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22日、小渕総理大臣がニュー・ヨークにおいて行った内外記者会見の記録は、以下のとおり。1.冒頭発言
総理: 今回のニュー・ヨーク訪問では、昨日国連総会に出席し、一般討論演説を行うとともに、オペルティ総会議長、アナン事務総長、ブレア英国首相と会談し、また、本日は、クリントン大統領との首脳会談を行いました。大変短いながらも極めて充実した訪問であったと考えております。
まず、総会演説では、冷戦後国際社会が直面する課題として、21世紀に向けての新しい国際秩序をいかに構築するかとの観点から、相互に密接に関連する3つの問題、すなわり「平和」への取り組み、「開発」への取り組み、そしてこれらの取り組みに必要不可欠な国連の「改革」への取り組みを同時に推進することを訴えました。特に、「平和」の問題については、我が国として、核不拡散体制の強化や核兵器国の核軍縮の推進、対人地雷や小火器の問題等への取り組みに一層の役割を果たしていく決意を表明し、また、開発問題や様々な地球的規模の問題、国連改革の問題にも一層積極的な役割を果たしていくことを述べました。
クリントン大統領との初の首脳会談においては、経済問題や国際情勢を含む幅広い事項につき非常に有意義な意見交換を行い、今後とも密接な協議を続けていくとともに、両国間の協力を一層強化し、互いの政策を調整していくことを確認し合いました。なかんずく、北朝鮮のミサイル発射は、日本の安全保障に直接関わるだけでなく、北東アジアの平和と安定にとり憂慮すべき行為であり、北朝鮮に対する毅然とした厳しい態度をとり、北朝鮮に働きかけていくことを確認しました。更に、日米安保条約上の双方のコミットメントは確固たるものであることを再確認しました。
また、世界経済について、私とクリントン大統領は、厳しい情勢でありますが、日米両国が相携えて対応することの重要性につき、一致しました。その際私は、日本経済の再生はアジア、ひいては世界の経済的安定と繁栄にとって大きな鍵であるとの認識に立って、次のことをクリントン大統領に伝えました。
第一に、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意で臨み、早急に一連の法案の成立と具体的実施を図ること、
第二に、景気回復のために過去最大の「総合経済対策」の実施に全力を尽くしており、その上で事業規模10兆円を超える第二次補正予算の編成、及び6兆円を相当程度上回る恒久的な減税も実施すること、及び我が国経済の再生のために今後も適切な措置をとっていくことが重要であること、
そして第三に、規制緩和・市場開放に最大限の努力を続けること、
このような我が国の施策は、米国側の諸努力ともあいまって、現下の世界経済に建設的な寄与を行うものと確信しています。
更に、クリントン大統領から来年の前半に米国を公式訪問するようご招待いただき、私は喜んでこれを受諾いたしました。2.質疑応答
(1)質問: 日米首脳会談についてお尋ねいたします。総理の方から日本政府のとった景気回復、金融安定化についての措置についてご説明されたとのことですが、これに対し大統領がどのように評価されたのか。あるいはまた、大統領が更に日本側にとってほしい措置を何か求められたのかどうか、それにもう一つは、総理が今おっしゃった「今後とも適切な措置」というのは、具体的にどういうことを意味をしているのか、その点についてお聞かせください。
総理:大統領は、私の説明、すなわち橋本内閣から私の内閣を引き受けるにあたりまして、この大きな政策の転換を図ったこと、先ほど申し上げましたとおり、我が国の(経済)再生内閣としてスタートしたわけでございますが、経済を安定し景気を回復しなければならないということでございまして、そのためには、一般的にとりうる手段としては、金融対策、更に、減税対策、そしてまた財政出動ということになりますが、日本の場合、公定歩合が0.5パーセント、こうした低い金利水準の中で更に引き下げることは困難な情況でございますので、先ほど申し上げましたような、減税政策をとる、そして、これまたご承知のように、橋本内閣時代に遂行しようとしたこの財政改革路線を凍結いたしまして、財政出動も行うということにいたしました。現在、前の内閣が行ってまいりました16兆円の総合経済対策も、参議院の選挙がございまして、国の支出に対して地方自治体の支出というものが大変遅れてきておるということでありまして、実行はこれから行われるということでありまして、加えて、更に追加的に10兆円の補正予算も組んで行こうということで、こうしたことについて、日本側の新しい政策の大転換に関しては、アメリカとしてもこれを多とするということでご理解をいただいたものと考えております。いずれにいたしましても、大統領は私の説明を評価いたしまして、内需主導による成長の刺激と金融システムの強化のため迅速かつ効果的な措置の緊急性につきまして、理解をされたと認識をいたしております。
追加的な措置の問題でございますが、米国がそうした日本の現状に対する危機感を強めていることは承知いたしておりますが、この点については、更に今後とも適切なあらゆる手段を講じてまいるということでご理解いただいたものと承知いたしております。(2)質問: 総理は日本が「あまりにも遅くあまりにも少なく」ではなく「あまりにも大きくあまりにも急速に」と言われたとおっしゃっていたようですが、米国の日本政治のオブザーバーたちは、法律ではなく、法律を実施する意思が重要なんだということを言っておりました。日本が一体いつ実際に多くの破綻銀行を閉鎖し、不良債権を処理するということを、どのくらいのスピードでなさるつもりですか。たとえば、数週間後、数ヶ月後、また長期信用銀行の問題は、更に超えて例えば10月31日になるとすると、あといくつくらいの銀行が閉鎖されることになるとお考えですか。
