれども、その人たちを中心に産業が起き始めたということが新しいことかと思います。
いずれにせよ、50年以上、ロシア人、あるいは旧ソ連の人たちがあそこに住んでいるということですから、彼らももう3世代ぐらいたっている。そういう人たちがいるということです。
この問題を、今、帰属の問題と返還と混同していないかというご指摘がございましたけれど、旧ソ連の人たちはソ連崩壊にあたって、民族紛争、領土紛争を大変経験してきた。例えば、カザフスタンに「北方領土」と俗に言われる地があるのですが、シベリアとカザフスタンの間にロシア人がたくさん住んでいる地域があります。そういったところで、カザフ人からすればロシア人は帰れ、ロシア人からすればカザフ人は出ていけ、こういう運動が起きかねなかった。幸いにも、ロシアは大国だなと思ったと申し上げたのは、ロシア人はそこのところをうまく解決して、カザフとロシア人の問題はユーゴスラビア紛争みたいに出ていませんけれども、民族紛争に飛び火するのを防ぐ措置として、帰属と返還とを分けるというのは非常にいい考え方なのだろうと思います。
つまり、恨みなしの解決はどういうかたちであるか。これは大変難しい問題だろうと思いますけれども、そういうかたちの、彼ら、ロシア人の心にも訴えるような解決策がないと、そこから出ていった一万数千人のロシア人が、逆に千島への返還運動を向こうで始められたら、問題の解決にはならないのではないか。そういうことがこの背景にあるのではないかと私は理解しています。
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【参加者】
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私の質問は、対内的な部分の視点に立ちまして、今、1万7000人いた元島民の方々が9000人にまで減っているということで、後継者育成の問題とか、いろいろ叫ばれている中ですけれども、この日露関係の問題が非常に大事な局面を迎えているのと同時に、この北方領土問題の解決なくして日露関係の真の友好はありえないという中で、大変失礼ですけれども、例えば、今日のこの会場一つ見ましても、来ていただいている方々の平均年齢が非常に高い。また、いろいろなシンポジウム、講演などに行きましても、元島民の方々を中心とするような返還団体の方々および報道機関の方々がほとんどを占めているというような現状です。また、青年会議所活動を通じましても、全国のメンバーはいろいろいますけれども、この返還運動に対する視点とか、領土問題の認識の本質、歴史的なとらえ方が非常に温度差があります。先程、大臣の方で、北海道、現地北海道という言葉もありましたが、北海道の中でも非常に温度差があると認識しております。
そういった中で、外交というのは国民一人一人が支えているという視点の説明がございましたが、まさにこの運動、日露の進展のための運動をボトムアップしていくような国民総意・総力の運動にしていくための、政府としての対内的な部分に対しての喚起を促すような、何か政策ないし方策というものがありましたら、ぜひお聞かせいただきたいなと思います。
大変失礼な質問になりますけれども、例えば、外務省の不祥事の問題がいろいろありまして、マスコミなどに非常にもてはやされて、批判されているという視点もありますが、逆にマスコミと協力するようなかたちで、例えば、今日こちらの壇上に2人の先生が元NHKということでございますし、NHKの朝の連続ドラマみたいな番組で、北方領土問題のストーリーを扱うとか、何かそういうユニークな発想で、切り口を教育とか歴史の認識という視点に立てば、国民の皆様にも、この問題は非常に難しく、また、携わると非常にマイナスのイメージがつきまとう問題ではなくて、日本の国民の主権、尊厳にかかわる国民一人一人の問題なのだという認識を広く広めることもできるのではなかろうかというふうにも考える次第です。是非とも、その辺の視点に立ったコメントの方をよろしくお願いしたいと思います。
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【参加者】
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一番申し上げたいのは、今、申し上げた方と似ていました。これから、国民運動にどう広げていくかということであります。私も青年会議所を今年卒業しましたけれども、全国大会が旭川で来月あります。そこで、北方領土の演劇もみんなで行う、披露するということで、宮様にも見ていただきます。
ですが、私たちの運動だけでは足りません。やはり国策が必要です。その中には、教育問題として、教科書の中で、ぜひともこの領土問題について、日露の関係について、しっかりと記述をしてほしい。教育をしてほしいと思います。現在の教科書の中では数行しか書いてありません。私たちは何度も外務省と、そして、教育の方に陳情しておりますけれども、かなわぬことであります。
元島民の平均年齢70を超えました。これから、私たちの時代で運動していかなければなりません。受験戦争の中で近代史を学ぶ時間がほとんどないような教育情勢であります。ぜひともしっかり教育情勢に、今日は外務省のタウンミーティングですけれども、日露関係を進めていくうえでの省間を越えての運動を進めていただきたいと思います。お考えをお答えください。
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【川口外務大臣】
