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小渕総理とクリントン大統領の共同記者会見



 小渕総理とクリントン大統領は、ホワイト・ハウス隣OEOB内において共同記者会見を行ったところ、右概要次のとおり。

1.クリントン大統領冒頭発言

 私と米国民の友人である小渕総理をお迎えできることを光栄に思う。総理との本日の会談について申し上げる前に、3人の兵士がセルビアから祖国に向かっていることをうれしく思っていること、そして、ジャクソン師の御尽力に感謝を表明したい。
 彼らの解放を喜んでいるが、なぜ軍事行動が継続されなければならないのかについて明らかにしておきたい。3人のアメリカ人が家に戻り、家族や友人、そして彼らが忠実に仕えてきた米国民は感謝すべきである。しかし、150万人近くのコソヴォ人は祖国を離れている。実際、2日前には、兵士のための我々の祈りが聞き届けられようとしていた頃、セルビア人兵士はコソヴォのプリズレンという町に入り、一軒一軒回って町を離れるか、さもなくば殺害すると命じて歩いたのである。数時間のうちに、1万人の住民すべてが町を逃れることを余儀なくされた。これらの人々は、いつ再び故郷の地を見ることができるのだろうか、そして、ミロセヴィッチ氏がこれまでたびたび約束しながら実現してこなかった安全と権利を享受することができるのだろう か。
 ここで思い出していただきたいのは、現在コソヴォで起こっている事態は、10年にも及ぶ民族的・宗教的な抑圧と浄化の一部であり、追放、歴史と文化の破壊、そしてレイプや殺人をも伴ってきたのである。
 我々の空爆停止の条件は、複雑なものではない。コソヴォ人は、安全にかつ自治の権利をもって帰還できるようにする必要がある。セルビアの治安部隊はコソヴォを離れなければならない。国際的な治安部隊が展開することが必要で、ただ単に監視するだけでなくアルバニア系、セルビア系民族双方を守らなければならない。我々の空爆は、ミロセヴィッチ氏がコソヴォの人々の悪夢を終わらせる用意があることを示すまで、終わることはない。
 ここで小渕総理に対し、コソヴォにおける我々の努力に対する強い支持とコソヴォ難民への2億ドル支援に感謝したい。自由を愛する者はすべて日本の寛大な支援に感謝している。
 この行為(対コソヴォ支援)の基礎にあり、我々が今日話し合ったすべての政策は、二つの基本的な事実に集約される。一つは、米国と日本は共通の理想と利益と目的を共有しているということである。
 第二は、日米両国は、世界の10%未満の人口で約40%の世界の富を生産しており、我々は特別な責任を負っている。今日は、まず同盟関係について話し合った。我々は、新たな日米防衛ガイドライン関連法案が衆議院を通過し、これによってアジアにおける地域的な危機に対して柔軟にかつ迅速に対応できるようになることをうれしく思う。
 我々は、北朝鮮、そしてミサイルと核プログラムに関する懸念について話し合った。我々は、朝鮮半島における拡散の脅威を低減するための努力にとって極めて重要なKEDOに対する日本の継続的な支持に感謝する。
 我々は、インドネシアの困難を伴うが重要な民主主義への移行について話し合った。日米両国は、6月の選挙のためにそれぞれ約3000万ドルの支援を約束している。我々は、東チモールに自らの未来を選択する権利を与えるというハビビ大統領による約束を賞賛する。我々は、東チモール住民が安全と平和のうちに選択ができるよう国連が関与することを支持する。
 最後に我々は日本の経済状況と安定した成長する経済を来世紀に向けて建設するための努力について有意義な意見交換を行った。私(大統領)は、小渕総理が日本の金融システムを再構築し、経済を刺激するためにとってきた数々の強力な措置を賞賛する。
 小渕総理が直面している課題は、決して過小評価されるべきではない。日本国民は、急激な変化の時期を経験するであろう。しかし、経済のひずみは、改革の帰結ではなく、改革が必要とされる理由である。我々はみな変わらなければならない。そして、日本の指導者と国民が落ちこぼれを生むことなく、かつ国民が団結して変革を目指そうとしていることは、尊敬に値する。
 回復が本格的なものとなるまで、日本が堅調な成長を確実なものとするためにすべての措置(all available tools)を用いることを我々は望んでいる。喜ばしいことに、我々は、規制緩和と医療機器、医薬品、電気通信、住宅、エネルギーの各分野における市場開放について合意に達し、反トラスト分野における協力を強化することに合意し、そして、外国企業による対日投資を促進することとした。我々は本日、来年3月を目途に第3回規制緩和報告に向けて協力することに合意した。また、保険、板ガラス、政府調達、自動車・同部品等の重要分野における貿易合意を我々は十分に実施しなければならない。
 鉄鋼という非常に重要な問題に関しては、我々は一定の進展を見た。しかし、鉄鋼輸入が危機の前のレベルにまで継続的に戻らない場合には、措置をとる旨を私(大統領)は繰り返し述べた。貿易のルールに基づいて競争することは、自由貿易のコンセンサスを維持するのに最もふさわしい方法である。
 先週、小渕総理はニュー・ヨーク・タイムズに対する素晴らしい投稿の中で、私(大統領)がまさに信じていることを書かれた。つまり「日本が現在の経済的困難を克服したとき、もっと活力と柔軟性のある社会として生まれ変わるであろう、そして、米国と深く共有する価値観をもっと強く支持するであろう。」
 小渕総理、それが我々が同盟国として、そして友人として推進する目標である。

