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結果の概要 平成15年11月
アジア・欧州間の教育交流をさらに促進するための議論を行う「アジア欧州会合(ASEM)教育交流シンポジウム」が平成15年11月17日および18日の二日間にわたり、つくば国際会議場において外務省、文部科学省およびアジア欧州財団(ASEF)により開催されました。 このシンポジウムでは、中嶋嶺雄アジア大洋州大学交流機構(UMAP)事務総長の総合議長の司会のもと、荒井正吾外務大臣政務官、矢野重典文部科学審議官、ザイナル・マンタハ・アジア欧州財団(ASEF)人物交流部長が主催者として開会式で挨拶したほか、木村孟 大学評価・学位授与機構長、ミヒャエル・ライテラー駐日欧州委員会代表部公使が基調講演を行い、続いて5セッションにわたり、日本、アジア、欧州の各国からパネリストの参加を得て議論が行われました。 ![]() 基調講演 木村機構長からは、高等教育のグローバル化に伴う教育交流発展のための高等教育機関の質の保証について、またライテラー公使からは、1996年の創設時からASEMを担当している現場の外交官として、設立の経緯、意義、教育分野を含むこれまでのASEMの取り組みについての講演がありました。 セッション1:大学生を対象とした留学生交流の現状及び今後の交流の推進方策について 森泉豊栄東京工業大学教授が議長を務めました。 日本からの報告として、宮田清蔵東京農工大学学長から、「留学生受入10万人計画」が今年達成され、また中央教育審議会留学生部会において審議されていた「新たな留学生政策の展開について」(中間報告)がとりまとめられたことが報告されました。今後、留学生の「量」を増やすだけでなく「質」を高めることが重要であるという点が強調されました。 続いて、韓国のソン・クックジェASEM-DUO事務局長が報告を行い、アジアと欧州の高等教育機関がペアになって応募し、拠出国の奨学金を得て学生および研究者の交流を行うASEM-DUOフェローシップ制度につき、説明がありました。 また、アイルランドのロドニー・トム・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン教授が報告を行い、欧州から見るアジアとの留学生交流の現状が説明され、欧州ではアジアからの留学生受け入れをビジネスとして見る動きも見られること、またアイルランドとアジアの大学の間で個々に締結されている交流制度について報告がありました。 会場からは単科大学がどのように留学生を確保していけるかという疑問が呈されるなど、活気のある議論が行われました。 ![]() セッション2:留学生の生活面での諸問題について アンドレ・シガノス駐日フランス大使館文化参事官が議長を務めました。 日本から、安部征雄筑波大学留学生センター長が、留学生受け入れ現場からの報告を行い、一定の語学力の確保、良質な宿舎の提供、また担当教官の受け入れ体制および教育の質自体を高めることの必要性が説明され、またSARSに見られたような国際的な危機の際に、現場の大学と行政がどのように危機管理を行っていくべきかについての問題提起がありました。 中国の張秀琴 教育省国際協力・交流副司長からは、中国における留学生政策の概要、過去10年間に急激な伸びを示している中国への留学生について報告がありました。 イギリスのマイク・ウィンター・ブリティッシュ・カウンシル駐日副代表からは、長い歴史をもつブリティッシュ・カウンシルの留学希望者に対する情報提供、カウンセリング等の説明に続き、イギリスにおけるアジアからの留学生の生活ぶりについて映像を交えた説明がありました。また、言語および文化が留学における重要な要素である点につき指摘がありました。 その後、コメンテーターの佐藤弘毅目白大学学長から、留学生の受け入れに際しての「異質なものに対するショック」、差別や偏見をどのように克服するのか、また留学生の財政面をどのように支援するのか等につき問題提起がなされました。また、同じくコメンテーターのジョルジオ・カンパナーロ・イタリア文化会館副館長から、留学生受け入れは将来につながるものであり、全般的に楽観的ムードがあった80年代に比して、現在はより将来的観点が必要であろうとの点が指摘されました。 また、パネリストの間で、語学力の確保に関連し、国際的に使われている英語と各国の言語とのバランスについて議論されました。 ![]() セッション3:高校生交流の今後のあり方 ピーター・タン駐日シンガポール大使館参事官が議長を務めました。 まず、鳥飼玖美子立教大学教授から、日本の高校生交流の概要が説明され、留学の目的として英語取得をあげる者が多く、英語圏への留学が9割を占めること、また高校生が留学を考える時に、教師や両親から反対を受けることも多いとの報告がありました。