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お2人のご意見はそれぞれ非常に大事な点をご質問になっていらっしゃると思います。私もこの運動を、北方領土問題についての認識を、日本の中で広めて、返還をしていくことの必要性を、日本全体の運動としていくことがとても大事だと思います。
運動であるからには、実は、政府だけでやっていたのでは運動にならなくて、まず、両方がやらなければいけない。政府としては、さまざまなこと。いろいろいいご指摘をいただいて、たぶんおっしゃった以外にもっともっと知恵もお持ちでいらっしゃると思いますし、私たちも知恵を出していかなればいけないと思いますけれども、情報を広めていくということ、教科書もそういうことですし、テレビのお話も出ました。ちなみに、ここにいらっしゃる高島報道官は、今、私が外務省の中で、民間、あるいは他省からの登用ということをやっていますけれども、その1人で、報道官で登用をさせていただきました。またどこかで発言の機会を振りたいと思います。そういうことでも、いろいろと広めていくことは、とても大事なことであると思います。
私は改革の過程で「紙を出してください」と外務省の職員の人に言いましたら、あちこちで外交を、何をやっているかということを、話をすることが非常に大事だということで、里帰り講演とか、例えば自分が岡山県出身だったらば岡山に行って、自分のふるさとで、もちろんボランティアで、外交について話をするとか、そういうことをどんどんやるべきだという意見もありましたけれども、そういうことも必要ですし、インターネットの時代で、今、外務省ではホームページの充実をやっていっていますけれども、そういうところで北方四島の返還運動のページとリンクをきちんとして、大きなページにするということも大事だと思います。いろいろ知恵は出せると思いますし、出したいと考えております。
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【高島外務報道官】
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ジャーナリストを長くやってまいりました。平野さんと一緒に仕事をしたりもいたしました。立場が変わって、外務省で外務報道官ということを命じられましたけれども、その目的は、実は川口外務大臣が、日本の外交を国民とともに歩む外交、開かれた外務省、そして、外交は国民の力が後ろにあって、あと押しをしていただいたときに初めて外交は力になるというお考えのもとに、できるだけ外務省がやっていることを広く、多くの方々に、わかりやすく、たくさんお伝えするようにという任務をちょうだいして、このポジションを与えられました。
今、ご指摘をいただいたように、北方領土の問題、もう50年以上も続いている問題であって、しかも、解決はなかなか先が見えてこないという中で、やはり、国民全体がこれを押しているんだということをロシア側にわかってもらう。そのことが出発になるだろうということは、私も大変強く感じております。
今日、ご指摘をいただいた、また、ご提案をいただいたさまざまなかたちを私たちなりに、どういうふうにやったらこれを実際に実現できるかということを考えながら、国民運動というものを本当の広がりを持ったものにすべく、努力をしてまいるつもりでございます。さまざまなサジェスチョンをいろいろとまだお持ちだろうと思いますので、ぜひ、私どもの方に寄せていただけたらと思います。よろしくお願い申し上げます。
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3.対ロシア支援
【参加者】
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今回、テーマの四島支援につきましては、先程のお話の中にもありまして、重複するかもしれませんが、北方領土にこれ以上箱物等の支援することは、かえって島の人たちにしてみたら、とても居心地がよくて、もったいなくて、ロシアとしては返したくないのではないかと思います。また、今の北方領土支援のやり方が、本当に島の人たちにとってよいことなのか。また、日本の国としてもこれがベターなのか、疑問に思い、質問させていただきました。
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【川口外務大臣】
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北方四島の支援の問題については、国会でもかなり問題になりました。私自身、2月1日に外務大臣になって、それから先日、7月に国会が終わりましたけれども、その間相当な時間、1日8時間で計算して合計しますと、たぶん2か月ぐらいの時間を国会で使っていたのですけれども、その国会での質問の半分ぐらいといってもいいかもしれませんが、この北方四島の支援問題についてでした。
北方四島の支援というのは、私は、北方四島の住民に人道的な立場から支援をするということはとても大事なことだと思いますが、今までなされてきた支援は協定に基づいてなされたわけですけれども、本来あるべき姿でなされていたかどうかということについては、私自身も疑問を感じています。
