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外務報道官談話

米国バード修正条項に対するわが国の対抗措置に関するWTO仲裁決定について


平成16年8月31日


  1. 8月31日(現地時間16時)ジュネーブにおいて、わが国、EC(欧州共同体)等8カ国が承認を申請していた米国バード修正条項に対する対抗措置について、その認められるべき規模を審理していたWTO(世界貿易機関)における仲裁決定が下された。同決定は、バード修正条項の下で米国政府から米国内企業に支払われた資金額に基づき、年間で約7,800万ドル(約86億円)規模の対抗措置(バード修正条項の下での2002年度の分配額に基づく算定)を認める内容となっており、わが国としては評価することができる。

  2. 今回の仲裁の判断は、WTO協定違反が確定した措置を、認められた期限内に是正できない加盟国は、WTOルールの下で看過されず、実質的な制裁を受けるという結果が待っていることを明確にするものであり、WTO紛争処理制度の実効性と信頼性という意味からも意義ある決定であると認識している。

  3. 今回の仲裁決定後は、この決定およびWTOの紛争解決手続に従って、わが国はいつでも対抗措置の権利を行使できることになる。今回の仲裁決定にもかかわらず、米国が引き続きバード修正条項を撤廃しない場合には、わが国は、他の申立国とも連携しつつ、今秋にも、同決定に適合する内容の対抗措置承認申請を、改めてWTOに対して行うこととなる。この申請は、WTO協定上自動的に承認され、その後はいつでも対抗措置を発動することが可能となる。

  4. わが国としては、米国議会が今回の仲裁決定を真摯に受け止め、WTOの勧告に従ってバード修正条項を早期に撤廃することを強く期待する。

(参考)
  1. バード修正条項の概要
     バード修正条項とは、ダンピング防止税および相殺関税により米国が得た税収を、ダンピングまたは補助金提訴を支持した国内業者等に対して分配することを定める米国国内法(2000年10月成立)である。バード修正条項に基づく分配額は毎年変わるが、米国政府が公表している数字では、2002年度は総額約3.3億ドル、このうちわが国からの輸入に起因する額は約1億800万ドルである。

  2. これまでの経緯
     日本、EC、オーストラリア、ブラジル、チリ、インド、インドネシア、韓国、タイ、カナダ、メキシコの11加盟国は、バード修正条項がWTO協定に違反するとして、2001年、WTOに申立てを行い、2003年1月、同条項のWTO協定違反が確定した。米国の勧告実施のための妥当な期間(RPT)は同年12月27日までとされたが、バード修正条項が撤廃されないまま同期間は経過した。
     これを受け、わが国は、本年1月15日、WTOに対し対抗措置の承認を申請した。わが国以外で対抗措置を申請した国は、EC、ブラジル、チリ、インド、韓国、カナダ、メキシコ。これに対し、米国は申請された対抗措置の規模について異議を申し立て、同年1月26日、問題は仲裁に付託され、これまで仲裁において審理が行われてきた。

  3. WTOにおける今後の手続
     対抗措置を発動するためには、仲裁結果を受け、申立国は、同仲裁決定に適合する対抗措置の承認申請を改めてWTOに対し行う必要がある。この改めて行う申請について、特段の期限はもうけられていない。WTOルール上、仲裁の決定は最終的なものとして受け入れられることとなっており、申請は全会一致で却下されない限り(即ちほぼ自動的に)、承認されることとなる。


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