橋本元総理は、10月7日から12日の日程で総理特使としてエジプト、ア首連を訪問し、エジプトではムバラク大統領、ムーサ・アラブ連盟事務総長と会談した他、スエズ運河架橋開通式典に出席。ア首連では、スルターン副首相、ハムダーン外務担当国務相と会談を行った。
(1) |
ムバラク大統領との会談(8日)
(イ) |
二国間関係
ムバラク大統領は、今回完成したスエズ運河架橋等これまでの日本の協力に謝意を表明。橋本元総理よりは、今般完成したスエズ運河架橋への協力は自分が総理の時に協力を閣議決定したものであり感慨深い旨発言。 |
(ロ) |
9月11日テロ攻撃
橋本元総理より、68カ国の一般市民を犠牲にしたテロを前にして、わが国は一歩もたじろぐことなくテロと戦っていく決意であり、そのために世界と協力していきたい旨強調し、ムバラク大統領のテロに対する断固とした姿勢を評価。これに対してムバラク大統領は、少なくとも5名のエジプト人の犠牲者も出たと述べた上で、テロとの戦いの重要性を説いてきた自分に長年欧米が耳を貸さなかったことを批判しつつ、テロには強い態度で臨むことが必要である旨発言。 |
(ハ) |
中東和平
ムバラク大統領は、テロ問題の根本はパレスチナ問題にあり、米国がイスラエルに対して圧力をかける必要がある旨発言。橋本元総理よりは、日本はイスラエルに対して必要な際には率直に意見を述べており、日本の中東和平に対するこれらの立場は不変であるとした。 |
|
(2) |
ムーサ・アラブ連盟事務総長及びアラファトPLO議長との会談(8日)
(イ) |
9月11日テロ攻撃
橋本元総理より、日本も本事件で数多くの行方不明者を出した、日本は米英に協力して犯人を追い詰めるため全力を尽くす旨発言。これに対してムーサ事務総長は、今回の米国でのテロを含め、テロは受け入れられないという立場においてアラブ諸国は一致しているとした。 |
(ロ) |
中東和平
(i) |
橋本元総理より、9月11日テロ攻撃があろうとなかろうと中東和平は推進しなければならない旨発言。ムーサ事務総長よりは、中東和平問題の解決はテロへの取り組みの条件ではないかも知れないが同時に取り組むべき問題であり、イスラエルへの圧力が必要である旨強調した。 |
(ii) |
その後、アラファト議長が同席し、日本からの援助に感謝の念を繰り返し述べつつ、イスラエル軍のヘブロン包囲等の現状を説明し、シャロン首相は一連の合意を守っていない旨強く発言。 |
|
|
(3) |
スエズ運河架橋開通式典出席
(イ) |
9日午前、橋本元総理は、総理代行としてスエズ運河架橋開通式典に出席。元総理は、ムバラク大統領と共に除幕式、テープ・カットを行い、同架橋プロジェクトが日・エジプトの共同作業の賜物であることが改めて印象付けられた。 |
(ロ) |
また、式典におけるスピーチでは、同総理は、同架橋がアジア大陸とアフリカ大陸の人と文明を結ぶに相応しい架け橋であるとし、末永く日・エジプトの友好関係を象徴し続けることを祈念している旨述べた。 |
|