また、英語圏に留学する場合と非英語圏に留学する場合を比較した場合、後者の方が留学先の文化や生活への理解を深めているとの報告があり、最後に今後アジア・欧州間の交流を進める上で、ASEMの枠組みが果たす役割は大きいとの提言がありました。 フィリピンのレメディオス・セリYFUフィリピン専務理事から、フィリピンから留学を希望する高校生は多いものの、経済的理由によりその数が少ない点につき説明があり、経済的に豊かな国からの支援を得ることにより留学生交流が促進されるであろうとの提言がなされました。 ドイツのミック・ペータースマンAFSドイツ事務局長からは、第二次大戦後の復興を目的として始まったAFSについての概要説明に続いて、欧州の高校生留学が北米中心であった過去に比べ、アジアとの高校生留学が増えている現状について説明されました。また、アジア・欧州の高校生留学の際にあげられる問題点、留学を通じて高校生が得られる多様な文化体験などについての説明があり、両地域間の高校生交流促進のために奨学金が役立つとの提言がありました。 その後、コメンテーターの佐藤弘毅目白大学学長(目白学園理事長)から、高校生交流が将来的な交流の基礎となる点についての指摘がありました。また、会場から、留学生を受け入れるホストファミリーならびに地域社会の国際交流体験が報告されました。 ![]() セッション4:アジア・欧州間における教育交流推進:情報共有のあり方 渡邊頼純外務省経済局参事官が議長を務めました。 まず、渡邊参事官から、アジア・欧州の教育交流を考えるにあたり、そもそもアジアと欧州間の文化的相違に着眼し、日本と欧州の関係についての発表がありました。また、その特徴をふまえて今後交流を促進するために、アジアと欧州で行われている交流プログラムの全体像をつかめるデータベース作成などについての提言がありました。 アジア欧州財団(ASEF)のザイナル・マンタハ人物交流部長は、財団の概要を説明した上で、教育交流を促進するための「ASEM教育ハブ」の第2回会合の報告、またデータベース作成において考慮すべき点について提言がありました。 ライテラー公使から、欧州委員会がすでに行っているアジアとの交流促進のためのプログラムの説明があり、また欧州域内で単位の相互認識などの制度整備をすすめるエラスムス・プログラムについての説明がありました。さらに、今後、シンポジウム中に挙げられた問題点を克服するための提言を行っていく必要性について述べられました。 コメンテーターの中嶋UMAP国際事務総長から、ASEFがデータベース作成の中心として、さらにはアジア・欧州の交流促進の中心として活動していくべきであるとの提言とともに、日本国際教育協会の留学情報センターで同様の取り組みをしているので、このような機関との連携も考えるべきとの指摘があり、また、UMAPでは、すでに共通単位交換制度を構築していることなどにつき説明がありました。また、同じくコメンテーターであるアイルランドのトム教授からは、アジア・欧州交流を進める上で、ASEMおよびASEFの更なる広報努力についての指摘がありました。 ![]() セッション5:参加者全体での意見交換 安部筑波大学留学生センター部長が議長を務めました。 このセッションでは実際の留学生から体験に基づく発表がされました。まず、マレーシアから早稲田大学博士課程に留学中のモハマド・アバスさんが、日本での留学において、受け入れ先の研究施設の質、住居環境などのほか、留学生の家族(アバスさんの場合子供たち)に対する地域の受け入れ・支援体制も重要な要素であるとの報告がありました。また、日本語能力も重要な要素である一方、英語ボランティアなどの活用により、克服できるとの提言がありました。次に、中国から筑波大学博士課程に留学中のサイ・イービンさんから、国費留学生として来日して以来、指導教官、研究室の職員らに支えられ、苦労を乗り越えて非常に前向きに留学生生活を送ることができたという報告がありました。最後に、フランスのエリア・ブトールさんから、日本へ短期留学をした体験に基づき、欧州の学生が抱く、異文化を持つ日本という印象についての説明の後、国際競争力を目指す欧州の学生は日本よりもシンガポールや香港を選ぶという指摘がありました。 ![]() 総合議長総括 これまでの議論の中で、特に挙げられたのは、文化の多様性への着眼および言語の多様性であり、今後の取り組みへの提言として、データベースの作成に際し、OECDとユネスコが共同して検討していることから、既にASEMデータベースについては当面、例えば教育交流に係る基礎的なデータの収集・提供から着手することの必要性、そして、取組みが進められている個々の交流プログラムを今後いかに充実させていくのかが課題となるとの指摘がありました。 ![]() このシンポジウムのさらに詳細な内容は、報告書にまとめられる予定です。本シンポジウム、またアジア欧州会合(ASEM)に関するお問い合わせ、ご意見がありましたら、どうぞご連絡下さい。
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