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シンガポール側は、今回のゴー首相の訪日目的を、「日本の政治・経済情勢について理解を深め、また、日本の東南アジアに対する関心を高めるため」として、有力閣僚らを連れての訪日であったが、一行は東京滞在中の2日間に精力的に政財界の要人と会い、意見交換を通じて、現況におけるわが国の立場や考え方を詳細に確認し、また、シンガポールの立場につき説明できたものと思われる。特に、首脳レベルでの理解促進により、今後の緊密な協力関係の基礎をより強固なものとすることができた。
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今回のゴー首相訪日は日本の招待ではない形の訪日であった。対イラク武力行使が開始されて1週間も経たない中での訪日は、先方が如何に日本との関係を重視しており、東南アジアへの日本の関与に期待するところが大きいかを窺わせる。その観点からは、川口大臣より、経済連携やODAなどにより、日本としてASEANとの関係を強化していくとの考えを明確に伝えたことは、シンガポールの日本に対する期待に応えるものであり、小泉総理の5つのイニシアティブを着実に実行し、12月の日ASEAN特別首脳会議の成功につなげていく上で効果的であった。
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シンガポールはアジア地域における先進国の一つであり、わが国とは平等なパートナーとしてこれまでも緊密な意見交換や協力を行ってきた。特に、今回、イラクや北朝鮮の情勢に国際社会の注目がこれまでになく集まっている中で、これらの問題につき認識のすりあわせを相互に行い、率直な意見交換を行うことができたことは、互いの信頼関係を高め、今後も協力してこれらの問題に対処していく上で大変意義深いものであった。 |