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経済連携協定(EPA)への取り組みに関する説明会:概要
2月18日、我が国の経済連携協定(EPA)への取り組みについての説明会を開催し意見交換を行いました。
1.尾池外務省経済連携課長より、別添の資料3点に基づいて30分ほど説明。 2.続いて、質疑応答が行われたところ、概要以下のとおり。 <合意時期について> 【質問・意見のポイント】 現在交渉中の4ヶ国のうち、フィリピンについては昨年11月に大筋合意に達し、また、韓国については本年中の実質的な合意を目指しているとのことだが、タイ・マレーシアとの交渉については、今後の見通しはどのようになっているのか。 【答】尾池外務省経済連携課長 できるだけ早期の大筋合意を目指し、現在交渉に取り組んでいるところである。タイについては、数ヶ月以内にまとめたいと思っているが、マレーシアについては、タイよりも若干時間がかかるだろう。 (具体的には、どのくらいの期間を想定しているのかとの問いに対し)交渉事であり、相手国との関係もあるので、具体的に何ヶ月以内にということは言えないが、タイとは、2-3ヶ月以内の大筋合意を目標に取り組んでいる。タイ側も、早期の大筋合意を目指し頑張っており、早期に大筋合意できるのではないかと期待している。マレーシアについては、タイよりも若干時間がかかるのではないかと考えている。 <民間専門家の活用> 【質問・意見のポイント】 「今後の経済連携協定の推進についての基本方針」の中に、民間専門家の活用とあるが、どのような資質が民間専門家に求められているのか。 【答】尾池外務省経済連携課長 一概に『このような人』ということではなく、様々なバックグラウンドを持った人を求めている。既に、民間企業から出向という形で交渉に携わっている方も数名いる。例えば、貿易関係の仕事に関わっていた方には、原産地規則の分野を担当してもらったり、研究機関からの出向者には、投資分野に詳しい人であれば投資の分野で知見を発揮していただいたりしている。 このように、色々なパターンがあり得ると思う。協定を作っているということもあり、法律の知見のある弁護士資格を有している方は今以上に求められるだろう。インドネシアとの関係では、繊維が大きなポイントとなるため、繊維関係者からも協力を得たいと考えている。また、サービス分野においては、銀行・流通・運輸業界の方の知見を活用していきたい。このように、実務経験のある方に交渉に関わっていただくことによって、地に足のついた交渉を行うことができる。 <情報公開について> 【質問・意見のポイント】 日韓FTAの場合、交渉の内容が殆ど知らされておらず、新聞に出ている程度の内容しか明らかになっていない。EPAは、その対象分野が貿易のみならず、消費・環境・労働等多岐にわたり、国民生活に密接に関わるため、その影響を受ける人も多いと考えるが、もっと積極的に交渉の現状を開示すべきではないのか。また、労働界や消費者団体を研究会の場に加えるべきではないか。 【答】尾池外務省経済連携課長 交渉の内容を外部に出さないということは、世界的に確立したルールであり、理解していただきたい。また、相手国との関係もある。 しかし、差し支えのない範囲内で情報を提供すべきであると考えており、国会の質問、電話等での問い合わせ等においても交渉の現状を可能な範囲で伝えている。今回、このような説明会を開催したのもそういう観点から行っている。この場で、詳細な質問にすべてお答えすることは難しいが、個別の問い合わせに対しては、可能な限りお答えしたいと考える。 また、協定交渉に関わる利害関係者とは、適宜相談をしている。現に、大筋合意前のフィリピンとの交渉では、鉄鋼業界や自動車業界と相談を行っており、両国の業界同士でも意見交換を行った。MRAの分野でも、CAB(適合性評価機関)の意見を伺った。他の分野でもアンケートを行ったりして関係者の意見を聞いている。 【答】倉光外務省日韓経済室長 すべての関係者に関与してもらうということは、現実的に無理であるが、労働関係では、連合の関係者には現状と問題について随時説明を行い、意見を交渉に活かすようにしている。また、日韓FTAの中で、労働者の権利を侵害するような取り決めで検討しているといった事実はない。 【質問・意見のポイント】 このような説明会は、交渉に直接関わることのできない我々が政府に対し意見を述べることができる限られた機会であると考えるが、様々な人が参加できるよう、東京のみならず、全国各地で行うべきではないか。以前、東京以外でも開催してほしいと訴えたが、都合がつかないと退けられた。 【答】尾池外務省経済連携課長 以前、そのような要望をいただいたことは承知している。そのときは、フィリピンとの大筋合意等、様々な要因が重なり実行することができなかった。 また、地方での開催については、昨年、内閣府主催でEPAタウンミーティングを東京・神戸・鹿児島で開催しており、各地でも説明の機会を設けている。