ということで、これについては、今、抜本的に、どういうやり方でやるのがいいのかということを、政府の中で議論をして、新しい、いいかたちを、今、つくりあげる途上にあります。そういったことで、今後、新しいかたちをして、また世にこういうことでありますということをお話しすることになると思いますけれども、そのときにまた、どういうかたちでなされるかということについては見ていただきたいと思います。きちんと透明性を持ったかたちで進めたいと思っています。
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【上月ロシア課長】
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支援のことについて、この問題についてどう取り組むかということで、我々が何のために四島の支援をしていくのかということについては2つの視点があるのだと思います。
1つは、このきっかけとなりましたのが、地震の問題です。そのときに、間近に四島交流で行った元島民の皆さんが、自らの手で持っていった。これが一つのきっかけの時期でもございました。まさに隣の国にあって、隣の我々が助けるというきわめて自然な人間としてのスタート、こういう人道的な観点が1つあったというのが、支援を行っていくうえでの1つの視点でございました。
もう1つ、環境整備ということを申します。四島の島の問題を考えていく中で、領土問題ということを議論する中で、そのときの領土の交渉はいろいろございます。世界の歴史の中で領土交渉はございますけれど、そのときの大きなネックになりますのが、その住民たちはどう感ずるかということであります。私が今、ここで申し上げるのは、島の皆さんたちが日本に帰属したいというようなことをいうことが、領土問題の解決につながるということをいっているのではないのです。むしろ、日露が交渉していくときに、ロシア側が、ここで大変強い領土の返還に対する反対運動があるんだということを、しばしば相手国は領土を戻していく難しい理由にするという傾向があるのです。
ところが、今、ロシア側はその議論をしません。それは、1つには、四島交流、皆さんとの間、北海道との間の四島交流や、あるいは支援を通じて、その住民の皆さんたちが日本、そしてその隣の国を近く感じていると。そのことが、彼らにとっての抵抗感を少なくしている。それが、結果的な環境整備だろうと思います。
この2つの視点を持って、今後の支援のことに取り組んでいきたいと思います。いろいろな問題のあることを経ましたので、外務省は反省をもって、また、二度と同じようなまちがいをしないようなかたちでの支援をすることに取り組みたいということを、お約束申し上げたいと思います。
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【参加者】
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我々は、いわゆる北大の北方四島グループといわれまして、これまで、1999年から7回、北方四島、我々のグループのメンバーは動物の調査をしてきまして、このような場所はもう世界にないといわれるような豊かな動物群集が残っているということがわかってきました。
しかし、この数年間の傾向ですけれども、密漁がひどくなって、野生動物の群集が崩壊に向かいかねないのと、それから、せっかくの漁業資源も絶滅に向かっているという面があります。
そこで、地元根室の藤原市長とともに、日露共同の自然保護活動委員会を、そういった内容のものを作っていただけないか。そして、まず密漁の取り締まりを支援するとか、世界で一番この地域の動物層の調査はされていないわけですけれども、きちんとした調査をして、保護対策を作る。要するに、世界的な貴重な財産ですから、これを当面は日露共同で守る。そして、返還のあと、豊かな動物層、あるいは漁業資源とともに返ってほしいということを考えておりますけれども、このあたりについて、お考えを聞かせていただければと思います。
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【川口外務大臣】
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環境問題は、私はとても大事だと思っていまして、まず、調査をしてくださっているということは非常に大事なことで、これをどうやって保護していくかということも、次に非常に大事なことだと思います。おっしゃったように、日本のためだけにやるのではなくて、ロシアのためにやるということだけでもなくて、世界の人類にとっての共通な遺産であると思いますので、これが大事だと私は思います。
問題は、ここが日本の領土であるとか、あるいは、どこか違う国の領土であるとか、これは日本の領土であるわけですけれども、不法占拠をされているという先程の話で、これを日本があたかも相手の国の、よその国の領土であるがごとき手続きをして、ここに入って、自然を保護することやるということが法的に難しい状況にあるということですね。
私は環境保護は非常に大事で、是非したいと思っています。それから、環境の保護と並んで、日本の国益であるこの北方四島をロシアのものであるということになるような行動は取らないということも、これも国益だと思っています。この2つが両立するようなかたちで環境を保護するのにいい知恵を出してと言っているのが今の状況ですので、その知恵の状況について、少し話をしてもらいたいと思います。
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【斎藤欧州局長】
