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談話・コメント

外務報道官談話

EU・米国間のバナナ問題に関する米国による制裁措置発表について


平成11年3月5日

1. 3日、米国政府がEUとのバナナ問題に関連して、WTOによって承認が得られていないにもかかわらず、EUからの特定品目について関税額決定を留保し、事実上一方的措置と同様の効果をもつ措置の実施を決めたことを大変残念に思う。
2. わが国としては、米・EU間で、WTOの手続きに則って円満な解決が図られることを期待したい。
 
(参考)
(注1) 米国による措置/関税額決定留保
通常、物品の輸入に先立ち、輸入業者は、税関によって見積もられた額の関税を納め、当該物品が証拠書類によって申告通り輸入されたことが確認された後に最終関税額決定を経て輸入業者に対する差額の払い戻し/精算が行われる。今般の米国決定はWTOにおける仲裁人の判断が出るまでこの最終関税額の決定を留保し、差額払い戻しを行わないとするもの。

(注2)ECの反応
 3日の米による制裁発表を受け、ECブリタン副委員長は、米による措置が議会の政治的圧力に影響されて発動されたWTO協定上合法性を欠く措置であり、紛争を悪化させるものであるとして、WTOにおける緊急の協議および一般理事会の召集を要請するとした。

(注3)日米自動車・部品市場問題の例
 95年の日米自動車・部品市場に関する事案につき、米国は日本の輸入高級車に対する100%の制裁関税措置を実施するため通商法301条に基づくプロセスを開始した。その際にも米国は制裁関税の実施に先だって関税額決定留保の決定を行った。(わが方よりガットの下で22条協議を要請し、結局制裁関税は実施されずに問題は決着した。)

(注4)米国措置の背景
 米国は、本年1月1日に改定されたECのバナナ輸入制度が、改定後も依然としてWTOパネル/上級委員会の勧告に整合していないとし、米国の利益侵害相当額として5億2000万ドル分の制裁関税(100%)をECからの特定品目に課すことを決め、1月25日右課税に対する承認をWTO紛争解決機関に求めた。しかしECはこの算定額に異議を唱え、1月29日仲裁に付託した。右仲裁結果がWTO紛争解決了解(DSU)の規定から3月2日に出ることが予想されていたが、仲裁人は同日、最終決定を行うには情報が不足しているとし、追加情報を当事国双方に3月15日までに提出することを求め、決定を延期した。DSUの規定では仲裁期間中は対抗措置が禁じられているため、米国が本件仲裁の最終決定を待たずして一方的に制裁関税を課した場合には協定違反となる。米国の発表では、仲裁人の最終決定が発表されるまで制裁関税の賦課を控えるとしているが、今般決定は仲裁最終決定日から3月3日に遡及して制裁関税を課すことを可能とする措置であるため、事実上関税引き上げと同様の効果を生じるものである。

(注5)制裁関税の対象
 今般制裁関税の対象となっている品目は、豚肉、チーズ、ビスケット、入浴剤、ろうそく、プラスチック板、ハンドバッグ類、プラスチックシート製携帯製品、非コート紙・板紙、絵画・写真、カシミアセーター、ベッドリネン、鉛蓄電池、コーヒーメーカーの15品目。

(注6)制裁関税による影響、日系企業の経営悪化
 ECの試算によれば、制裁関税による影響は受けるのは英国(カシミアセーター、ベッドカバー等が対象で全体の24%)、イタリア(全体の21%)、フランス(全体の19%)、ドイツ(全体の14%)の順となっており、また一部の在英日系企業等の経営にも影響を与える模様。


外務報道官談話 / 平成11年 / 目次


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