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内外記者会見 平成14年9月13日 小泉総理冒頭発言
今回の訪米は、ボストンより始まり本日日本向けて帰国の途に立つ。ボストンにおいては、ハーバード大学学長をはじめ若い方々との交流もでき、ブッシュ元大統領と初めてのアメリカン・フットボールの観戦もできた。ニューヨークに来て外交評議会での日米関係についての演説、そして本日国連総会での日本の姿勢に関する演説を終え、この間ブッシュ・アメリカ大統領をはじめ、各国首脳との会談もいくつか行うことができた。テロから一周年たって追悼記念式典にも出席し、改めてテロの卑劣さ、テロ攻撃による損害の大きさ、ご遺族の今なお癒すことができない悲しみを目の当たりにし、テロは二度と起こらせてはならないという決意と同時にテロとの戦いはまだ終わっていない、どこでも起こり得ることと、今後世界各国と協調しながらテロとの戦いを続けていかなければならないという思いを持った。 質疑応答 (質問)日朝関係に関連し、総理は「拉致問題の解決なくして国交正常化交渉はない」と述べられているが、現時点で拉致問題について進展する感触如何。 (小泉総理)今までの水面下の交渉で何度か日本は拉致問題を取り上げた。その都度北朝鮮側は拉致問題は存在しないと全く否定するか、拉致の問題を取り上げる会談ならば会談する必要がないといって席を立つこともあったようである。しかし私は総理に就任して以来、日本が重要だと思っている懸案は如何に相手が怒ろうが拒否しようが、主張すべきことは主張すべきでそれで相手が席を立つなら仕方がないという指示を交渉当局者に出していた。その結果、何回目かの会合で拉致の問題を取り上げても相手側は席を立つこともなく交渉を中断させるようなこともせず、交渉は続いてきた。そういう中で日朝の外相会談、赤十字会談が行われ、局長会談もオープンで行われるようになってきた。私の主張、日本政府の姿勢、全く一貫して変わらぬ中で、北朝鮮もこの交渉に粘り強く今まで中断されることなく行ってきたということは、私もそれなりに日朝国交正常化に向けての誠意ある態度が出てきたと感じることが出来たからこそ、私は今回訪朝の決断をした。今の時点で日本側の考える拉致問題、 北朝鮮側の考える拉致問題がどう合致するのか違うのかまだ分からない点もあるが、私はこの拉致問題を棚上げして日朝国交正常化はありえないということを何度も発言しており、そういう中で北朝鮮側が会談に応じてくるということ自体、何らかの誠意ある対応がなされるのではないか、またなされなくてはならないと思って会談に臨むつもりである。 (質問)イラク問題について、先ほど総理はブッシュ大統領は国際協調の重要性は十分認識していると述べられたが、一方で外交努力が成功しなかった場合は他の道を考えるとも述べられている。実際に武力行使となった場合の日本政府の対応如何。 (小泉総理)結論から申すと、武力行使が行われたらどう考えるかということに対して、未だ武力行使は行われていないわけである。そういうことの予断について今から私は答えるのは、適切ではないと考えている。そういう想像の下に、今あらゆる外交的努力がなされている。湾岸戦争、クエートをイラクが侵略した際の、あの湾岸戦争の際にも、そして昨年の9月11日のテロリストの攻撃に際しても、世界が大きな憤りを覚え協力してこの問題に当たった。軍事力行使は最後の手段であると、万策付きてやむを得ないというところまで、ぎりぎり国際協調を得ることができるような対応をすべきだと。アメリカ合衆国は政治的にも、軍事的にも、経済的にも世界最強だということは誰もが認めるところであると思う。強ければ強いほど最後の手段というのは使わないに越したことはない。国際協調体制を取ることができるように今後も一段の努力をすべきだということを、色々な例を挙げながら、私はブッシュ大統領に話をした。ブッシュ大統領も十分私の考えを十分理解してくれたものと思う。 そういうことから、今の時点で攻撃したらどうかという予断に対して答えることは差し控えたいと思う。 (質問)どのような要素から北朝鮮訪問は成功か失敗かを決定するのか。 (小泉総理)私は、北朝鮮と日本との関係というのは、過去の問題と現在の問題と将来の問題があると思っている。この問題を包括的に取り上げたい、総合的に取り上げるべきだと思っている。今まで金正日総書記と直に会った首脳の中で、金大中韓国大統領、プーチン・ロシア大統領から直にあった印象なりを伝えてもらい、また韓国は韓国なりに、ロシアはロシアなりに、助言というか意見を率直に自分に聞かせてもらった。また昨日は、ブッシュ大統領と直接核の問題を話し合った。その中で私もはっきり言った点は、北朝鮮側にとって最も利益になることは何か。それは、私が思うに、北朝鮮が国際社会の中で、責任ある一員になることだと。こういう点について私は包括的に色々な問題を取り上げて、国際社会に窓を開くように、国際社会と協調するために対話路線を積極的にとるということが、北朝鮮にとっても、日本にとっても、朝鮮半島にとっても、世界にとっても一番プラスになるんだということを率直に伝えたいと思っている。 そういうことによって北朝鮮側も現在の日朝の敵対関係を協調関係・協力関係にしようかなと前向きの態度を取ってくれれば、私はこれは大きな成果と言えるのではないかと。そういう気持ちで私は金正日総書記との会談に望みたいと思っている。 (質問)北朝鮮について、昨日ブッシュ大統領との会談で大統領は大量破壊兵器、ミサイル開発、通常兵力の問題も述べられたと聞いているが、通常兵力削減について小泉総理はどの程度具体的に日朝首脳会談で金正日総書記に話をされるつもりか。 (小泉総理)北朝鮮は、韓国との国境沿いに通常兵力を集結させている。これは、核兵器ではなくてもいわば国境線の近くにそういう兵器なり兵力が大きく存在しているということは、韓国側にとってみれば、頭に銃を突きつけられた状態で話し合いを始めるという意向を持ってもおかしくないと思う。そういう敵対意識を捨てて、協調路線をとることが日朝においても南北朝鮮半島の平和についてもプラスではないかと思う。この日朝間の国交正常化の問題は、同時に南北朝鮮、韓国との関係も重要であるので、先ほども私は申し上げたが、韓国とアメリカと日本が緊密な連絡を取ると、韓国の頭に銃口を突きつけて交渉するというようなことは、日本にとってもアメリカにとっても似たような意味があるから、そういう態度は取るべきでないと、むしろ対話路線、協調路線、戦争の準備ではなく国民を豊かにするための準備に変えることが、北朝鮮にとっても、日朝間にとっても、朝鮮半島にとってもプラスになるということを、私は強く金正日総書記に話したいと思っている。 |
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