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ご案内のとおり、四島交流の枠組み、先程、私、少しご説明いたしましたけれど、専門家が加わるようになったということで、枠組みを拡大してきているわけでございますが、先生ご自身もご参加いただいたと思いますけれども、この四島交流の枠組みの中で、環境保護の専門家、研究者に参加していただいて、四島に生息する動植物の調査を行ったりしておりますけれども、これはほんの序の部分であろうと思います。これを、まさに今、大臣が言われた日露、あるいは人類共通の財産として保全していくために、どういうことができるかということにつなげていくためには、いろいろなことをやっていかなければいけないと思いますけれども、そういった意味で、今後ともお知恵を拝借していきたいと思います。
忘れていけないのは、ロシアの管轄権に服すようなかたちで、そういった活動を行うということになりますと、北方四島が日本の固有の領土であるという基本的な法的な立場を害することになりますので、そうならない範囲内において、共通の財産の保全のために何ができるかということについて、お知恵を借りながら、我々としても一生懸命研究してまいりたい。このように考えております。
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【下斗米教授】
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このロシアの北方領土問題というのは大変複雑な問題でございまして、歴史的な経緯というのがございます。
ロシアはご承知のように、今、部分的にですが情報公開をやっておりますけれども、その中でいくつかおもしろいものが出てきておりますので、これをご紹介します。千島列島の問題と申しますと、外務省の資料では、ヤルタ会談でルーズベルトとチャーチルとスターリンとが、千島列島のソ連への引き渡しを決めたと書いてありますけれども、実は、根がもっと深くて、私の知るかぎり、ロシアからいくつか出てきた資料の中では、1941年12月26日のソ連の外務次官メモですが、つまり、日本が真珠湾を攻撃したあと、この問題は実はソ連の内部で議論が始まったということでございます。
ご承知のように、それまでソ連はドイツ、第二次世界大戦で独ソ戦が始まったのが1941年6月でございます。そして、真珠湾攻撃でドイツとアメリカが交戦状態になって、いわゆる第二次世界大戦のいわば第2幕となります。実はそのとき、ソ連で戦後構想の一部として千島列島の国境問題が出てきたという新しい資料が出てまいりました。
そのときの考え方は、やはりスターリンは国境線を少しでも外に出したいということでして、ソ連外務省の内部の戦後構想では、モスクワが攻撃されているその直後に、もうモスクワは、英米ソは勝つと考えていた。そして、その際、極東、千島列島の国境線を変えることを考えた。ただし、1941年から1945年までは日本とは直接戦争しないということを、一つの国策として決めていたわけであります。
ですから、そういう意味で、北方領土というのは、確かに日本にとってはほとんど青天のへきれきですが、これはグローバルな問題の一部であるということは、グローバルな仕組みが変わるときに、この問題が出てくるのではないだろうか。私はそういう巨視的な視点というものを、日本とロシアの大きな交流の中で考えることが必要ではないかと。少し蛇足的なことを申し上げました。
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4.外務省改革
【参加者】
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外務の問題も、結局は人の問題だと思います。そういうことで、感想を2つと、小さな質問を1ついたします。
一昨年の6月9日、ここを会場にして、クエスチョンタイムが行われました。鈴木宗男さんと、かたや鳩山由紀夫さんです。今まさに主客転換いたしました。月日を感じます。
2つ目ですが、札幌市と姉妹都市、友好都市の関係にある4つの都市のうちの1つが中国の瀋陽です。瀋陽市の遼寧大学で夏を過ごしたことのある私にとっては、やはり答えられないショックを受けた事件でした。そのときに、1人の外交官のことを思い出しました。もちろん杉原千畝さんのことです。ビザを求めて大勢のユダヤ人が来たわけですが、そのときに、1日300人、20日間という目標を立てたわけです。もちろん、外務省からは完全に「何をやっているんだ」というおしかりです。そこに敢然として、人間として行動しようと思った彼の一面について、1つは、朝鮮にいるときに、志願して陸軍少尉になったという経歴があるやに伺います。もう1つは、ロシア人よりすごいロシア語の堪能な方、そういう二面性を持っていたわけです。ですから、外交官たる者、いくつかの語学に堪能であるばかりでなく、いろいろな面でも必要なことなのだと思います。
戦後、杉原記念館が建ったその館長になったのが、何あろう宗男さんでしたが、もちろん奥さんの幸子さんに解任されてしまいました。2つのことを感じます。
質問ですが、今回の改革の中で、大きな期待を持てば持つほど落胆するということがわかりましたが、大臣に1つお伺いいたします。現職職員の子弟の採用についてです。現職職員の子弟の採用について自粛する。これすら削除されたかに伺いますが、そういうことについて、このあとのこともあろうと思いますし、若い我々にも希望を与えていただきたい。そう思います。
