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小泉総理大臣


サンクトペテルブルクにおける日中首脳会談
(概要)


平成15年5月31日


 5月31日午前(日本時間同日午後)、ロシアのサンクトペテルブルクにおいて、小泉総理と胡錦濤国家主席との間で日中首脳会談が約45分間にわたり行われたところ、概要は以下のとおり(当方:上野官房副長官他、先方:唐家セン国務委員、李肇星外交部長他同席)。


1.日中関係

(1) 総論

胡主席

 ● 中国人民及び政府を代表し、SARSに関する日本からの支援に心から感謝。また、先般の東北地方での地震に心からお見舞い申し上げる。

 ● 小泉総理は就任後、日中関係の意義を強調され、中国の経済発展が「脅威」ではなく「チャンス」であり、win-win関係を構築していくことが重要である旨発言。この点を積極的に評価したい。

小泉総理

 ● 国家主席への就任を祝福。新しい日中関係構築のため共に努力したい。本年は日中平和友好条約締結25周年。当時は福田総理の時代。福田総理は退任後、トウ小平氏の招きにより訪中され、自分(小泉総理)も同行。その後も、自分は郵政相・厚生相として訪中し、日中関係の重要性を理解。

 ● 中国の発展につき、我が国の一部には警戒論あり。しかし、自分は、これを「チャンス」と捉え、互恵の関係を築いていくべきと考えている。この点は、昨年のボアオ・アジア・フォーラム、米国外交評議会でのスピーチでも発言。

 ● 戦前の一時期、日中間には対立の歴史があったが、これは短い一時期。日中間の二千年にわたる歴史は友好交流の歴史。日本はかつて米国とも対立したが、今は同盟国。今後、日中両国は一層協力していくべき。胡主席と共に、新たな賢人会議(新日中友好21世紀委員会)を組織し、各種協力・交流を推進したい。

 ● SARSについては、互いに協力することが世界にとり重要。協力の必要があれば申し出て欲しい。

胡主席

 ● 日中両国は一衣帯水の隣国。二千年以上の長い友好交流の歴史がある。両国間には一時期、不幸な過去があったが、善隣友好が主流。国交正常化後30年を経たが、両国の数世代の努力により、日中関係は広く深く発展し、両国国民に根を下ろしている。歴史が示すとおり、両国が平和・友好的に交流することが、両国、アジアひいては世界に利益をもたらす。

 ● 新世紀に入り、世界情勢に変化。世界はいまだ天下太平とは言えない。両国は平和・発展のため、アジア・世界において極めて重要な責任を有している。両国の政治家は、このような戦略的観点から両国関係を捉え、日中友好の流れをつかみ、前に進めていくべき。

 ● 新世紀の日中関係を発展させるため、歴史の経験と教訓を学び、三つの文書(日中共同声明、日中平和友好条約、日中共同宣言)の原則と精神を遵守すべきである。双方は共通の利益を追求し、相手方の困難を理解し、解決することが重要。歴史と台湾の問題を適切に処理してほしい。相手方の国民感情を傷つけてはならない。

 ● 2003年は日中平和友好条約25周年。「歴史を鑑とし、未来に向かい、長期的視野に立ち、大局を踏まえる」との考えで、新世紀の日中関係を築きたい。同25周年を機に賢人会議を開き、両国政府への建設的提言を求めることに同意。

(2) 首脳レベル交流

 会談後立ち去り際に、小泉総理から、首脳レベルの交流を進めようと述べたのに対し、胡主席は、互いに努力しましょうと応答。

(3) SARS

胡主席

 ● SARSは突然降って沸いた問題。中国政府は、勇気をもって立ち向い、国民の生命と健康を第一にするとの方針で、国際社会とも協力して取り組んでいる。現在は成果が現れてきている。

 ● SARSの問題は中国のみの問題ではなく、国外への拡散を防ぐことが国際社会に果たすべき責任。自分(胡主席)から人民まで皆この戦いに臨んでいる。我々は、本問題を解決する自信を有している。この分野での協力を日中で進めたい。

小泉総理

 ● SARSの予防等につき両国は協力できる。

(4) 北京・上海高速鉄道

小泉総理

 ● 本計画については、日本の産業界が関心を有しており、実現すれば日中協力の大きな可能性を秘めている。

胡主席

 ● 与党三幹事長からも熱意ある表明があった。現在、リニア方式と鉄道方式のいずれを採用するか検討中。結論が出た段階で日本との協力を検討。


2.北朝鮮情勢

  小泉総理

   ● 先週の訪米時、ブッシュ大統領は3者会合開催のため中国が果たした役割を高く評価。同大統領は、今後も中国の役割が重要である旨発言。自分(小泉総理)からは、同大統領に対して、同会合には日韓の参加が不可欠である旨発言。核開発は北朝鮮にとり何のプラスにもならない。日韓、場合によっては露も含め、北朝鮮の核開発を止めさせなければならない。

   ● 拉致問題についても、ブッシュ大統領は、核と拉致の問題を包括的に解決していくとの日本の立場を理解・支持。これからも北朝鮮に対して日中協力の場面は出てくる。

  胡主席

   ● 中国政府の立場は、朝鮮半島の平和と安定の維持。これを出発点とし、半島の非核化を支持。対話により、核問題を平和的に解決し、北朝鮮の安全に対する懸念も解決すべき。

   ● この考えに基づき、中国は米朝双方に働きかけ北京会談を実現。北京会談は平和的解決のためのスタートであり、まだ長い道のりが必要。当面の課題は北京会談の継続。我々は、会談の形式についてはオープンであり、日韓が参加すべきであるとの日本の希望を十分理解。

   ● 我々は日本も平和的解決を希望していると信じている。これは日本の利益にも適うものであり、日中双方でさらに協調しチームワークを強化したい。

   ● 拉致問題については、昨年の小泉総理訪朝により進展。その後情勢に変化があったが、中国としては日本が対話を通じ適切に解決されることを支持する。

  小泉総理

   ● 自分からブッシュ大統領に対しては、北朝鮮問題の平和的解決を求めることが重要であり、イラクとは状況が異なる旨発言。同大統領も、イラクとは違う、北朝鮮の脅しには屈しないとしつつ、平和的解決に自信を有していた。



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