![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 報道・広報 > 演説 |
![]() |
森総理大臣演説
インド商工会議所連盟における演説
『21世紀における日印グローバル・パートナーシップの構築』 平成12年8月24日 (冒頭挨拶)
本日、伝統あるインド商工会議所連盟のお招きによりまして、皆様方並びに皆様方を通じて貴国民の皆様に、私の所信を表明する機会を与えていただきましたことを光栄に存じます。また、私は、貴国訪問をバンガロールから開始しましたが、到着時から今日まで、様々な機会に頂いた皆様の温かい歓迎そしてご厚意に対してまして、心から感謝申し上げる次第です。 (訪印の目的) この度私は、日本の総理として、十年ぶりに貴国を訪問いたしました。日印両国関係は、冷戦の終結、経済のグローバル化といった、新たな国際情勢の中で益々重要になってきております。私が、六月下旬に総選挙を終え、最初の外国訪問先をこの南西アジアに決めましたのも、貴国との間で、幅広い、厚みのある、未来志向の両国関係を築き、地球規模の平和と安定の担い手として人類社会に貢献していくために、「21世紀における日印グローバル・パートナーシップ」を構築したい、との思いからであります。まさに、昨日のヴァジパイ首相との会談においてこのような日印グローバル・パートナーシップの推進に合意を致しまして、今日この会場からスタートさせることになるわけであります。 (日印関係の重要性)
皆様、 (政治関係の強化)
冒頭申し上げたとおり、昨日、私は、ヴァジパイ首相と日印グローバル・パートナーシップの推進に合意しました。私達は、政治対話を更に強化することの重要性を認識し、首脳及び外相を含むハイレベルの会談を定期的に実施することと致しました。また、私からヴァジパイ首相に対し訪日を招待申し上げ、ヴァジパイ首相はこれを快諾されました。我々は、議員交流の活性化についても意見の一致をみました。 (経済関係の強化)
皆様、 (日印IT協力構想)
さて、私の内閣では、重点政策の一つとして「IT革命の推進」を掲げ、私自身がリーダーシップをとっております。先月の九州・沖縄サミットにおいても、私は、議長として、ITを21世紀の繁栄のカギと位置づけ、世界の全ての人々がITの提供する機会を活かせるように、「沖縄憲章」を発表致しました。また、わが国は、デジタル・ディバイドの解消などのために、今後五年間で約150億ドルの包括的協力策を用意し、アジアを重視しつつ、途上国におけるIT発展にリーダーシップを発揮することを表明致しました。 (国連改革における日印協力) 日印両国は、国連の機能が強化され、平和と安全の維持を含む国際社会の諸問題に十分対応できるように、国連を早期に改革する必要性を強く認めています。21世紀の国際社会において、日印両国は益々重要な役割を果たすことが期待されております。両国は、これまで安全保障理事会を含む国連改革のために協力してきており、その意味で、いわば同じボートに乗り合わせております。改革の早期実現のために、協力しながら、一段と力強くオールを漕いでいきたいと考えます。 (南西アジア地域との交流)
わが国と貴国を中心とする南西アジア地域との交流の強化について申し上げます。私は、新しい世紀における南西アジア地域との交流と相互理解の促進を特に重視しております。その一環として、南西アジア地域から今後5年間で、高校生を含め5千人の青少年をわが国に招請致します。また、この地域における日本語普及・日本研究の強化、及び、知的交流の進展のための「日本・南西アジア交流プログラム」を打ち上げます。本プログラムの一環として南西アジア諸国の学者・研究者・芸術家をわが国に招聘し、交流を深める「森フェローシップ」を創設致します。 (人類社会の平和と繁栄に向けた課題)