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【川口外務大臣】
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「改革に大きな期待を持つと落胆することがわかった」とおっしゃられたのを伺いまして、私は落胆してしまいましたけれども、決してそういうことをお思いにならずに、これからまさに、昨日発表した「行動計画」を実行していきますので、ぜひそれを見守っていただきたいと思います。
この「行動計画」の特色は、一つ一つの提言に、「これを何月までやります」ということが書いてあります。そのほとんどは今年中ですが、ものによっては来年にいくのもあります。それをきちんとつけた理由は、外務省がこう書いておけば、そのときまでにやったかやらないかは、国民の皆様から見て歴然なのですね。そういうことをやることによって、これをきちんと進める。やったかやらないか、本当にわかる。これは透明性を確保して、皆さんに見えるかたちでやるというかたちで私は進めたいと思いましたので、きちんと期限をつけました。ですから、ぜひ見守っていただきたいと思います。
それから、子弟の採用ですけれども、これは「変える会」という、改革についてご提言をいただいた提言をほとんど採用した中で、しなかったものが3つあって、それの1つです。これは中でだいぶ議論しました。議論しましたけれども、確かに私は環境大臣もしましたし、その前、別な役所にも経済産業省にも籍を置きましたので、ほかの役所の標準から見ると、外務省が二世がいるという率は非常に高いと思います。
どうしてそうなのかなというのが、実はずっと不思議でもあったのです。これはたぶんいろいろな理由があって、例えば言葉が大事である。そうすると、外交官の子弟は外国に行っていたりして、言葉ができるという意味では、ほかの人よりも有利であるといったようなこともあると思います。それでということで理由があったと思います。
子弟に「入ってはいけない」と言えるかどうか。これは、みんな職業の自由があるわけですね。それから、外務省としては、黒いネコでも白いネコでも、優秀な人であれば来てほしい。優秀でない人は、子弟であろうが子弟でなかろうがいらない。優秀な人を採れない組織は死にます。だめになります。ですから、外務省は優秀な人を採りたい。これをまず先に置くということです。
試験が変わりまして、(外務公務員試験ではなく)国家公務員試験で、今、(一種の職員を)採用しています。そういう意味では横並び、人気が高いといわれる財務省とか、ほかの省庁と全く同じ立場で競争して、いい人材を、公務員試験に通った中で採るわけですね。今度採る中のリストを私は見ました。国家公務員試験の成績が優秀さを表すわけではないですけれども、一つの指標だとしますと、外務省に来る人は総じて非常に優秀な人が来てくれたと思います。
ということで、まず、優秀な人を採りたい。今までもそうしてきましたし、今後も外務省はそうする。そういうことでございます。
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【参加者】
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こういう場所には、本当に現役の方はなかなか来られないと思うのです。私は休んでいますから、このように川口外相、コメンテーターの方にも、外務省の方にもお会いできるのですけれど、こう見回したら年齢が高いですね。
少しお聞きしたいのでございますが、川口大臣が昨日は勝負の服、赤いスーツを着られましたですね。NHKをずっと見ていました。私は傷病で休んでいるものですから、全国紙、日経をはじめ、新聞を5部ぐらい読んでおります。今回の「変える会」は、川口大臣がいろいろご説明がございましたが、新聞では辛口でございます。役人言葉で書いておられる。讀賣が一番辛口の新聞でこういうのが書いてありますね。
それから、今、外務省の方、並んでおられますが、皆さん、顔色がつやつやしてお元気そうです。居心地がよろしいのでしょうね。私たちは休みもなく働きました。もう、夜10時前に帰ることはなかったです。北海道の現状も、北海道区は、今回、退職金を4割カットでございます。それから、私の会社も今年は、夏冬4割カットでございます。大変な状況の中で、あの改革では少し甘いのではないかという気がいたします。
それから、今回、人事院勧告で2. 何%かお給料を下げると。これは甘いと思います。国が大きな借金を抱えているときに、皆さんがやはり痛い思いをしなければならない。これは川口大臣に申し上げますが、外務省も含めて、公務員の方々全般でございます。今、自殺者が3万人でございます。私も自殺を何回かしようと経験をしました。ですけれども、子どもの顔を見て思いとどまりました。そういう状況の中で、本当に顔のつやつやした方が3名いらっしゃいます。私は少し不思議だなと。
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【川口外務大臣】
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ウイークデーのタウンミーティングで、実は、今までは、ウイークデーではなくて週末にやっておりました。1回目、2回目は週末にやりました。今日は初めての試みとして、8月ということですので、お集まりいただけるかと思って、ウイークデーに初めてしてみたということでして、皆さんの評判があまりよろしくなければ、また普通の週末の日に変えていきたいと思います。
