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主な要人の来日日程


ロマーノ・プローディ欧州委員会委員長の訪日
(評価と概要)


 プローディ欧州委員会委員長が25日~27日に公式実務賓客として訪日したところ、同訪問の概要と評価以下のとおり。

1.滞在日程(概要)

ロマーノ・プローディ欧州委員会委員長の訪日
4月25日(木) 東京着
4月26日(金) 午前
衆議院における演説
Nakata.net Cafe訪問
午後
宮中御引見
経団連訪問・講演
首脳会談
小泉総理主催夕食会
4月27日(土) 東京発


2.今回の滞在のポイント

今回のプローディ委員長の訪問は、欧州委員会委員長の公式訪問としては6年ぶり。「日・EU協力のための行動計画」の着実な実施を中心とする今後の日・EU関係を促進する上で大きな意義があった。
中東和平、テロ対策、WTO新ラウンド、京都議定書、鉄鋼問題等について骨太の議論。先方は、今後は多国間のアプローチが重要である旨主張。
「日本は自信を持つべし、日本経済は潜在力を持っている」というプローディ委員長のメッセージを小泉総理は高く評価。
欧州委員会委員長として初めて国会での演説が実現し、存在感を一層増しつつあるEUの重要性を訴える上で、大きな意味があった。
小泉総理とプローディ委員長が直接会うのは3度目であり、晩餐会でのバイオリン演奏などのアレンジを通じて、個人的な信頼関係が一層増進された。
ロマーノ・プローディ欧州委員会委員長の訪日


3.首脳会談概要

 午後6時過ぎより首脳会談が行われた。欧州委員会側の出席者はプローディ委員長、ユールヨーゲンセン駐日欧州委員会代表部大使、マンセルヴィシィ官房長他、日本側は、小泉内閣総理大臣、川口外務大臣、上野内閣官房副長官、木村日本政府欧州連合代表部大使他。会談の概要は以下のとおり。

(1) 日・EU関係

 総理より、本日は自分が総理に就任して1周年に当たることから、先ほど5時から記者会見を行ったが、その中で「日本はもっと自信を持つべし。日本の潜在力は強い」という貴委員長の本日の国会演説を引用させていただいた旨述べた。これに対し、委員長より、日・EU関係は極めて良好である。現在は歴史的に極めて重要な時期にあたり、世界の安定に向けて日本とEUの一層の協力が不可欠である。多国間による多面的な協力が不可欠である、日本とEUは世界のGDPの45%近くを占めるのみならず、開発援助については両者で世界の75%を負担している、特に、日本が難しい時期にもかかわらず多額のODAを行っていることに印象づけられている旨の発言があった。

(2) EU情勢

 委員長より以下の説明があった。

【ユーロ】ユーロ通貨の導入は混乱もなく、順調に導入が進んでいる。国際社会において、ユーロはドルの3分の2くらいの役割を果たすまでになっているなど、できたばかりにしては良くやっていると言えるのではないかと評価。また、日本からのユーロに対する期待ぶりも嬉しく思う。

【EU統合の深化・拡大】EUの拡大も着実に進んでおり、数年後には5億人を越える人口となる。また、バルセロナ欧州理事会ではエネルギー市場の自由化や、金融市場の更なる統合、ガリレオ計画の導入等を決定する等、EUは統合の深化を続けている。

【EUの将来】ジスカールデスタン元仏大統領の下で欧州の未来を議論するコンベンションが始まった。EUはかつて経済的には大人、政治面では子供と言われていたが、現在は政治面でも大人になりつつある。

(3) テロ問題及びアフガニスタン

 総理より、2001年12月の日・EU定期首脳協議ではテロに関する宣言を発出し、2002年1月のアフガン支援国会合においては日・EUで共同議長を務める等、これからも更に協力していくことが重要である旨述べた。また、アフガンの再建のためには国際社会の支援が必要であり、日・EU間で協力を進めていきたい旨述べた。

(4) 中東情勢

 委員長より、中東情勢については大変心配している、従来よりEUが提案しているように、全ての関係国が一つのテーブルに集まって議論することが解決のために不可欠である旨述べた。
 総理より、テロとの戦いは、イスラム社会やアラブ諸国との戦いではない、中東和平のためには米国が大きな力を持っており、一番関与すべきであるが、日本とEUも連携して協力すべきである、日本は米国程の大きな役割は果たせないが、出来る限りの役割を果たしたい旨述べた。

(5) 日・EU間の協力

 総理より、首脳協議や行動計画を通じて日・EU間の対話が深まっていることは好ましい旨述べた。委員長より、環境の問題、中東の問題にも見られるように、日・EUはお互い対応する上で共通点、共通の土台といったものがあり、お互い更に協力していく余地がある旨述べた。


4.総理主催夕食会

ロマーノ・プローディ欧州委員会委員長の訪日  首脳会談に引き続き、総理主催晩餐会を開催した。両首脳の共通の趣味がバイオリンであることから、パガニーニ国際コンテストで日本人として初めて優勝したバイオリニストの庄司紗矢香さんを招きパガニーニを弾いて頂いた。また、2000年の沖縄サミットの際に委員長を歓待した読谷村長も招き、乾杯は村長寄贈の読谷村産の泡盛で行った。

5.首脳会談の評価

(1) 今次訪日は、欧州委員会委員長の公式訪問としては6年ぶりである。2001年12月の日・EU定期首脳協議(於ブラッセル)をフォローアップし、2002年東京で開催予定の日・EU定期首脳協議に向けて議論を行うとの位置づけであった。

(2) 45分間の短時間に、日・EU協力の重要性をはじめとして、中東和平やテロ対策をはじめとする政治課題、また、WTO新ラウンド、京都議定書や鉄鋼問題に関する協力について骨太の議論ができた。

(3) 委員長は、二国間の協調はもとより、今後は多国間のアプローチが重要である旨述べた上で、日欧の協力を更に強化していきたい旨述べた。日米欧で連携と協力を深めていくことが必要であることを首脳間で共有できたことは、今後の戦略的な日欧関係を探る上で意義があった。

(4) 日本経済については、日本は自信を持つべし、日本経済は潜在力を持っている、という委員長のメッセージを総理が高く評価し、同日行われた総理就任1年目の記者会見においても引用した。

(5) 欧州委員会委員長の初めての国会演説が実現した。20分を超える委員長の演説により、上述の「日本は自信を持つべし」とのメッセージを含め大きな印象を与えたことは、EUに対する認識を改めて向上させる上で大きな効果があった。

(6) 総理主催晩餐会で、日本人バイオリニストである庄司紗矢香さんによるパガニーニの演奏のアレンジを通じて、総理と委員長の間の個人的な信頼関係が一層深まった。総理と委員長は、2001年5月の電話会談、2001年7月のジェノバ・サミットの際以来、「バイオリン」と「パガニーニ」という共通項で結ばれている。
ロマーノ・プローディ欧州委員会委員長の訪日

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