今後も地方での開催については、前向きに検討していきたい。 【質問・意見のポイント】 フィリピン・タイとの交渉で、「人の移動」分野が一つの論点になっているが、在日外国人に対する支援を行うNGO等は、必ずしも連合と緊密に連絡を取っているわけではない。もっと多くの関係者の意見を交渉に反映させたり、会合に参加させたりするべきではないか。また、人の移動であれば、厚労省・法務省も関わってくると思うが、この2省も参加すれば多様な議論ができるのではないか。 【答】尾池外務省経済連携課長 外務省・財務省・農水省・経産省の4省がEPA交渉の共同議長省であり、関係省庁を代表し4省で説明会を行うこととした。「人の移動」分野への関心が高いこともあり、今後は厚労省・法務省にも可能な限り声をかけ、参加してもらうようにしたい。 確かに、説明会等に参加できる団体に限りがあることは事実である。限られた時間で会合を行っていく以上、やはり例えば経済界からは経団連、労働界からは連合のように代表的な機関の参加を求めていくことにせざるをえないのではないかと考える。 <ビジネス環境整備> 【質問・意見のポイント】 ビジネス環境整備の分野で交渉を行っていると思うが、ビジネス制度に影響を及ぼしかねないのか。具体的内容はどのようなことか。 【答】大下経産省経済連携課長 ビジネス環境整備とは、日本企業が相手国内において、相手国企業が日本国内において、活動しやすい制度作りを目指すものである。これによって、我が国の投資拡大が期待できる。具体的に何を取り上げるかについては、交渉相手国との関係で制約になっているものになる。 【再質問】 日本企業が活動しやすいようにと言っていたが、相手国に対して日本企業の主張を代弁していくということか。相手国の労働者に対して不利益が生じることはないのか。具体的にどのような事例が対象となるかについて説明がなされていない。 【答】倉光外務省日韓経済室長 FTA/EPAは、二国間経済関係の枠組みを作るものである。すなわち、何か問題が発生した場合にどのように解決するかというルールを作るものであり、FTA/EPA交渉の中で個別具体的な案件について議論するわけではない。いずれにせよ、相手国に対して規制を課すものではない。相手国の労働者の権利を制限するようなことは想定していない。 <原産地規則> 【質問・意見のポイント】 現在、ASEAN諸国のフィリピン・タイ・マレーシアと交渉を行っており、4月からはASEAN全体との交渉が開始するとのことであるが、原産地規則との関係で、二国間の協定とASEANマルチの交渉で整合性がとれなくなることはないのか。また、特定の品目について不都合が生じることはないか。 【答】尾池外務省経済連携課長 原産地規則については、まず一般的ルールを定めるが、個別品目について事情があれば個別に交渉を行うことになっており、個別品目の特別な事情は考慮される。二国間協定とマルチ協定の内で違ったものにならないよう努力していきたい。 <食の安全> 【質問・意見のポイント】 食の安全との関係で問題が生じた際は、SPS協定やTBT協定を適用することになるのだろうが、基準がはっきりしないように感じる。また、貿易においては効率化を優先しがちで、消費者団体の声が反映されていない。FTA交渉の中では「食の安全」の問題をどう扱っているのか。 また、相互承認の交渉を行うことによって、日本の基準がより規制のレベルの低い交渉相手国の基準に従うことにはならないのか。 【答】豊田農水省国際調整課長 FTA/EPAは貿易の推進を図るものであるが、「食の安全」は貿易の推進の観点から扱う問題ではない。FTA/EPAの結果、「食の安全」基準が下がるようなことはない。「食の安全」に関しては、あくまでも科学的根拠に従って解決を行うこととなる。なお、「食の安全」改正を行う際には、パブリックヒアリングといった手続きが仕組まれている。 【答】尾池外務省経済連携課長 現在、相互承認の分野で検討されているのは、電気用品や電気通信機器等の分野であり、食品は予定していない。また、例えば試験を受け、製品が安全基準等を満たしていることが証明されればシールを貼るということがあるが、相互承認とはその試験をし、シールを貼るという権能を相手国の機関にも認めるものであり、日本の安全基準が変わることにはならない。 【質問・意見のポイント】 EPA締結国が増えると米国産の牛肉がメキシコを経由して日本に入ってくるというように、食の安全との関係で問題になるような事態は生じないのか。 【答】豊田農水省国際調整課長 迂回輸入についてであるが、まず関税上特恵的な取扱いで輸入されるメキシコ産牛肉は、メキシコで生まれ育ち、処理されたものとする原産地規則を定めており、米国産の牛肉がメキシコを経由して入ってくることを防いでいる。さらに牛肉の輸入にあたっては、家畜伝染病予防法に基づき、動物検疫を実施しており、輸入に際しては、輸出国政府が具体的に証明する事項を定めた輸入条件を予め、EPAとは別に取り決めてあるので、EPA交渉に左右されることはない。