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日韓首脳会談(共同記者会見)

平成12年5月29日

 29日、青瓦台にて行われた日韓首脳会談後に行われた共同記者会見の模様以下の通り。

1.金大中大統領冒頭発言

(1)今回、就任後初めて我が国を訪問された森喜朗日本国総理大臣閣下を、韓国国民と共に心から歓迎致します。森総理と私は、本日、首脳会談において、21世紀日韓パートナーシップを具体化する方案と両国の対北朝鮮政策、そして国際舞台での協力問題に関し、非常に有益な意見交換を行いました。森総理と私は、両国首脳間の相互訪問を通して、新時代の日韓関係が開幕して以来、両国政府と国民間の交流と協力が画期的に拡大、深化していることに対し満足を表明し、このような関係がより増進するように共に努力していくこととしました。

(2)私は、南北首脳会談に関し、準備状況と韓国の立場を説明し、これまでの南北関係進展のための日本政府の協調に謝意を表明しました。私は、日朝関係改善が朝鮮半島の平和と安定に寄与するものであり、韓国政府としても、日朝関係の進展のために協調すると述べました。森総理と私は、南北関係と日朝関係が互いに肯定的な効果をもたらすよう、今後とも緊密に協議・協力することとしました。21世紀の日韓パートナーシップを更に発展させるため、森総理と私はお互いの関心事について話し合い、両国の関係を堅固にするべきと考えます。

(3)森総理は、私が日本を訪問することを要請し、私はこれに対し謝意を述べるとともに、今後、互いに都合のよい時期に訪日するよう検討することにしました。私は、在日韓国人に対する地方参政権が今年中には付与されるよう、日本政府と国会が真剣に努力するよう要望しました。これに対し、森総理はこの問題に対し、今後とも真剣に検討すると言及しました。森総理と私は、両国の政治家間の交流の活性化のために、共に努力することにしました。

(4)森総理と私は、日韓両国間の実質的な経済関係の持続的な発展のために、貿易の拡大均衡が重要であることに認識を共にし、そのために投資拡大及び両国間の産業技術協力等を促進していくことにしました。特に、両国は、両国間の投資協力を促進するため、法的・制度的基盤を整えるため、韓日投資協定締結交渉をできるだけ今年中に妥結することとしました。森総理と私は、2002年ワールドカップサッカーを控え、最近、急激に増加している航空需要を勘案し、両国国民が不便なく相手国を往来できるよう、両国間の航空路線を増便する方案を考えていくことにしました。

(5)森総理と私は、ワールドカップサッカーが共同開催され、「日韓国民交流の年」と指定されたこと等を契機に、両国間の文化、芸術、観光、青少年、学術、体育、地域等、多様な分野の交流と協力を促していくことにしました。私は、今年、上半期中に三回目の日本の大衆文化開放措置を実施する予定であると説明しました。

(6)森総理と私は、今年7月、沖縄で開催されるG8サミットと、今年10月、ソウルで開催されるASEMの成功のために、積極的に協力していくことにしました。

(7)最後に私は、韓日関係の発展に大きく貢献された小渕恵三前総理が逝去されたことに対し、森総理に深い哀悼の意を表明しました。森総理と私は、今回の首脳会談を通して、両国パートナーシップ精神に基づく交流と協力が、各分野において着実に実現され、文字どおり、近くて近い日韓関係が定着し成し遂げられていることを確認しました。私は、本日、森総理大臣と、日韓関係の発展方向に対し忌憚のない意見を交換し、個人的友情と信頼を厚くすることができたことを嬉しく思います。 ありがとうございました。

2.森総理冒頭発言

(1) この度、私は日帰りという短時間の訪問ながら、日本国総理大臣として初の韓国訪問を行い、金大中(キム・デジュン)大統領閣下との首脳会談を行いました。初めての首脳会談において、極めて有意義な意見交換を行うことができ、大変に嬉しく存じます。98年秋の大統領閣下の我が国ご訪問以来、日韓関係は多くの分野でかつてないほど具体的な進展を見てきました。大統領閣下と共に、未来志向の日韓関係を目指された小渕前総理は、志半ばにしてこの世を去られましたが、私はその遺志を受け継ぎ、大統領閣下と共に日韓関係の更なる前進を目指していくことをお約束した次第です。小渕前総理の逝去にあたり、大統領閣下を始め、韓国国民の皆様が深い哀悼の意をお示し下さいましたことに対し、この場を借りて私よりも御礼申し上げます。また、来月8日の小渕前総理の政府・自民党合同葬には南北首脳会談直前にも係わらず、金大中大統領ご自身が参加されるとのであり、私からはこれを感謝申しあげ、また、右に対する小渕前総理ご家族の感謝の念についてもお伝えしたいと考えています。