皆様、 (民主主義と自由の擁護) 第一に、我々は、日印両国が共有している民主主義と自由の価値を擁護し、更に広めていかなければなりません。マハトマ・ガンディー翁は、「民主主義は必然的に意思と考え方の戦いを意味する。時には、異なる考え方同士の死闘を含むものである」と述べておられ、相手の意思と考えを尊重しつつも、より良きもののために、時には激しい議論を交わすべきことを、我々に教えておられます。 私は、民主主義及び自由の価値は、他者にとっての安心という価値でもある、と考えております。貴国では、独立以来、政権交代は、中央と地方を問わず、常に選挙を通じて行われてきました。また、他者の自由と考え方を尊重し、報道の自由を大切にしてこられました。これらの事実は、他国にも大きな安心を与えております。私は、日印関係について楽観しておりますが、その理由の一つは、両国間で意見が相違する問題があったとしても、両者は民主主義と自由の基盤の上に立って、率直に話し合う姿勢を有していると固く信じているからであります。 (人間の幸福、生命の尊厳の擁護) 第二に、我々は戦争の世紀と訣別しなければなりません。人類は、20世紀において二度の世界大戦をはじめ幾多の戦争を戦い、余りにも多くの人命を犠牲にしました。今こそ、我々は人間の幸福および生命の尊厳に最高の価値をおくべき時であります。我々が、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散の防止、小型武器を含めた通常兵器の輸出入規制、テロリズム、麻薬、環境・気候変動問題等に取り組んでいかなければならない所以もここにあります。
国の安全を確保することは、いかなる政府にとっても最重要の責務であります。私は、貴国の置かれた安全保障環境や安全保障に関する懸念については理解致しております。しかしながら、平和国家であり、軍縮を追求してこられた貴国の核実験は、わが国国民にとっては青天の霹靂でありました。これに対し、わが国は貴国に対して一定の経済措置をとらざるを得ませんでした。この措置は「経済制裁」ではありません。このことをご理解いただき、そこに含まれた、世界で唯一の被爆国国民としての日本国民の感情、核不拡散並びに核廃絶に対する強い願望を、皆様にも是非ご理解いただきたいと思います。 55年前の今月、わが国は核兵器の惨劇に直面致しました。二つの原子爆弾投下から5年内に約20万人の市民が、その後も現在に至るまで約13万人の人々が放射能の後遺症に苦しみながら、尊い命を失ってまいりました。わが国は第二次大戦後、戦争及び核兵器の惨劇の経験を踏まえ、平和国家を建設し軍事大国とはならないことを決意し、重要かつ基本的な政策として、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの「非核三原則」を定め、今日まで一貫してこれを堅持してきております。わが国は、この基本政策に従い、国際社会が尊重するルールの下、国の安全を確保してきました。わが国は、核兵器国による核軍縮と共に、実効性のある大量破壊兵器の軍備管理、軍縮・不拡散の確保に向けて外交努力を重ねてまいりました。 日印両国は、核兵器のない世界の実現という目標を共有しております。わが国は、そのためには、現実的かつ具体的な核軍縮措置を一歩一歩積み重ねていくことが重要であるという認識の下、当面の課題である包括的核実験禁止条約の早期発効を特に重視し、外交努力の強化を致しているところです。目標を共有する両国が、共に、核軍縮、核不拡散のイニシアティヴをとっていくためにも、また、良好な日印関係を一層進展させていくためにも、貴国の包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期署名を強く期待を致しております。このことによって、貴国が責任ある国家として国際社会の敬意と賞賛を得ることにつながるものと確信致しております。昨日、ヴァジパイ首相及びシン外相から核実験のモラトリアムを続けるとの強いコミットメントを頂いたことを心から評価する次第であります。 テロ行為は、国際社会全体の敵です。私は、貴国にとって、このようなテロ行為が特に深刻な問題であることを承知しております。私は、貴国が連日のようにカシミール等において直面している非道な虐殺事件に対する、貴国民の憤りと悲しみを共有いたします。私は、今月初めにも、ヴァジパイ首相の指導力により、カシミールにおける暴力を終結させるための前向きな動きが開始された直後に、このような蛮行が行われたことに強く怒りを覚えます。我々は、如何なる理由によっても、テロ行為は正当化されないとの立場を堅持し、あらゆる形態のテロ行為を断固として非難して参ります。 (対話の重要性)
第三に、我々は、あらゆる問題を対話を通じて解決する努力を放棄してはなりません。対話によってこそ、相手を理解し、対立を克服できます。 (結語)
皆様、
|
森総理大臣演説 / 平成12年 / 目次 |
| ||||||||||
![]() |