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最近の南レバノンにおける戦闘の激化を憂慮していたが、先月からのヒズボラ(注1)による南レバノンにおける攻撃(イスラエル兵士5人が死亡、12人が負傷、SLA(南レバノン軍;注2)幹部も死亡)に対する報復として、7日、イスラエル空軍がヒズボラ基地のあるレバノン東部、レバノン北部の発電所、首都ベイルート付近の変電所等を空爆した。これによって、レバノンを巡る情勢が緊張化し、一般市民の生活にも多大な影響が出ており、わが国はこれに対して、遺憾の意を表する。
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2. |
わが国は、バラック・イスラエル首相が本年7月までのイスラエル軍の南レバノンからの撤退を公約しており、また、昨年12月に約4年振りにシリア・トラックが再開され、更に、今月1日のモスクワ運営委員会にて多国間協議が正式再開されるなど、今後、包括的和平の達成に向けて前進することが期待されている中、かかるレバノン情勢の悪化が、中東和平を巡る環境に否定的な影響を与えることを懸念している。わが国は、全ての当事者に対し即時に武力行使を停止するとともに、事態の悪化を回避すべく、最大限の自制を求める。
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3. |
わが国は、昨年1月に発表した「南レバノンに関する4項目提案」に示されるように、この地域の平和回復の為に関係者に働きかけてきているところ、引き続き積極的な働きかけを行っていく。
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(注1)
ヒズボラ(神の党):82年頃にレバノンにおいてイランの影響力の下に形成されたシーア派勢力。イラン、シリアの支援を受け、民兵組織としてイスラエルの占領に抵抗する武力闘争を追求する一方、レバノン国民議会において7議席を有する政党(野党)としての性格も有している。
(注2)
SLA(南レバノン軍):南レバノンにて、ヒズボラ等のゲリラ組織と闘うイスラエル傀儡のレバノン人民兵組織。兵力は約2500名と言われる。
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