日米首脳会談の概要
平成16年11月21日
現地時間20日午前9時30分から約35分間、APEC首脳会議出席のためチリを訪問中の小泉総理は、同じく同会議出席のためチリを訪問中のブッシュ米国大統領と、米側宿舎であるハイアット・リージェンシーホテルにおいて日米首脳会談を行ったところ、同会談の概要以下のとおり。
1.総論
冒頭、小泉総理より、大統領再選への祝辞及び新潟県中越地震の被害に対する米国からの支援への謝意を述べた。
2.北朝鮮
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小泉総理より、六者会合の枠組みは重要であり、引き続きこれを重視して活用していくことが重要である旨述べた。同時に、小泉総理より、5月の日朝首脳会談で金正日国防委員長に対し、核兵器を保有する利益よりも核を廃棄することによる利益の方が遙かに大きいということを強調し、また、六者会合には中国及びロシアも参加しているため、六者会合の枠内での安全の保証の方が核を保持するよりも確実であることを再三にわたり話した旨説明した。
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(2) |
ブッシュ大統領よりも、六者会合がこの問題を解決する唯一の手段であると考えている旨明確に述べた。また、同大統領より六者会合を通じて外交的、平和的解決を図っていくべきと考えている、日米が緊密に連携していくこと、そして中国、韓国、ロシアを含め関係国が一つのメッセージを伝えていくことが重要である旨述べた。
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(3) |
これに対し小泉総理より、そのとおりである旨述べた。
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3.在日米軍の再編成
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小泉総理より、抑止力の維持と地元の負担軽減、とりわけ沖縄県の負担軽減が重要であるとの視点が大切である、最近の科学技術、兵器の進歩により、兵力の削減及び施設区域の整理・縮小と抑止力の維持とは両立し得る状況にあると考える、いずれにせよ、両国の外務・防衛当局間で引き続き緊密に協議させていきたい旨述べた。
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ブッシュ大統領からは、米軍のアジア太平洋地域におけるプレゼンスは、地域の安定のために戦略的な重要性を有している、施設区域の整理、統合を行いつつ、効果的な抑止力の維持を達成するようにすべきである、日米間で緊密に協議していきたい旨述べた。
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4.イラク問題
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小泉総理より、イラクの国造りと復興を成功させなければならない、日本としても、イラクの復興に対する協力を継続していきたい、どのような支援をしていくかについては日本に任せてほしい旨述べたのに対し、ブッシュ大統領より、当然であるとの発言があった。
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(2) |
更に小泉総理より、イラクをはじめとする国際社会の諸問題については、国際協調を強化しつつ取り組むことが重要である旨強く述べた(小泉総理は、この点について、会談の最後帰り際にも更に重ねて強調した。)。これに対しブッシュ大統領より、そのとおりであるとの発言があった。
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(3) |
また、小泉総理より、先の日本人人質殺害事件の際の米国による支援・協力に対する謝意を述べた。
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5.経済問題
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ブッシュ大統領より、自分は強いドルを支持しており、短期的・長期的な財政赤字への対応につき、今後議会とも話し合っていくつもりである旨述べた。
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(2) |
小泉総理より、米国の存在は、経済面でも全世界にとり重要であり、強いドルは、米国経済にとっても、日本経済にとっても、世界経済にとっても重要である旨述べた。
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6.訪米要請
会談の最後に、ブッシュ大統領より小泉総理に対し、来年是非訪米してほしいとの要請があった。
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