私もある期間、民間企業に7年間おりましたので、景気が悪いときに企業がいかに大変かというのは身にしみてわかっています。給与がバッと下がる、10%カット、場合によっては20%カットになることもあるということもよくわかっています。
そういったことで、今、景気が悪い中で、国民の皆さんが、失業率が高まってきて非常に大変だということで、その中で役所の給与は下がってもたかが2%ではないかということも、そういうふうに思われるということもよくわかります。
これについて、役人の給与体系や役人の待遇のあり方について、いろいろなご批判があるということは理解をしていますけれども、これは国全体として公務員制度をどうするかとか、政府の中で、行政の機構をどう改革するかということを、今、いろいろ議論していますので、外務省としてもそういうことを見ながら、それに従っていきたいと思います。
今度の改革について、甘いということがあるかもしれませんけれども、実は大変な競争の導入をやっていまして、課長にならなければ大使になれないということは、本省の課長の数はそれほど多くないわけですから、競争を導入したという意味では非常に厳しいということです。
我々の顔色がよく見えるのは、明かりのせいではないでしょうか。外務省も、特にこういう時期でございますので、150時間とか200時間とか、そういう残業をして、若い人は一生懸命にやっております。必ずしもごちそうばっかり食べていて、ということでやっているわけでは決してない。本当に明かりのせいだと思ってください。
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5.フリーディスカッション
【参加者】
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昨日の166項目を見まして、大いに外務省はお金を使っているといいますけれども、必要なお金は大いに使って、外交を発揮していただきたいと思います。これを、今後の川口外務大臣の事業として、また、そこにいらっしゃる方が大いに支援してください。
それから、ソ連からロシアになりまして、NHKですか、2~3日前に見たのですけれど、電気料が今まで無料でしたのが取るようになりました。先程もちらっとお話ししていましたけれど、少しも私たちはわかりませんから、経済の情勢を、そういう日本との差とか、外国の差をもう少し知らせてください。あまりにも日本人は井の中のカワズで、言葉は日本語しかいえません。ヨーロッパに行きましたら、高校生が3か国語を自由に使っている。そういう中で、今後の発展を特にお願いいたします。
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【参加者】
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外交は、日本の国民の幸せを守るとともに、これからの世界のすべての人の安全と地球生命の保全という目標・目的を、相手の国と共有することを欠いてはならないと思います。
それで、共有すべき目標の第一に、国連を改善して、世界連邦というシステムを作ることが大事と思います。この点で、日本の外交は、世界の先頭に立っていただきたいと思います。
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【参加者】
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ロシアの領事館に踊りを教えに行きましてできた会でございます。14年間に7回、ロシアに公演に行きましたけれど、私たちは往復で行って帰ってくるだけで50万かかるのです。それに荷物が多いと超過料金。大変なことでございますので、なんとかその辺、民間の大事な部分でございますから、その辺に少し焦点を当てて、予算の方をお願いできないかなというのが実感でございます。
それから、キルギスにこのたび行ってきまして、世界の音楽に出させてほしいということで頼まれてきましたけれど、みんな行きたいのですけれど、お金がないということで、全部降りました。
そのところ、ささやかなお願いでございますけれど、7回ロシアに行った者の1人として、ぜひお願いしたいと思います。超過料金がすごいのです。20キロ以上出たところ、1人が10キロで4万5000円取られますので、なんとかお願いしたと思います。
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【川口外務大臣】
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外務省としてというか、私として、これから力を入れていきたいことはたくさんあります。文化交流はその1つです。踊りでお金がかかるとおっしゃって、文化交流にずっと力を注いでいただいて、大変にありがたいと思いますけれども、我が国として、経済協力も大事、文化交流も大事。やはり、世界の第2の経済国として、日本の存在をみんなの心に、世界の人たちの心に残していく。経済協力は大事ですし、文化交流はうんと長い意味で、あとあとずっと残るものをつくるという意味で大事だと思っています。