2.小渕総理冒頭発言

 まず初めに、このたび大統領より公式訪問のご招待をいただいたこと、そして、この間、米国政府と国民の皆様から、すばらしい、心のこもった歓待を頂いていることに、心からお礼申し上げたい。
 今般ワシントンにまいるに先立ち、ロス・アンジェルスとシカゴを訪問し、多くのアメリカの方々から大変あたたかい歓迎をいただいた。日米両国民の交流が大きく、そして強く進展し両国の同盟パートナーシップが国民同士でも強固な相互信頼により結ばれていることを実感した。また、先ほどの昼食会にてゴア副大統領との間でNGO等、両国民の積極的な参加を促進して日米関係を更に発展させていくことで意見が一致した。
 クリントン大統領との間では、自由、民主主義、人権の尊重といった価値を共有する同盟国である日米両国が、21世紀に向け、平和で豊かな世界の構築という共通の目標を目指して一層協力していくことを確認した。コソヴォ問題については、まず、3人の米兵が自由の身となられたことを共に喜びたい。私(総理)からは政治的解決のために国際社会が一致して外交努力を行っていくことの重要性を指摘した。また、本日、米露間で対話が行われていることを歓迎し、クリントン大統領の努力に敬意を表する。米国の努力を支援する観点からも、私は難民支援及びマケドニア・アルバニアへの支援を中心とする総額2億ドルの支援を行うことを日本出発前に決定した。
 私(総理)からは、我が国の経済について、その厳しい現状に対応し、景気回復に向けて取り得る限りの施策を迅速かつ大胆に講じてきており、99年度に回復基盤を固め、プラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で取り組む考えであることを、日本経済再生及び構造改革への具体的取り組みにも触れつつ、説明した。既に経済・社会の幅広い面において日本が変化しつつあり、構造改革を進めることにより、日本は再び活力を取り戻せるものと確信している。
 安全保障面においては、「日米防衛協力のための指針」の実効性を確保することの重要性を確認した。また、沖縄における諸問題の解決のため、沖縄県内の状況にも配慮しつつ、引き続きSACO最終報告の着実な実施に努めていく点でも意見が一致した。
 また、アジアの平和と繁栄のための協力についても話しあった。
 対北朝鮮政策に関しては、ペリー調整官が検討中の「包括的且つ統合されたアプローチ」を我が国としても支持している。日米韓三ヶ国での緊密な調整を踏まえ、今後とも「対話と抑止」のバランスをとりつつ北朝鮮政策を進めて行くことで一致した。ミサイル、拉致疑惑、工作船等といった北朝鮮との諸問題について国内には厳しい世論があるが、KEDOは北朝鮮の核兵器開発を阻むための最も現実的かつ効果的な枠組みとして、我が国の安全保障にとって重要である。このような考えから、本3日に同資金協力協定に署名した。
 また、日米中の間のそれぞれの協力関係を一層発展させていくことの重要性を確認すると共に、自分からはクリントン大統領に対し中国のWTOへの早期加盟の重要性を訴え、中国の本年中の加盟実現に向けて両国が協力することにつき意見が一致しました。インドネシアについては、我が国が6月の総選挙実施を含む改革のための努力を最大限支援している旨をお伝えした。また、アジア経済危機への対応については、アジア各国の社会的弱者支援という視点から、日米が協力していくことで見解が一致した。
 さらに、国連の紛争への取り組み能力をより高めるために、国連安保理の改革の早期実現に向けて更に緊密に協力していくことが確認された。
 経済面においては、国際金融システムの強化やWTOの次期交渉の開始に向けて、日米両国が主導的な役割を果たしていくことで意見が一致した。また、大統領と私は、規制緩和及び投資に関する日米両国の対話の成果、投資促進に向けた日本政府はじめ各方面の取り組み、競争分野の協力に関する協定の実質合意、コンピューター2000年問題に関する日米協力の成果を歓迎した。
 19世紀半ばに出会った日米両国だが、その後の日米関係には晴れの日、曇りの日、そして時に嵐の日もあった。しかし、両国民は、半世紀に及ぶ不断の協力と相互理解に向けた努力により、強固な信頼関係を築き上げた。私自身、36年前にニューヨークを訪問して以来、議員交流の一環としてほぼ毎年訪米し、日米友好関係の促進に努めてきた。新たな世紀を迎える世界にあって、より多くの国の人々が、より強固な安全と一層の繁栄を享受できるよう、率先して知恵を出し合い、協力していくことが日米両国にともに課された使命であることにつき一致した。このような展望を示せたことが、今回の首脳会談の最大の成果であったと思う。