(2)本日の首脳会談におきましては、開催まで2ヶ月余りとなった九州・沖縄サミットにつき、私より準備状況を説明申し上げ、21世紀がより素晴らしい時代になるという希望を世界の人々が抱けるような、明るいメッセージを発信していきたいとの考えをお伝えし、大統領閣下より賛同を頂きました。また、本年秋にソウルで開催されるアジア欧州会合第3回首脳会合に関し、その意義を確認すると共に、我が国として最大限の協力を惜しまない考えであることをお伝えいたしました。
 南北首脳会談が目前に予定されており、日韓両国の対北朝鮮政策が重要な節目を迎えている時点で行われました今次首脳会談においては、朝鮮半島の平和と安定の問題について、有意義かつ緊密な意見交換を行うことができました。私よりは、南北首脳会談の開催合意は、大統領閣下が忍耐強く進められた「包容政策」の結果と認識し、あらためて全面的な支持を表明し、その成功を祈念している旨申し上げました。
 日韓関係につきましては、大統領閣下のご訪日以降、過去に区切りを付け、21世紀に向けた未来志向の日韓関係構築の基礎が固まったことにつき、認識を共にしました。また私より、金大中大統領閣下のくつろいだ形での御訪日をあらためて招請申し上げ、今後適切な時期を検討していくこととしました。
 今後日韓両国が様々な分野で協力し、成果を上げていくことは、新時代の日韓関係の望ましい姿であり、国際社会の期待に沿うものでもあります。我々は、今後も引き続き対話・協力を進め、各般の分野における協力を増進していくことで一致しました。
 日韓両国間の経済面での協力については、我々は、日韓投資協定の早期締結、基準・認証分野における協力の推進について、あらためて確認しました。また、民主主義、市場経済体制等の価値観を共有する日韓両国が、自由貿易協定構想の可能性も含め、どのような経済関係を構築していくかという課題につき、十分な議論を尽くしていくこととなりました。
 また我々は、2002年のワールドカップサッカー大会の日韓共同開催成功のために、政府としても一層の関心を払うこととしました。2002年の「日韓国民交流年」に向けて、各般の分野にわたる多彩な交流事業を一層強力に推進していくことを確認致しました。

(3)この度の首脳会談を通じ、我々は、21世紀に向けての日韓パートナーシップ構築の着実な進展を確認し、更にこのような日韓関係の潮流を未来に向けて、一層推進し、発展させていく決意を新たに致しました。最後に、慌ただしい日程で訪韓致しました私ども一行に対し、行き届いたご配慮を頂いた金大中(キム・デジュン)大統領閣下を始め、韓国政府及び韓国国民の皆様に、心からの感謝を申し上げ、私の冒頭発言とさせて頂きます。


質疑応答

問(対金大統領):日本国内では、北朝鮮のミサイル開発や日本人の拉致疑惑の問題について関心が高いが、近く行われる予定の南北首脳会談で、これらの問題に触れることになるのか。触れるとすれば、具体的にどのような形で言及するのか。


 南北首脳会談に際しての私の立場は、まだ具体的な議題について確定していない。互いに話し合いたいことを何でも制限なく自由に話さなければならない。そうすることにより相手が何を考え、何を誤解しているか、また、我々としても新たに理解すべき点は何かが分かる。そういう意味で、南北首脳会談においては、南北のみならず、米国及び日本も含む国際問題も話すことはできる。
 今回南北間で話し合いを十分に行い、同意できる部分についてのみ合意するということでよいと思う。欲張らず、出会い自体が成功であり、それを2回目、3回目と発展させて行きたい。
 また、3月9日にベルリン宣言を通じて明らかにした四大原則、すなわち、1.朝鮮半島における平和の問題、2.南北間の経済協力、3.離散家族問題の解決、4.南北当局間対話の常設化、を自分としては重視している。
 最終的な議題については、これから確定していくが、いずれにせよ、互いに話し合いたいことは内外問わず何でも話すということだと思う。

問(対森総理):森総理は「神の国」発言に関連し、5月26日(金)に記者会見を行い、日本国民に同発言の真意を明らかにされた。同発言に対して韓国国民も衝撃を受けており、日本の隣国の中には過去を想起せしめる発言として、これを憂慮する声も高い。両国関係に誤解があってはならないと考えるが、同発言に関し、総理から韓国国民におっしゃりたいお言葉があれば伺いたい。


 先般の私の発言については、十分に意を尽くさない表現により、多くの方々に誤解を与えたことを深く反省しています。26日の記者会見の場でも述べたとおり、私は、内閣総理大臣として、日本国憲法に定める国民主権、信教の自由を尊重・遵守することは当然のことです。「天皇中心」という表現は、天皇は時代時代により位置付けがかわったが、現在では日本国及び日本国民統合の象徴とされており、そのことを申し上げようとしたもので、戦前のような天皇主権の下で国家神道を復活させることは、個人的な信条としてもありません。
 また、「神の国」という表現は、特定の宗教について述べたものではなく、我が国には昔から、その土地土地の山や川や海などの自然の中に、人間を超えるものを見るという考えがあったことや、人の命の大切さへの理解や宗教的な情操を深める教育が大切であるということを強調しようとしたものであり、決して天皇を神と結びつけようという趣旨で発言したものではありません。
 私は、過去の歴史に学び、反省すべきことは反省し、未来に向かっていくことが必要であると考えております。戦後、日本は、歴史の反省の上に立ち、国民主権、信教の自由を憲法に定めました。この理念は、今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものと考えます。



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