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小渕総理の李鵬全人代委員長との会見 平成11年7月9日
9日午後3時15分より、人民大会堂において、標記会議が約45分間行われたところ、概要以下のとおり(先方:曹志・全人代副委員長、陳建駐日大使他、当方:野田自治大臣・国家公安委員会委員長、高村外務大臣、野田郵政大臣、谷野駐中国大使他同席)。1. 冒頭挨拶
冒頭、李鵬委員長より、「本日は再会でき大変嬉しく思う、今、日本の経済及び政策は良い方向に向かっているが、これは総理のリーダーシップのお陰であり、お祝いを申し上げたい。私は10年間国務院総理をしたが、今は全人代委員長であり、身分が変わった、全人代は司法・検察にも責任を有する重要な機関である、全人代として日本との関係を重視している。日中は一衣帯水の隣国であり、両国の議員交流も頻繁である」と述べた。
これに対し、小渕総理より、「李委員長は、国務院総理として訪日もされているので、日本国民もよく存じ上げている。貴委員長をはじめとする全人代の方々とお会いできて嬉しい。改めて、10年間も困雑な時期に国務院総理の重職を努められたことに敬意を表する、先般斎藤参議院議長が訪中した際にもお会いいただいており、感謝する。貴国では科学・技術者が政治家の中に大勢いるので、それでこの方面を学ぶ人がいっぱいいるのだと思う。科学・技術の方面における中国の発展には目を見張るものがある」旨述べた。2. グローバリゼーションと多極化
李委員長より、この機会に(1)経済のグローバリゼーション、(2)多極化の2つの問題について話したい旨発言。
(1)経済のグローバリゼーション
まず、李委員長より、「経済のグローバリゼーションに関して、現在はグローバリゼーションが世界の大きな趨勢となり、技術力の向上につれて各国の繋がりが緊密になっている、これにより中国にも利益がもたらされているので、グローバリゼーションには賛成である、中日双方が中国のWTO加盟について実質合意できていると聞いているが、これは日本の中国支援の現れであるとともに、中国がグローバリゼーションに参加する姿勢を示したものである」旨述べた。
これに対し、小渕総理より、「グローバリゼーションには光と影、つまり長所と短所がある、ケルンサミットでも本件は取り上げられた、日中を含め、良い面が出ると良い、グローバル・スタンダードにはアングロ・サクソン・スタンダードの面があるが、日本古来の伝統とうまく組み合わせることが大切である。うまく組み合わせていかないと影の部分が大きくなる」旨述べた。(2)多極化
李委員長より、「我々は多極化は一極化よりもマシだと考えている、一国が他の国に命令を出す体制よりはマシである、なぜなら、世界は多様化しており、社会、歴史、文化の発展段階は異なるので、一つのパターンで発展してはならない、どんな形の発展をするかはその国が自分で決定することである、また、人権は主権を凌ぐとの論調にも同意しない、侵略者が他国が侵略する口実になるからである」旨述べ、「日本がこれまで平和発展の道を堅持してこられたことを賞賛する、中国も独立自主の道を堅持しており、中日両国は共通していると言える、我々は両方ともこの地域、特に北東アジアの平和を願っていると考えている。もし衝突や戦争が起これば真っ先に被害を受けるのは日中である」旨述べた。3. 日中議員交流
小渕総理より、「全人代との議員交流をできるだけ進めたい」旨述べた。これに対し李鵬委員長より「御提案を賞賛したい。最近日中議連代表団が訪中されたが、中国側にも全人代中日友好小組や外事委他専門委員会があり、もし、日本の衆参両院から招待があれば喜んで訪日するだろう」旨述べた。
4. 朝鮮半島情勢
小渕総理より、「北東アジアの安定に深い関心を有しており、特に北朝鮮との関係では、日本にとり、北朝鮮のミサイル発射は国民的な関心がある。今度機会があれば日本国民のこうした考え方を北朝鮮側に披露して頂ければ有り難い」旨述べた。
これに対し李委員長より、北朝鮮より最近大規模な訪中団があり、大変良い意見交換を行うことができたとしつつ、「中朝両国関係は大変良いが、北朝鮮は主権国家であり、中国は内政干渉はできない。中国が受けた印象では、北朝鮮では現在大変大きな経済的な困難に直面しているようだが、政治的には基本的に安定している。北朝鮮を国際社会から孤立させることは必ずしも賢明ではない。現在、米も日本も北朝鮮との国交樹立していないが、北朝鮮が国際社会から離れていることは、この地域の平和と安定にプラスとならないと考えている。但し、北朝鮮のミサイル発射についての日本国民の心情は我々として理解できるものであり、機会があれば日本側の意見を北朝鮮に伝えることとしたい。中国には『一方の手のひらのみでは音は出ない』との言い方があるが、日本側も北朝鮮の立場に立て北朝鮮には安保上の危機感があることを理解いただきたい。米は韓国に軍隊を駐留させ、先進兵器を有しているが、北朝鮮から見ればこれらは脅威となろう。中国政府の政策としては、朝鮮半島情勢が安定し、南北双方が対話と協議を通じて平和裡統一することを期待するというものである」旨述べた。5. コソヴォと国連改革
小渕総理より、ユーゴ中国大使館被爆事件への同情と被害者への哀悼の意を示すと共に「コソヴォ問題の解決の中で国連の役割が問われており、国連改革、特に安保理改革が必要である。中国が安保理常任理事国として是非安保理改革のイニシアティブをとって欲しい」旨述べた。
これに対し、李委員長より、「賛成する。中国は自らの役割を果たしていきたい」旨述べた。
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