3.質疑応答

(コソヴォ情勢)

(問)最近のホワイト・ハウスによる声明によれば、交渉の余地はないようである。大統領は全面的勝利を望んでいるのか。あるいは、国際治安部隊を投入するために柔軟に交渉する用意があるのか。

(大統領)まず最初に、全面的勝利という一般化はできないと思う。自分(大統領)が求めているのは、コソヴォ住民が帰還して安全に自治を享受して暮らすために必要な条件、つまり、セルビア人治安部隊が撤退しない限りは帰還できないということである。NATOが役割を果たす信頼できる国際治安部隊がない限り、彼らは帰還できない。

(問)その治安部隊に米国は参加しなければならないのか。

(大統領)米国が参加しなければ、たくさんのコソヴォ住民が帰還することはできないだろう。そして他方で、当初より申し上げているとおり、米国は多くの国からなる治安部隊を受け入れる用意がある。我々は国連の関与も歓迎する。まさに、ボスニアではロシアも参加してそのような形がとられたわけである。
 個人的には、セルビアとのつながりが深いロシア、ウクライナ、そして正教圏の諸国家がそのような使命を担うことが重要であると考えている。それが、ボスニアでの活動が成功した要因の一つと思われる。そして、エリツィン大統領そしてチェルノムイルジン氏の関与には力づけられている。本日午後、「チェ」氏に会うのを楽しみにしている。
 また、みなさん、そしてセルビアの人々にも思い出していただきたいのは、すべてのNATO諸国は、この悲劇に満足できる形で終止符を打ち、民族浄化をやめさせるばかりでなく、コソヴォ、バルカン半島、南東ヨーロッパの人々がお互いに戦うことをやめることによってより大きな未来を得ることが重要であると認識していることである。
 セルビア人のみならず南東ヨーロッパ全体を関与させるためには、取り組まなければならない課題は多い。しかしそれは、NATOや米国の勝利のための処方箋ではなく、コソヴォ人が祖国に戻り、安全に自立して暮らすためである。