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【参加者】
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私は7月7日から7月14日までカムチャツカへ行きまして、8月5日から8月11日まではサハリンへ行っておりました。そんな中で、カムチャツカ州の知事が、こういうことを言っておりました。「我々はカムチャツカの手前にあるシュムシュ島まで、お前の日本に帰してもいいのだよ。そうすると、カムチャツカと日本との経済交流がどんどん進むので、日本に帰ったら、そういうことを皆さんに話してくれ」と、こういうことを言っておりましたので、外務省の方も、カムチャツカの方へどうぞ出かけて、いろいろ知事と話した方がいいと思います。
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【参加者】
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戦国時代は、力というもので物事を解決しておりましたけれども、どんどん社会が進歩しまして、国内のいろいろな紛争は国内法というもので、裁判で決着をつけるということですけれども、国と国との間、例えば、北方領土の問題も、日本が提訴して、相手に、ロシアの方にも提訴してもらって、国際司法裁判所といいますか、そういうところで公平に決着をしてほしいというか、そういう提案をしないかどうかということですね。もし、ロシアの方でしないということであれば、不利だからしないということで、これもまた世界のアピールになると思います。
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【参加者】
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川口大臣の意見が世界に大きく意味のあるものだと思って言いたいのですけれども、核廃絶ということが世界平和への願いだと思っていて、核保有国に対して断固「ノー」と言えますか。
僕は大学で平和研究というものを進めているのですけれども、世界に持っている核廃絶がないかぎり、それがないかぎり平和というのはありえないと思っています。ですから、この場で、メディアがある中ではっきり「ノー」と言っていただきたいと思います。
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【参加者】
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北方領土返還事業に私たちがどうかかわっていくかということが非常に問題になりましたけれども、これは署名活動でというふうに教えられてきまして、年に3~4回、何十年もこれを続けてきましたが、その署名簿がどう活用されているのでしょうか。その辺をお伺いしたいと思いました。
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【参加者】
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先程来、北方領土問題とか外交問題、非常に政治上重要な問題でありますけれども、その前に、優先すべき政治上の重要な課題があると私は常に考えております。それは何かといいますと、世界は、明治開国以前から戦乱の時代がいまだに続いているという現実であります。いつまでたってもこの世界の紛争は終わらない。21世紀になってから、ますます激しくなっておるのであります。
そこで、私は、この戦乱の世界を終結に向けるためには、何か重要な政治政策を立てなければならないと思うのです。そのかぎが外交政策にあると考えておるのであります。その外交政策において、一番重要な事柄は何かといいますと、国の未来を制するということでありますから、そのことに対して、川口外務大臣がその任に当たられておりますことは、大変敬意を表します。この戦乱の時代を終わらせるために、大臣としては何が一番必要だとお考えでいらっしゃいますか。
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【川口外務大臣】
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世界が平和で安定をするようにということですけれども、これはまさに外交の本随のところですけれども、何をやればそうなるという1つの答えはない。ただ、私は身にしみて感じましたのは、つい先日、インドとパキスタンの間に戦争が起こりそうになったときに、我々、世界各国の外務大臣は、私もやりましたけれども、インドの外務大臣に電話をし、パキスタンの外務大臣に電話をし、訪問をし、そして、戦争をするときに、特に両方とも核保有国ですから、核を使うようなことがないように自制をしてくださいということを働きかけました。パレスチナ、イスラエルについても同じことをやっています。この努力はいまだに続いています。といった世界の外務大臣、あるいは世界の外交当局、世界の人たちの意欲、止めようとする努力、そういったことが、世界を平和と安定にしていくために、非常に大きな力を持つと思います。
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【参加者】
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少し話は変わりますが、難民対策についてお伺いしたいと思います。
