小泉総理大臣とクラーク・ニュー・ジーランド首相との
首脳会談(概要)
平成14年5月2日
1.全般的評価
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テロ、京都議定書、東チモール等多くの問題につき両国の共通した考え方が確認され、協力が約束されたことは、共通の価値観に立脚する両国関係の強化に資した。
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二国間経済関係については、FTAの可能性の追求よりも特定分野での着実な進展を図るべきとのニュー・ジーランド(NZ)の立場が確認され、我が方もこれを支持し、可能なところから実施すべき旨応じた。これにより今後の両国経済関係のあり方が整理された。
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(3) |
環境技術や構造改革について、首脳間で有意義な対話がなされた。
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(4) |
捕鯨、まぐろ、放射性物質輸送等についてNZ側から問題提起はあったが、抑制された対応であった。我が方よりも冷静で建設的な話し合いの必要性を強調すると共に、環境、野生動物の保護への考え方を説明した。ただ、ウェリントンでは、若干規模のある反捕鯨デモが見られた。 |
2.概要
5月2日、小泉総理は、日本時間12時5分から約1時間にわたり、クラークNZ首相との間で会談を行ったところ、概要以下のとおり。
グローバルな課題
テロ、アフガニスタン: |
総理より、インド洋への自衛隊派遣はテロに対決する強い決意の表れであり、テロ対策には国際的な協調が必要、対アフガニスタン支援については今後ともNZとも協力したい、と述べたのに対し、クラーク首相は、日本のアフガニスタン復興支援国際会議の開催及び寛大な支援を評価する、と述べた。
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環境問題: |
(クラーク首相の質問に応え)総理より、今国会期間中に京都議定書を締結するとともに米国に参加を粘り強く働きかけていく、NZの早期締結を希望する、科学技術の進展により環境と経済開発の両立は可能、またODAについても環境保護に重点を置いて実施したい、と述べた。これに対しクラーク首相は、技術面も含め日NZ両国で環境保護のため協力していきたい、と述べた。 |
東アジア
総理よりシンガポール演説におけるNZへの言及について説明したのに対し、クラーク首相は、NZはこの地域の一員であり、東アジア拡大コミュニティーは非常によい構想である、NZは欧米ではなく東アジアの一部である、と述べた。
日NZ二国間関係
クラーク首相より、2001年4月の訪日の際に提案した科学技術、観光、林業、人的交流、教育分野での関係緊密化を進めていきたい、と述べたのに対し、総理は、NZの考えを真剣に受け止め一層交流を拡大できるよう進めたい、と述べた。またクラーク首相より、日NZ間の自由貿易協定は望ましいが現時点では難しいと理解しており、一つ一つの具体的交流を進める方が良い、と述べた。
地域情勢
東チモール: |
総理より東チモールの独立及び国造りに対する支援についてNZとも協力したい、と述べたのに対し、クラーク首相は、引き続き部隊派遣と支援を継続する、と述べた。
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朝鮮半島: |
総理より、国際社会との対話と協調の利益について北朝鮮と国交を有するNZから北朝鮮に説明いただきたい、と述べたのに対し、クラーク首相は、是非そうしたい、と応えた。
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その他
構造改革:総理よりNZにおける改革の是非について質問したのに対し、クラーク首相より、政府は経済的合理性とともに社会的公平を考えるべきであり、現政権は両者のバランスを取りつつ進めている、と述べた。
捕鯨、漁業、放射性物質輸送:クラーク首相よりこれらの問題について言及があったのに対し、総理は、両国で立場の異なる問題が基本的に良好な二国間関係を阻害しないよう、建設的に取り組みたい、と述べた。
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