(問)まず総理に伺うが、コソヴォ問題に関して、日本政府は2億ドルの支援を決定したが、政治的な解決に向けて関与するつもりはないか。特に、ロシアの仲介が期待される中、このところ良好な日露関係を通じて日本として何らかの役割を果たすつもりはないか。また、大統領に伺いたいが、この件について日本のどのような役割に期待するか。

(総理)あらゆる民族が人権と自由と平等に享受する、平和的かつ民主的なコソヴォ社会の実現を目指すとのクリントン大統領の基本的考え方に全く賛成である。この問題の政治解決のための米国の努力に敬意を表する。
 我が国としても財政面での2億ドルの貢献のみでなく、この問題の政治解決のためにG8の一員として努力していく考えである。
 この点に関し、本日の会談においても、G8として共通の立場を形成することが重要であり、そのために米ロ間で一層密接に協議されるようクリントン大統領に申し上げた。ロシアに対しても、あらゆる機会に働きかけていく考えであるが、つい先般、私(総理)の外交最高顧問である橋本前総理に訪露いただき、日露間の問題だけでなくコソヴォについてもエリツィン大統領と率直な話し合いをしてこられたと聞いている。G8の立場からいかなる政治的な貢献ができるか、積極的に取り組んでいきたい。
 念のため、難民支援については、緒方高等弁務官とも度重なる電話連絡の中で現状を説明いただき、難民が一日も早くコソヴォで生活できるよう、また、アルバニア、マケドニアにおける当面の難民受け入れについて、我が国政府としても支援していきたい。それに加えて、特に日本のNGOが現地にまで出かけ実状を把握している他、募金活動も始まっている。そうした動きがあることも踏まえ、懸命に努力していきたい。

(大統領)日本の援助パッケージの一特徴は、マケドニア、アルバニア向けの支援を行うことである。右が重要なのは、共通の経済的・政治的利益により結びついたバルカン半島の長期的なヴィジョンにとり、両国の安定が不可欠だからである。日本は建設的な役割を果たせると信じており、日本の影響力は、その寛大な貢献と政治的な理解により高まるものと思う。

(問)ジャクソン師は、NATOが3人の米兵の解放後も空爆を停止しなかったことに不満を感じているようだが、3人の兵士の解放は、ミロセヴィッチ氏が出口を探していることを意味していると考えるか。それとも、NATOを分断するためにプロパガンダとして利用していると考えるか。

(大統領)正直どちらかわからないが、両方かもしれない。兵士たちは、コソヴォやセルビアでの軍事行動に関与していたわけではない。彼らは、マケドニアの国連の活動に従事し、安定に寄与していたのであり、地域の紛争とはいかなる意味でも関係がなかった。したがって、解放されたことを大変うれしく思う。しかし、これまで明らかにしてきたとおり、空爆は、ボスニアに比べてより早く行動するための努力であり、難民や犠牲者が25万人が亡くなったボスニアのように発生しないようにするためのものである。
 また、ミロセヴィッチ氏は昨年の10月やそれ以前にも、明確なコミットメントをしていながら、これを全く無視した。我々は外交的解決を試みた。ある条件の下では空爆の停止の用意があることも述べてきたが、そのためには少なくともセルビア軍の撤退が必要である。その立場は変更するべきではない。最も重要な議論は、戦闘が終了したときに、バルカンと南東ヨーロッパの隣国をどう扱っていくのか、という点である。
 私(大統領)は、3人の兵士の解放に感謝しているが、しかし、我々はコソヴォ住民に対する姿勢の基本的な変更を必要としている。

(日本経済・コソヴォ情勢)

(問)日本経済とコソヴォについてお尋ねしたい。クリントン大統領は首脳会談で景気刺激策を維持することが重要であると発言されたと聞いているが、公共事業の前倒しをしており、秋には息切れをすることも考えられる。補正予算の編成を含め、財政出動の予定はあるか。
 コソヴォについては、NATOはコソヴォからユーゴ軍が撤退した後に、国際機関による監視団を編成して和平を維持する案を有しているが、これが実現した場合、自衛隊による貢献はあり得ると考えるか。
 大統領には、財政出動を含めた期待をもっておられるか、伺いたい。

