外務報道官談話
イランとの保障措置協定の実施に係るIAEA理事会議長総括について
平成15年6月19日
- 6月19日(現地時間)、ウィーンにて開催されている国際原子力機関(IAEA)6月理事会において、「イランとの保障措置協定の実施」に関する議長総括が発出された。わが国は、イランの核問題に関するIAEA事務局の努力を評価すると共に、IAEAの場において、国際社会がイランの核問題に関する懸念を表明し、一致したメッセージをイランに対して発出したことを重視している。
- この議長総括では、IAEA理事会の広範な見解として、イランが過去に行った保障措置協定上の申告漏れに対する事務局長の懸念を共有し、イランに対して、即時に保障措置協定上の問題を是正するよう要求し、問題が解決するまでは信頼醸成の一環としてウラン濃縮パイロット施設に核物質を搬入しないよう勧めている。また、この議長総括では、環境サンプリングの必要性を指摘した事務局長の冒頭発言に言及しつつ、IAEAの検証活動に完全に協力するよう求め、「追加議定書」を即時かつ無条件に締結及び履行することを要求している。
- わが国としては、IAEAの責任ある理事国として、引き続き、イランに対し、国際社会の懸念を重く受け止め、この懸念を払拭すべく、IAEAに完全に協力すると共に、追加議定書の早期かつ無条件の締結および完全履行等を通じて、その原子力活動の透明性を高めるよう求めていく所存である。
(参考)
- IAEA「追加議定書」
90年代初頭のイラクや北朝鮮の核開発疑惑に対して従来の保障措置制度では未申告の原子力活動を検知・防止できなかったとの反省に基づき、情報提供義務や原子力関連施設へのアクセスの拡充を通じてIAEA保障措置を強化することを目的に、1997年の臨時の理事会で採択されたもの。
査察対象の拡大(「施設」のみならず原子力サイト内の「場所」も含む)、短時間通告(24時間前)で立ち入り可能、あらゆる場所での分析試料の採取が可能となる。
わが国については、1999年12月に発効。平成15年6月現在、35ヵ国について発効(署名国は73ヵ国)。
- IAEA理事会
わが国を含む35ヵ国で構成され、毎年3月、6月、9月(総会の前後に2回開催)、11月の5回開催される。この定例理事会以外に、特別な問題がある場合には、臨時に理事会が開催されることがある。なお今回は、定例の理事会にあたる。
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