1.滞在日程
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3月12日(火) |
東京着 |
3月13日(水) |
平沼経済産業大臣表敬、与党三幹事長表敬、経済6団体主催昼食会、日本記者クラブでの記者会見、鳩山民主党代表表敬、日本・パキスタン友好議連主催夕食会等 |
3月14日(木) |
竹中IT担当大臣表敬、綿貫衆議院議長への表敬、井上参議院議長への表敬、天皇皇后両陛下御会見・宮中午餐、小泉総理との首脳会談及び共同記者会見、川口大臣表敬、小泉総理主催夕食会 |
3月15日(金) |
江戸東京博物館・ソニーメディアワールド訪問、東京発帰国 |
(注)サッタール外務大臣、ダウード商工大臣、アジズ大蔵大臣等が同行して来日。13日、サッタール外相は川口大臣と会談。
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2.意義
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(1) |
短期的:2001年9月以降強化された両国間の対話・協力関係の頂点に位置。
中長期的:国交樹立50周年にあたる2002年の首脳会談を通じ、今後の50周年における関係発展の端緒となった。 |
(2) |
日本・パキスタン関係の重要性への認識強化:地域及び国際社会の平和と安定の要であるパキスタンの重要性に見合った認識を国内に醸成し、それに見合った対話と協力の関係を構築する機会として、相応の成果をあげた。 |
(3) |
首脳同士の個人的信頼関係:両国首脳は2001年9月以降二回にわたり電話で会談を行っており、今回の会談を通じて、個人的な信頼関係が一層強化された。
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3.首脳会談の具体的成果
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(1) |
両首脳は安全保障対話及び軍縮・不拡散対話の設置、ハイレベル経済協議及び経協政策対話の実施で一致。 |
(2) |
10月の選挙監視団派遣等、パキスタンの民主化に向けた日本の協力を表明し、先方はこれを歓迎。 |
(3) |
小泉総理から、インド・パキスタン関係で緊張緩和と対話再開に向けた努力、CTBT署名を含む軍縮・不拡散上の一層の努力及び核関連物資・技術の拡散防止を働きかけ。 |
(4) |
両首脳はアフガニスタン復興支援における両国間の協力を確認。 |
(5) |
首脳会談後、内外記者を対象に共同記者会見を実施。プレスの関心も高く、首脳会談、記者会見及び各表敬等の模様が広く報じられた(NHK「クローズアップ現代」にて「大統領の決断」とのタイトルでムシャラフ大統領のインタビューを放映)。
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4.概要
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(1) |
二国間関係
- (イ)テロとの闘いと日本・パキスタン関係
- 小泉総理より、国交樹立50周年に当たる2002年の大統領訪日を歓迎、非常に困難な中で9月11日以降、テロに対して毅然として闘うという正しい道を選んだムシャラフ大統領に敬意を表する旨述べた。
ムシャラフ大統領より、パキスタンは西にはアフガニスタン、東にインド、国内では過激主義の排除と経済再生を行う改革という3つの課題を抱えており、日本の支持・支援を期待。全ての形態のテロを拒否することを約束している旨表明。
- (ロ)日本・パキスタン間対話の促進
- 小泉総理より、テロ、地域情勢を含む日本・パキスタン安全保障対話及び軍縮・不拡散対話を設置し、また、2002年中に経済協力分野を含む経済分野でのハイレベル協議及び経済協力政策対話の実施を提案。ムシャラフ大統領は、これらを歓迎。
- (ハ)パキスタンの民主化
- 小泉総理より、民主化の成功への期待を表明、選挙監視団の派遣を含め出来る限り貢献したい旨及びカーン選挙管理委員会委員長を訪日招待したい旨述べた。ムシャラフ大統領は、選挙監視団の派遣を歓迎、カーン委員長を訪日させたい旨述べた。
- (ニ)パキスタンの経済、社会の発展のための支援
- 小泉総理より、既に表明し実施中の3億ドルの無償資金協力について、具体的な内容を相談していきたい旨述べ、IT分野の研修事業を含め毎年百数十名の研修を日本で実施している旨紹介した。
ムシャラフ大統領は、日本の3億ドルの無償資金協力等を始めとする日本の支援に深い謝意を表明、過激主義を抑制する上で経済社会改革が必要として、日本の具体的支援を要請。具体的には、債務繰延利子率に関する二国間合意の早期締結、98年以前のレベルへの対パキスタンODAの回復、貿易拡大及び産業振興のための諸措置(貿易保険、輸出信用等)、コハットトンネル等への円借款供与、IT分野での技術協力の強化、警察・法執行機関への支援等を要請した。これに対し、小泉総理は、これらの要請についてはしっかり対応したく、具体的対応を今後検討したい旨述べた(コハット・トンネルについては、これまでの工事を無駄にしない対応を、警察改革については調査団派遣を表明)。
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(2) |
インド・パキスタン関係
小泉総理より、カシミールの名によるものを含め、全ての形態のテロを明確に拒否したことを評価、先日ヴァジパイ・インド首相に緊張緩和と対話再開を働きかけたことを紹介し、パキスタンに対しても同様の努力を求めた。
ムシャラフ大統領は、インド・パキスタン対立の根本原因はカシミールである、パキスタンは主権と名誉が保持できる限りすぐにでも対話を再開したいとし、日本にインドへの影響力の行使を求めた。また、同大統領はインドはカシミール地方への国際機関、メディア等のアクセスを与えるべきである旨発言した。
なお、外相会談では、インドより要請のあった20人の逃亡犯罪人について、サッタール外相より、一方的にインドの要求を無条件に満たすことは困難である旨述べた。川口大臣からは、効果的かつ具体的なジェスチャーをとるよう働きかけた。 |
(3) |
アフガニスタン
小泉総理より、復興に日本はその地位に相応しい貢献をしていく、隣国であるパキスタンは重要であり、協力を強化していきたい旨述べた。
ムシャラフ大統領より、パキスタンはアフガン関連で果たすべき役割を有しており、ボン合意を支持し、同国の復興にコミットしている旨述べた。 |
(4) |
軍縮・不拡散
小泉総理よりパキスタンに対し、CTBT署名を含む不拡散上の一層の努力を期待する、核関連物資・技術の拡散防止はテロ対策の観点からも重要であり、一層の努力を期待する旨述べた。
ムシャラフ大統領は、CTBTに関する日本の要望、核に対する懸念に対しては個人的にも強い共感を持っており、パキスタンが核実験を再開する最初の国にはならず、核に対して抑制的な対応を続けていくこと、また、核の拡散をしないことを改めて約束する、CTBTの署名については、個人的には問題ないと考えるが、国内的コンセンサスが必要であり、その形成に努力したい旨述べた。
更に、外相会談では、サッタール外相より、パキスタンは核兵器、核物資の安全管理に努力している、またパキスタンのミサイル開発は自律的なものである旨述べた。 |