5月に瀋陽事件がありましたが、先程もお話が上がったと思うのですが、北朝鮮難民についての難民対策は、これからどのように変わられていくのでしょうか。昭和50年代に、インドシナ難民については外務省の方でもかなり取り上げられたのですが、北朝鮮難民について、対策がなかなか進まないのは、何か拉致問題とかそのことで、北朝鮮に気を使っているところがあるのかという懸念も残りました。今後、対策のことについて、詳しく教えていただけることと、それから、対策がきちんと取られていくことをお願いいたします。
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【川口外務大臣】
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もう一つ、日本が大事に考えなければいけないのは難民の問題でして、瀋陽の事件の一番の大きな背景は、この難民の問題です。難民の問題というのは、アフリカでも大変な問題で、世界で今、大きな問題であります。日本は、今までインドシナからの難民はほかの難民に比べて非常に優遇していたということですけれども、こういったことを機会に、日本の難民政策を変えるべきではないだろうかということで、今、政府の中で議論をしています。ということで、もう少し時間がかかるかと思いますけれども、日本は人道外交、人権外交は大事だと思っていまして、その中で難民も、日本として、世界の平和と安定のために力を入れなければいけないことだと思っています。
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【参加者】
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私が思うに、日本の資源は唯一人材かなと思っております。しかも、製造業に身を置いておりまして、先端技術、日本でしかできない匠の技、これをいくつ持つか。これで商売の片がつくと思っています。
ただ、20世紀型のペーパーテストで点数を取って、東大へ入って、官僚になるぐらいの、ああいう教育制度では無理です。自分で問題を見つけて、それをプラン立てて、解決して、実行する。こういう人間を、ぜひ教育の方でやっていただきたい。
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【参加者】
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省庁内の処分については、とりあえず軽すぎる。重ければ、もう少し。こういう再発防止、全省庁にも、私は提言しております。
そして、先程言った対ロの問題につきまして、やはり開発、人道支援はいいのですが、医療とか食料とか、そういうのは十分やっていただきたいと同感ですが、先程も申し上げられました、大陸棚、石油、ガスパイプライン、これもいろいろな事故が向こうであります。油の垂れ流しの船もございます。最近、新聞にも出ています。それが6か月も止まらない。途中で止まってえい航したという事実もあるので、オホーツク海は危険がいっぱいあるところなのです。
国内の景気は優先されるように、それも取り計らっていただきたいと思います。
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【川口外務大臣】
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いずれにしても、外務省の改革をこれからきちんとやっていきます。この改革をやる意味というのは、我が国が強い外交をすることができるようにするということでありますので、ぜひ、先程申し上げたような、スケジュールどおりきちんとやっているかということも含めて見ていただいて、どんどん忌憚のないご意見をいただければ、私としては大変に幸いです。
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【平野氏(コーディネーター)】
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大臣が最初にここで20分間話をされたときに、北方領土の問題を風化させてはいけないということをおっしゃった。あれがずっと私、この2時間近く頭の中にございまして、風化させないためには何をしなければいけないのか。やはりそれは勉強したり、考えたり、あるいは実行したりすることだろうと思いました。そういう意味では、下斗米先生をはじめとする方々のレクチャー、大変有意義に私どもは聞けたのではないかと思いますし、ロシアという国について新しい考えを持つ機会もあったのではないかと思います。
これから実行を、これまでと同じように、あるいはこれまで以上に続けていかなければいけないわけですが、北方領土の問題については、川口大臣の後ろを一生懸命押して、なんとか私たちの願っている方向に物事が進むように、微力を尽くしていきたいというのが、私の最後の感想でございます。
会場の皆様方、今日は、遠く根室、旭川などからも含めてお集まりくださいまして大変ありがとうございました。どうぞ、川口大臣はじめ、こちらの5人の方々に温かい拍手をいただきたいと思います。ありがとうございました。
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