外務報道官談話
シリア軍のレバノンからの撤退について
平成17年3月13日
- 我が国は、12日、バッシャール・シリア大統領がラーセン国連特使と会談を行い、レバノンからの外国軍の撤退を求めている安保理決議1559の実施のため、レバノンからシリア軍及び情報機関を完全撤退させると表明したことを歓迎する。既に一部シリア軍の撤退が開始されているところ、今回の表明に沿って、完全撤退に向け引き続き具体的な措置が講じられることが重要である。
- シリアとレバノンはともに中東和平問題の当事国であり、我が国は、国連安保理決議1559に沿ってシリア軍の撤退が行われ、またレバノン議会の選挙が円滑かつ平和裡に実施されることにより、重要な局面を迎えている中東和平問題の公正かつ包括的解決に資することを期待している。
(参考)
- 12日、バッシャール大統領は、シリアを訪問したラーセン国連特使との会談において、シリア軍及び情報機関の完全撤退(第一段階として、3月末までに、相当規模のシリア軍のシリアへの帰還を伴いつつ、シリア軍がベッカー地域に再展開する、第二段階として、シリア残留軍が完全撤退する)を表明した。ラーセン特使は、ニューヨークに戻り次第、シリア軍全面撤退のタイムテーブルをアナン事務総長に提出する。
- シリア軍のレバノンからの撤退については、5日のシリア人民議会における演説において、バッシャール大統領が二段階の撤退を発表し、更に、7日、ダマスカスにおいて開催されたシリア・レバノン最高合同委員会後のバッシャール・シリア大統領とラフード・レバノン大統領の共同声明において、ターイフ合意及び安保理決議1559に基づき、(1)3月末までにレバノン駐留シリア軍をベッカー地域まで撤退させる、(2)撤退日から1ヶ月以内に合同軍事委員会がシリア駐留軍の規模、駐留期間を決定する、(3)(2)で合意したシリア軍の駐留期間の終了時点で残留シリア軍の撤退完了を決定する、旨が発表されていた。
- シリアは、レバノン内戦中の1976年以降、軍のレバノン駐留を継続しており、現在まで約1万4千の軍がレバノン国内に駐留させてきたが、7日のシリア、レバノン共同声明以降、規模については明らかではないが、シリア軍のシリア領への撤退の動きが見られている。
- 昨年9月、国連安保理は、米・仏が提案した(最終的に英・独も共同提案)、(1)レバノンに残る全ての外国軍のレバノンからの撤退、(2)レバノン人、非レバノン人武装勢力の解散及び武装解除の要求、(3)自由で公平なレバノン大統領選挙への支持、等を内容とする安保理決議1559を採択した。
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