(総理)日本経済の将来については、大統領から自分(総理)の就任以降の政策に大変高い評価を、また、実行される期待をいただいた。問題であった金融システムについても、2つの法律により世界の信認を得て、今動き出している。残念ながら、大手銀行の中で公的管理に移った銀行もあり、若干のハードランディングかもしれないが、各国から日本の金融システムに対する信認は高まっている。必ず金融の安定化により、日本経済は大きく転換するものと思う。同時に、財政支出については、昨年財政構造改革法を凍結し、11年度予算も既に執行が始まっている。昨年暮れからは27兆円の緊急経済対策が動きだし、今年1月から3月と順調に支出が行われている。その意味で、御質問は経済に対する施策が先へ先へと実行されるので、将来息切れするのではないかという御心配かと思うが、4月から6月までの時期を見据えて、種々の政策が効果を伴ってくれば、2年連続のマイナス成長から一転してプラス成長に何とかもちこめると考えている。我々は、現在の政策について十分信頼を得ていると思っている。
 大統領から予算的な追加の求めは聞いていないが、注意深く今後の状況を監視していく必要があると認識している。今の時点で新しい予算措置をとるべきだということは聞いていない。
 コソヴォの問題については、日本としては、前述のとおり、不幸な状態の難民をいかに助けるかという人道的立場から役割を果たせると思う。国際的な軍事プレゼンスの問題がどうなるかは、正直のところ、現時点で予想できないのであり、今後米国、ロシアの話し合いも含めて、関係諸国間の話し合い次第であり、現時点では申し上げられない。

(大統領)第一に、総理はこの1年経済に関して非常に積極的に取り組んでこられたと思う。私(大統領)から申し上げたことは、(新しいものではなく)現在とられている景気刺激策が、経済が持続可能な成長の兆しをはっきりと示すまでは維持されるべきだという点である。日本国民と政府はこれまで長期的な財政上の責任へのコミットメントを明確にしてきていることから、この点は非常に難しいであろう。しかし、今日の世界の脅威、特にアジアにおける経済的脅威は、赤字財政と通貨乱発によるインフレではなく、低レベルの経済活動と資産の停滞によるデフレである。
 第二の点は、日本は高くつくが非常に長期的な視野に立った法整備を行い、金融機関を再編成したということである。米国のS&Lの経験に照らしても、早く不良債権を処理すれば、その分早く成長に戻るのである。
 第三の点は、我々はリストラを引き続き推進する必要があるということである。そして、我々は、規制緩和のラウンドにコミットした。

(コソヴォ情勢)

(問)空爆の停止に言及されたが、その条件についてお聞かせいただきたい。そして、この件につきチェルノムイルジン氏とお話しされるか。

(大統領)第二の質問への答えはイエスである。そして、第一の質問への答えを繰り返すが、何も変化はない。コソヴォ住民が帰還し、セルビア治安部隊が撤退し、コソヴォ住民を保護する権限を有する国際治安部隊を受け入れることが条件となるが、だれが治安部隊と構成し、どのように機能するのかについては、今後の交渉に任される。しかし、アルバニア系住民が安心して帰還するには、NATOが主要な役割を果たすことが必要となろう。

(北朝鮮問題)

(問)大統領に伺いたいが、北朝鮮の拉致疑惑について総理から協力要請があったものと承知するが、人権を重視する大統領として、今後どう対応していくつもりか。先の訪韓、今回の訪米を通じ、北朝鮮をめぐる日米韓の足並みはそろった形となった。総理に伺う。これを受けた次の段階の対応としてはどのようなものがあるか。

