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森総理の南西アジア訪問
(概要と評価)平成12年8月28日
- 森総理は、8月19日から25日にかけて、バングラデシュ、パキスタン、インド、ネパールを訪問した。バングラデシュ、パキスタン及びインドについては、日本の総理としては、90年の海部総理の訪問以来10年ぶり、ネパールについては初めての訪問であった。南西アジア地域は、アジアの中でも、我が国との関係も若干距離があり、特に98年5月の印「パ」両国の核実験の後にとられた我が国経済措置が継続されているという状況の下であったが、訪問した各国で、国を挙げての大変な歓迎を受け、南西アジア地域と日本の歴史的な絆や南西アジア諸国が極めて親日的であり、我が国に対し強い期待があることを改めて認識させるものであった。
- 今回の訪問は、南西アジア地域が我が国にとって有する重要性が益々大きくなっている中で、訪問先各国との間の政治、経済、文化、人的交流等広範な分野での友好協力関係を増進することを目的とするものであったが、各国から強い手応えが得られ、時宜を得たものであった。特に国際社会の中で戦略的な重要性を増しつつあるインドとの関係を強化し、21世紀に向けた新たな関係を構築することを主眼としたが、ヴァジパイ首相との間で、広範な分野における多面的協力を内容とする「21世紀における日印グローバル・パートナーシップ」の構築に合意したことは大きな成果であった。その一環としてIT先進国であるインドとの間でIT分野での協力を推進していくことに合意したことは、印との関係に新たな広がりを持たせることになった。
- 一方、パキスタンは現在、内政、経済、テロとの関わり等の面で困難な立場にあるが、森総理からは、ムシャラフ長官に対し、伝統的な友好国として、パキスタンが国際社会で孤立することなく、国際社会に積極的に関与していくことが重要であるとの観点から、民主化、核不拡散、テロ対策等の面で進展を示すよう働きかけた。ムシャラフ長官からは国内経済改革、テロ対策、良い統治(グッド・ガバナンス)に最大限の努力を行う旨の表明があったが、森総理の率直かつ友好的な助言は「パ」側からも評価され、今後の両国間の対話の基盤ができたものと期待される。
- 今回の訪問を通じ、森総理からインド、パキスタン両国首脳に対し、改めてCTBT署名を始めとする核軍縮・不拡散についての我が国の立場を明確に伝えた。これに対し、両国からCTBT発効まで核実験モラトリアムを継続する旨の確認を得た。両国ともCTBT署名についてのコンセンサス形成に最大限努力することは明らかにしつつも、署名時期についての直接的なコミットメントがなかったことに鑑み、我が方の経済措置を見直すことはしなかったが、インドに対しては、継続中の円借款二案件の追加的資金供与を、パキスタンに対しても、「パ」の経済状況等を勘案し、一件の円借款の追加的資金供与に対し前向きに対応する旨伝え、CTBT署名に向けての一層の努力を求めた。今後の核不拡散分野の一層の進展と、全面的な経済措置の解除に向けての第一歩となることが期待される。
- 今回の訪問において、G8サミットの結果を踏まえ、インド、パキスタンの対話の再開を両国に強く求めた。両国とも原則的に対話の必要性は認めているが、カシミールの「越境テロ」の問題を巡り両国間の立場が完全に食い違っており、すぐに対話が再開される見込みはない。しかし、森総理が印「パ」間の緊張に懸念を表明し、日本としても、南西アジアの信頼醸成や、SAARCの活動に対する支援を拡充していく姿勢を示したことは、同地域への我が国の関与を印象づけるものであった。
- バングラデシュ、ネパール両国は、南西アジアにおける安定勢力であるが、両国の民主化及び経済発展に対する我が国の協力に対する深甚なる謝意が表明されたのに対し、我が国からは、今後も積極的に支援を行っていくことを表明した。また、核不拡散や地域の安定の問題、国連改革等の問題に関しても、協力を行っていくことを確認し、両国との間で一層の関係強化が図られた。特に、ネパールは半日の短い滞在であったが、日本の総理としては歴史上初めての訪問であり、沿道を小中学生を含む市民が埋め尽くす歓迎振りであった。なお、今回時間の制約上訪問を断念せざるを得なかったスリランカについては、同行の野呂田議員に、総理特使として訪問して頂き、クマーラトゥンガ大統領以下に理解を求めた。
- 今次訪問において、総理が表明した、G8サミットにおける我が国のイニシアティヴであるデジタル・ディバイド対策や感染症対策につき、各国から強い期待が表明されるとともに、今後5年間で高校生を含む5千人の青少年を我が国に招聘する計画や「森フェローシップ」を含む日・南西アジア交流プログラムの実施に対し、高い評価と謝意が表明された。更に、2002年の日印・日「パ」外交関係樹立50周年及び日「バ」外交関係樹立30周年にあたり、先方より天皇・皇后両陛下の訪問招請がなされた。今後、これらの計画を着実に実施していく必要がある。
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