総理:日本は世界の中で最も議会制民主主義のその制度が充実した国でございます。したがって、金融の安定の問題についての法律を、従来日本の慣例で言えば8月に国会を開くということは未だかつてなかったわけでございますが、この国会を開催いたしまして、現在与野党間で精力的な話し合いを続けているわけです。国会におきまして、法律が制定されないことを実施するわけにはいかないのでありまして、一日も早い国会での法律案の成立を期しているわけでございます。考え方としては、too fastということで最善の努力を政府としては続けております。したがって、お尋ねのようにいつまでも言われましても、国会との関係でございますから、限定することはできません。しかし、必ず日本の国会も適切にかつスピードをもって今次日本における金融の安定化のための法律を通過せしめていただけるものと思っておりますし、与野党間の話し合いがなされているものと理解しております。
(3)質問: 昨日の国連の総会で総理は北朝鮮のミサイルの問題について、我が国の安全保障に直接関わる極めて重要な問題であるとご指摘されました。日米首脳会談では、この問題に関連して4プラス2、現在の4カ国に日本とロシアを加えた6カ国の会議を提唱しておられますが、北東アジアの安定ということで提案されているとは思うんですが、実際に実現性と現在北朝鮮に関しては日本は制裁措置をとっているわけですが、この辺の関係につきまして、お願いいたします。
総理:私は、かねて以来持っている持論でございますが、北東アジアの安全を考えましたときに、朝鮮半島、北朝鮮、韓国それに周辺国であるところの中国、ロシアそして我が国、そしてこの地域にも安全保障に大きな役割をもっている米国、この国々が極めて精力的にかつこのアジアの平和と安定について話し合うという事態が生まれることが大変望ましいという考え方をもっておりました。したがって、現在の状態で現実にこれが実現するかどうかについては、極めて困難性はありますけれども、そういう形で十分話し合うことができたら究極的な同地域の安定を招来することができると考えておりました。現時点でそのことが可能だという感じはいたしておりませんが、したがって、私から新たな提案ということではなくて、私の日頃の考え方を申し述べたところでございます。そこでこの北朝鮮のミサイルの発射につきまして、先ほど申し述べたとおり、極めて我が国にとってショッキングな事件でございましたので、我が国の国民の意識、そうしたものをお話申し上げたところでございます。一方、米朝の間におきましては、話し合いが進んでまいりました。そして合意に至りましたことはまことに望ましいことでございますので、その後、4カ国における話し合いが更に進んでまいるということについては、これは現実問題として、進捗してることについてはこれを評価し、成果が生まれることを期待しているところでございます。
(4)質問: 弱体化したがしかし存続することができる銀行に公的資金を注入するということについて、大統領に対してどういう説明をなさったんでしょうか。ブリーフィング中に大統領の補佐官が言ったのは、この点は非常に重要だと大統領はおっしゃった、日本の銀行制度の改善のために極めて重要だとおっしゃったということですが、総理は何かこの問題について何らかのコミットメントをなさいましたか。その中には、公的資金の注入を含んでコミットメントをされたのでしょうか。
総理:具体的な問題についてのお話は特にございません。一般的に金融システムの安定化なくしては、この日本の経済の発展もない、また同時に、日本の大きな金融の規模から言ってこれが安定することが、世界の経済に影響が非常に大きいということのお話は当然されました。私の方としては、我々は世界の事例に学ぶことにいささかも躊躇するものではない、米国においても、80年代にS&Lの問題から始まりまして、大きな金融機関が極めて厳しい経営状態に陥ったときに、アメリカとして対応した手法についても我々がいろいろと学ぶ点があるということは、申し述べたところであります。
(5)質問: 中国の首相(ママ)が訪日を延期させましたが、どうして延期されたのでしょうか。それから、どういうトピックを話し合う予定になっていたのでしょうか。
総理:ご案内のとおり、今年は日中平和条約が締結されて満20周年という記念すべき年でございます。この機会に中国国家主席として初の我が国のご訪問をされるということで、日本国民あげてこれを歓迎しようということで、この9月お待ちをいたしておりましたが、おそらく、その延期になりました理由は、長江の大洪水によりまして、大被害が生じており、江沢民国家主席自らが現場に立ちまして復旧のために陣頭指揮をとられておったというようなことも承知いたしておりますので、延期になった理由だと思います。本日、さりながら20周年ということでございますので、今年の12月までということですが、現在11月のしかるべき日にちを選んで日本に正式の訪問をされる予定と承知いたしておりますので、今、具体的な日程の詰めに入らせていただいておるということでございます。
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