(大統領)重要な問題である。第一に、日本はこの問題を放置しておくべきではないと思う。私の大統領就任以後も、ヴィエトナムでは捕虜や遺品の捜索が行われている。もし誘拐されて北朝鮮に連れ去られたと信じるなら、彼らが生きて見つかるか、あるいはどこに埋められたかわかるまで探し続けるべきであり、私(大統領)はこれを強く支持する。
 米国の立場は、北朝鮮の核の脅威、ミサイル技術の脅威、そして究極的に朝鮮半島における紛争の脅威を除去することができるなら、その他の問題も同時に解決する可能性が高いというものである。しかし、それこそ、日米両国が、そして中国やロシアとも協調することが重要な理由である。北朝鮮は、未だに非常に孤立した国家である。中国でさえ、韓国との貿易は北朝鮮との貿易の約10倍となっている。

(総理)北朝鮮は我が国の隣国であり、国連加盟国185カ国の中で唯一我が国と国交が正常化していない国である。したがって、一日も早く国交正常化のための努力をしていなければならない。そのためには、「抑止と対話」が重要であり、昨年北朝鮮がミサイルを我が国の上空を通過させたこと、また、秘密核施設疑惑の問題もある。さらに、邦人の拉致疑惑もあり、日米韓が力を合わせてしっかりとした抑止の努力を行うと同時に、対話の努力も続けていかなければならない。米朝間には対話のチャネルがある。韓国、北朝鮮、米国、中国という話し合いの場に我が国は加わっていない。今後とも積極的に取り組みたいが、KEDOの問題については、本日資金協力協定に署名ができた。軽水炉発電所の建設について資金面で大きく動き出したことは好感すべきことと考えている。
 いずれにしても、ペリー調整官が我が国を2度訪れ、北朝鮮に対して「包括的且つ統合されたアプローチ」を日米韓でとっていきたい旨述べていたように、我々としては一層協調を深めていきたい。

(コソヴォ情勢)

(問)まず、ミロセヴィッチ氏が、大統領が求めるコミットメントを具体化するには何をしなければならないか。第二に、ユーゴ軍はどうすべきなのか。そして、どのくらい後にNATOの空爆は停止するのか。

(大統領)これまでに申し上げた以上に他に表現のしようがない。チェルノムイルジン氏との会談でも、この問題をとりあげるつもりである。
 繰り返すが、私(大統領)は、米国やNATOの同盟国の若者を危険にさらされる状況に送りこむことは非常に忍びないと思っているし、アルバニアやマケドニアに負担をかけることを楽しんでいるわけでもない。コソヴォ住民を難民キャンプから故郷に帰還させたいし、誤爆によってセルビアやコソヴォの民間人が亡くなることも残念である。

(ガイドライン関連法案)

(問)ガイドライン関連法案の衆議院通過が、日本周辺の武力紛争に日本がどう協力するかが問題となる。特に、中台間で紛争が生じた場合が微妙な問題となるが、米国はどのように対応するのか、日本にはガイドラインに基づいて支援を求めるのか。

(大統領)米国は、「一つの中国」を支持し、同時に中国と台湾が平和的な手段によって立場の相違を解決することを支持する。それが米国の明確な政策であり、仮定の質問にはお答えしないのが賢明である。
 より広い文脈において、中国に知っていてほしいのは、米日両国は、来る21世紀に中国と協力したいということである。しかし同時に、我々は共通の価値観に立脚したいと願っており、このことは、江沢民主席、朱ヨウ基首相、中国国民に私(大統領)から説得している。
 中国は偉大な国であり、このような問題を巡って争う必要はない。日米の強固な防衛協力は、いかなる意味でも中国に向けられたものと見られるべきではなく、むしろ、米日両国の安全保障上の利益と両国の価値観を高めるものである。
 我々の後継者は21世紀において、中国を偉大なパートナーと認め、アジア太平洋地域の平和と安定、繁栄と自由のためにともに働くことができるだろう。

(総理)新ガイドラインについては、安保条約をより安定的に運用できるようにし、日米安保関係の絆を深くするものであり、関連法案が衆議院を通過したことは、日米安保が今後ともますます強固になることを意味し、すばらしいと考えている。



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