| 2002年3月22日ソウルにおいて、小泉総理と金大中大統領が見守る中、寺田輝介(てらだてるすけ)駐大韓民国日本国大使と崔成泓(チェ・ソンホン)外交通商部長官の間で日韓投資協定の署名が行われ、両国は、今後、本協定の早期発効を目指して所要の国内手続を速やかに進めることとなった。本協定交渉の経緯、協定の意義等は以下の通り。 
 
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	| 1. | 経緯 | 
	
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 | (1) | 本協定交渉は、97年末の韓国の金融危機以後、外資導入の観点から、韓国側の提案により開始(99年9月に第1回本協議を開始し、2001年12月までの2年強の期間で計9回の本協議を開催)。 | 
	
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 | (2) | 2001年10月2回に亘って開催された日韓首脳会談において年内に本協定につき基本合意を達成するとの方向性が確認され、2001年12月22日の第9回本協議で基本合意がなされた。 
 
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	| 2. | 協定の意義 | 
	
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 | (1) | 政策的観点 
		日本は、従来、開発途上国等における日本企業の投資保護という観点から投資保護協定を結んできた。(エジプト(78年)、スリ・ランカ(82年)、中国(89年)、トルコ(93年)、香港(97年)、パキスタン(98年署名後、2002年に発効見込み)、バングラデシュ(99年)、ロシア(2000年)、モンゴル(2002年)の9カ国・地域)。
OECD加盟国である日韓両国が投資協定を結ぶ背景には、投資自由化の原則を定め、民間の投資促進を応援するという両国政府の政策的意図が込められている。
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 | (2) | 投資の自由化 
		日韓投資協定は、日本が過去に締結してきた投資協定と比べて、投資家の権利保護という点においてレベルの高い協定となっている。具体的には、(a)投資の許可段階における内国民待遇の原則供与、(b)現地調達要求、技術移転要求をはじめとする投資阻害効果を有する特定措置の履行要求の原則禁止を規定している。(注:これら二つを規定するのは、日星経済連携協定の投資関連部分とともに本協定が日本で初めて。)
締約国は、附属書に例外業種又は事項として規定されているものを除き、これらの原則に従うことが法的義務として課される。
		韓国が97年末の金融危機以降行ってきた外国資本の自由化政策に逆行して、内国民待遇等に違反する内外差別的な措置を将来的にとることが日本との関係では禁止されることになり、日本の対韓投資環境整備の観点において極めて大きな意義を有する。
		 
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	| 3. | 内容 | 
	
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 | (1) | 主な内容 
		投資の許可段階(会社の設立等)及び許可後(会社の経営等)における最恵国待遇及び内国民待遇の原則供与
		特定措置の履行要求(例:現地調達要求、輸出要求、技術移転要求等)の原則禁止
		投資の許可段階及び許可後の段階における最恵国待遇及び内国民待遇の供与並びに特定措置の履行要求の禁止についての各締約国の例外分野(業種)及び事項を附属書I 及び附属書II に分けて記載。(附属書I は協定発効後も新たな例外措置をとることが許容されるものであり、附属書IIは協定発効後には新たな例外措置をとることが原則として禁止される(スタンドスティル)。)
		収用の際の適正な補償
		送金の自由
		国家対投資家の紛争解決手続き
		合同委員会の設立及び運営
		環境規定(投資誘致のために環境基準を緩和することを慎むべく努力する)。
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 | (2) | 労働 
		なお、労働については、投資環境改善のための理念の一環として、前文で労使関係の重要性に言及。
		 
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	| 4. | 今後の見通し | 
	
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		今後、今次通常国会(第154回国会)に御承認をお願いし、可能な限り年内の発効を目指す。(注:本協定は、所定の国内手続が終了した旨を通告する外交公文の交換日から30日目に発効する。)
 
 
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