小泉総理大臣のベトナム訪問
（概要と評価）

平成14年4月28日

　4月27日～28日、小泉総理はベトナム社会主義共和国を公式訪問したところ、その概要及びとりあえずの評価は以下のとおり。

1. 日程
   

   4月	27日		午後		ハノイ着 歓迎式典 ファン・ヴァン・カイ首相との日・ベトナム首脳会談 ノン・ドゥック・マイン書記長への表敬 カイ首相主催歓迎晩餐会
   	28日		午前		ホーチミン廟への献花 チャン・ドゥック・ルオン国家主席への表敬
   			午後		ハノイ発

   
   
2. 概要
   　日越首脳会談、マイン書記長、ルオン国家主席への表敬を通じて、以下の事項につき日越間に合意が得られた。
   
   

   （1）

   二国間関係 （イ） 日越外交関係樹立30周年 　明2003年（「日本ASEAN交流年」）に外交関係樹立30周年を迎える日越関係をさらに発展させるために、様々な事業を実施していくことで合意。 （ロ） 経済面での協力 （a） 小泉総理から「ドイモイ」（刷新）方針を高く評価するとともに、引き続きの支援を表明。 （b） 越側から投資・貿易の一層の拡大を期待する旨表明があった。そのためには一層の投資環境の整備のために双方で協力しあっていくこと、日越投資協定の年内締結に向けて努力することで合意。 （c） 越側から、日本からの支援が越のこれまでの発展に大きく寄与したことに深甚なる感謝の意が表明されるとともに、今後一層の協力の要請があった。これに対して、小泉総理から、ODAの一層の効率的・効果的活用を要請し、越側もこれに同意した。 （ハ） 政治面での協力 　政治対話を一層強化することで合意。 （ニ） 要人往来 　小泉総理からのマイン書記長の今秋の訪日招待に対して、越側から是非有意義な訪問としたい旨の表明があった。 （ホ） 皇族への訪越招待 　越側から、天皇皇后両陛下への訪越招待が改めてなされ、小泉総理から謝意を表明するとともに、宮中に伝える旨応答した。 （ヘ） 人的交流の拡大 　本年6月に成田・ハノイ間で直行便が開設されることを契機に、日越間で観光を含め人的交流を一層拡大することで合意。

   （2）

   日ASEAN関係 （イ） 地域の「昇龍」と位置付けられるベトナムとの間で、日ASEANの枠組の中でも日越協力を進めることで合意。越側は、日本が地域で果たす政治的役割を評価し、今後とも一層の役割強化を期待する旨表明。 （ロ） 小泉総理による「5つの構想」（日ASEAN包括的経済連携構想、日ASEAN交流年、東アジア開発イニシアティブ、教育・人材育成協力、安全保障面での日ASEAN協力強化）に対して、越側は全面的な支持を表明。

   
   
3. とりあえずの評価
   

   （1）	日越外交関係樹立30周年を控え、日本と東アジアにおいて地政学的・政治的・経済的に重要な位置を占めるベトナムとの二国間関係の重要性につき、最高首脳レベルで確認することができた。21世紀における日越関係の一層の強化のための基盤を確立することができたことは有意義。
   （2）	日ASEAN関係の枠組においても日越両国で協力することに全面的合意が得られた。日越関係を新たな段階に進めるものとして画期的な訪問であった。