食の安全の観点から、メキシコから輸入される牛肉の衛生条件では原則メキシコ産のものしか輸入できず、口蹄疫やBSE発生国のものは輸入できないことになっている。食の安全は、EPA交渉で曲げられることはない。 【質問・意見のポイント】 政府間交渉の前には研究会を行い、EPA交渉の開始の是非について検討を行うというのがこれまでの流れであるが、この研究会はまさに日本の交渉の青写真となるものであり、メンバーの構成は非常に重要であると考えるが、メンバーの選定基準はどうなっているのか。 【答】尾池外務省経済連携課長 どのような方に参加して頂くのかということについては、相手国の事情によって異なる。例えば、現在「共同検討グループ」を開催し、日・インドネシアEPAについて検討を行っているが、インドネシア側は日本の労働市場に関心があることから、連合にも参加頂くことにしている。同様の検討グループはチリについてもあるが、こちらには労働市場の問題がないので、連合には参加頂いていない。 <人の移動> 【質問・意見のポイント】 フィリピンとの間で大筋合意に達したとあるが、人の移動についてはどのような合意がされたのか。また、具体的には何人入ってくることになったのか。また、フィリピンで既に資格を有している人でも日本で新たに資格を取得しなければならないのはなぜか。また、労働基準はどうなるのか。 【答】尾池外務省経済連携課長 大筋合意の内容については、ホームページに掲載しているので、詳細についてはそちらを参考にして頂きたい。看護師・介護士の受け入れ人数については、現在検討中であり、まだ決まっていない。また、人数を協定に記載してしまうと、それを変更するためには再度交渉を行わなくてはならなくなるので、協定には書かない方がよいのではないか。 フィリピンの看護師・介護士の水準が高いことは承知しているが、資格を有していればいいというとそうではない。人と接する上で日本語力は必要であり、日本の資格取得のための勉強の課程で、日本語力や日本の医療現場の知識をつけてもらいたいと考えている。なお、労働基準については日本と同様のものとなる。 <今後の基本方針> 【質問・意見のポイント】 「各国との交渉の現状」という資料をみると、様々な国から関心が示されているようだが、まず関わりの深い近くの国との交渉を優先すべきではないのか。 【答】尾池外務省経済連携課長 まずは、現在交渉中のフィリピン・タイ・マレーシア・韓国との交渉を最優先し、インドネシア・ASEAN全体というように近くの国と交渉を行うというのが、日本政府の考えである。他の地域については、個別の事情を検討して決める。例えば、メキシコの場合、日本から遠く離れているが、メキシコがNAFTAやEUとFTAを締結したことにより進出していた日本企業は大きな被害を受け、その被害の解消が急務だった。また、現在、研究会を開催しているチリも、既に様々な国とFTAを締結しており、メキシコほどではないが、今後FTAがないことによる日本企業の被害が顕在化する可能性がある。また、逆に、南米地域における日本企業の拠点にもなりうると考えている。 【質問・意見のポイント】 「今後の基本方針」の別添では「我が国の経済力の強化及び政治・外交上の課題への取組に資するか否か」とあるが、資するか否かとは具体的には何を想定しているのか。 【答】尾池外務省経済連携課長 交渉相手国を選定する際に、単純に経済的相互依存度という観点では割り切れないものがある。例えば米国の場合、米ヨルダンFTAがあるが、ヨルダンとの貿易量は決して多いわけではなく、FTAを締結することによってヨルダンを支援し、中東地域における安全保障を高めるという意図が見受けられる。今後日本も、例えば中東諸国のように、ある国とFTAを結ぶことが地域の安全保障など政治・外交上有益であると考えれば交渉を開始することもあるかもしれないため、こうした事項を入れてある。 <日韓FTA交渉> 【質問・意見のポイント】 マスコミ報道によれば、日韓FTA交渉が進まない理由として、日本が提示したオファーの水準が低いことにあるようだが、この点につきどのように考えるのか。 【答】倉光外務省日韓経済室長 確かに交渉は他の国に比べて順調ではない。しかし、韓国内の組織改変や、韓国国内にFTA反対派が出てきたことが、韓国側が消極的になっている理由であろう。例えば関税率については、日本の方が韓国より概して低く、この分野では韓国の方が痛みが大きい。 【答】豊田農水省国際調整課長 オファーの水準については、農林水産品・鉱工業品全体としてみてWTOルールにも整合するもので低いというものではない。小泉総理が日韓主脳会談で言っていたように、FTA締結には賛否両論あるだろうが交渉のテーブルにつくことがまず大切であり、日本政府としては次回交渉の開催を韓国側に働きかけている。 |
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