日・EU協力のための行動計画
(概要)
平成13年12月
総論部分「共通の未来の構築」
本年から「日欧協力の10年」を開始。共通の未来を築く決意。日・EU関係に新たな推進力が必要。未来志向の日・EU協力のためのアジェンダの採択。
- 1991年の共同宣言以降の進展
- 91年の日・EC共同宣言から10年。共通の価値観に基づく同宣言の一般原則及び目的はこれまでどおり有効。
- 政治対話、経済関係共に着実に進展。更なる進展の可能性。
欧州及びアジア太平洋地域における変化
- 冷戦の終結。EUの政治・経済通貨の統合進展と拡大準備。アジア太平洋地域での地域対話(ARF、APEC、ASEAN+3)の進展と経済発展。
- 日・EUは地域対話の推進に協力、地域間協力(ASEM、OSCE等)を奨励。
グローバル化の時代における日・EU協力の強化
- 日・EUは、世界のGDPの相当部分を占めるグローバル・パートナーで、開発援助の世界最大の供与国。国際社会への特別な責任。
- 開かれた貿易・投資環境を助長。ITやバイオ技術がもたらす可能性を開発。多角的貿易制度を支持し、安定的なマクロ経済環境を確保。
- 経済成長の追求は、社会融和の促進と共に行う。社会的問題(失業、高齢化、社会保障制度等)への対応が必要。男女平等の促進。
日・EU協力のための行動計画
- 日・EU関係の更なる強化を政治的コミットメントとして表明する時期。行動計画の策定。協力は、相互の地域への関与を高めるべきもので、相互尊敬の精神に基づき、文化の多様性に配慮。
- 行動計画は、(1)平和と安全、(2)万人のためにグローバル化の活力を活かした経済・貿易関係の強化、(3)地球規模の問題及び社会的課題への挑戦、(4)人的・文化的交流の促進、の4つが重点事項。行動計画は、日・EU定期首脳協議毎に必要に応じ改訂。
- EU理事会代表としての共通外交安保政策上級代表と日本国外相間の連絡の緊密化。
- 人的交流の進展を重視。
行動計画(早期実施措置を中心としたポイント)
- 重点目標1:平和と安全の促進
<国連改革>
- 安保理改革を含む国連改革へのコミットメントの確認
- 国連財政改革の完全実施による国連平和活動の強化
<軍備管理・軍縮、不拡散>
- 大量破壊兵器の撤廃(包括的核実験禁止条約の早期発効、カットオフ条約交渉開始、生物兵器禁止条約検証議定書交渉の早期妥結、化学兵器禁止条約の普遍的な批准・遵守)
- 小型武器問題への取組(01年7月の関連国連会議のフォローアップ、カンボディア、西バルカン)
<人権、民主主義、安定>
- 国連の場における人権に関する定期協議
- 児童の商業的性的搾取に反対(01年12月の横浜での世界会議、02年5月の国連子ども特総)
<紛争予防、平和構築>
- 紛争予防の組織・手段の改善と国連及び地域機関における持続的取組(「文明間の対話のためのグローバル・アジェンダ」のフォローアップ)
- 南東欧教育文化遺産保護セミナーのフォローアップ、文化遺産破壊防止
<特定の地域情勢>
- ロシア、中国、中東、アフリカ、東チモール、サイプラス
- 重点目標2:万人のためにグローバル化の活力を活かした経済・貿易関係の強化
<双方向の貿易・投資パートナーシップの促進>
- 相互承認協定(MRA):日・EU相互承認協定の実施に向けた協力
- 規制改革対話:定期的に行っている日・EU規制改革対話の一層の強化
<IT>
- 第4世代移動電話開発に関する協力
- 電子商取引に関する協力
- 新たなインターネットプロトコールIPv6に関する協力
<多角的貿易・経済問題の協力強化>
- WTO新ラウンドにおける協力
- ロシアのWTO加盟支援、中国によるWTO協定実施の奨励
- 途上国の多角的貿易システムへの参加支援
<国際通貨・金融システムの強化>
<開発、貧困との闘い>
- 関心が一致する国・分野での政策協調、感染症対策に関する意見交換・協力
- JICAと欧州委員会の人事交流
- TICAD IIフォローアップとしてのアフリカ開発への協力
- 重点目標3:地球規模の問題及び社会的課題への挑戦
<高齢化社会と雇用>
- 高齢労働者と雇用問題についての合同シンポジウムを02年に開催
<男女共同参画>
- 男女共同参画社会の実現に向けた施策、評価方法等に関する意見交換
<教育>
- 定期的な円卓会議の設置
- 世界教育フォーラム(00年4月、ダカール)のフォローアップ
<環境>
- 02年開催予定の持続可能な開発のための国連会議(リオ+10)の成功に 向けた協力
- 02年までの京都議定書の発効及び全ての国の実効性ある参加の追及に向けた協力
<新たな課題>
- バイオテクノロジー分野での協力(クローン・遺伝子操作等生命倫理の問題)
- 食品安全に関する多国間協力の促進
- 公衆衛生分野での協力
<科学技術>
- 科学技術の枠組みに関する協定締結の可能性の探求
- 環境及び地球システム理解へ向けた主要な国際事業に関する協力
- ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)に関する協力
- シンポジウム等の開催(生命科学、宇宙等)
<エネルギーと交通>
- 原子力エネルギーの平和利用のための長期的協力枠組み協定の締結
- クリーンな都市交通推進及び「運輸と環境」に関する閣僚会議開催の成功に向けての協力
<テロ、国際犯罪、薬物取引、司法協力>
- 国際的・地域的フォーラムでの協力、テロ関連条約・議定書の早期署名・締結及び安保理決議の円滑かつ早期実施、包括的テロ防止条約の早期策定、テロ資金供与の停止に向けた共通の努力の強化、途上国の能力向上のための協力
- 国連国際組織犯罪条約及び関連議定書の早期発効に向けた協力
- G8リヨン・グループ等多国間の取り組みへの支援強化
- 警察間協力の促進
- 重点目標4:人的・文化的交流
<学問の世界において>
- 教育分野における相互協力のための枠組み構築
- 学生交流促進を目的とした単位制度の比較
- 姉妹校提携
<社会生活を開始する若者のために>
- 日・EU間のインターン交換プログラムの改善・拡充
- 様々な交換プログラムの強化・開発(JET等)
- ワーキング・ホリデー制度の拡充
<市民社会の連携の強化及び地域間交流の促進>
- 地域間交流の奨励(姉妹都市提携、スポーツ交流)
- 双方のNGO、ジャーナリスト、若手指導者間の交流促進
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