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過去の記録

ファハド国王、アブドッラー皇太子との会談概要


1997年11月10日

I.ファハド国王との会談 (8日 19:30~20:10頃)

1.総論

 極めて良好な雰囲気の中で、国王より、橋本総理のサウディ訪問が両国にとり大変貴重であるとの認識が表明された。総理からの「21世紀に向けた包括的パートナーシップ」に関する提案に対し、国王より全面的に賛同する旨の発言があった。

2.会談のポイント

(1)橋本総理より、概要以下発言。

(イ)21世紀に向けた包括的パートナーシップ
 サウディとの関係は、経済だけに限定すべきではなく、経済以外にも拡大すべきと以前より考えてきており、政治、経済及び新たな分野という3本の柱からなる多角的な二国間関係を構築したい、国王のお許しが得られれば、これを「21世紀に向けた包括的パートナーシップ」と呼びたい。

(ロ)政治分野・要人交流
 国王陛下の日本への御訪問については既に御招待させて頂いているところ、訪日されるのを心待ちにしている。来年春にはサルマン殿下、アンガリ高等教育相が訪日予定。更に、スルタン第二副首相にも御招待しており、この訪日が両国の都合の良い時に実現することを希望。第7回日・サウディ合同委員会の開催に向け、本年末にでも通産大臣を派遣したいと考えている。また、外務次官級の政治協議の定期的な開催を提案したい。

(ハ)経済分野
 二国間の経済関係は基本的に良好。更にこの関係を拡大するため双方で引き続き努力する必要がある。石油については、最近サウディからの石油引き取り量が増大傾向にあるが、今後もこの傾向が続くことを希望。更に、アラビア石油の問題については、これまでも国王陛下より暖かいお言葉を頂いていることに感謝。二国間の協力の象徴であるこの会社が今後とも日本とサウディの関係の一層の発展の中核として発展することを希望。
 日本からサウディへの投資拡大の一手段としてサウディ側でも関心のある投資保護協定の締結に向け交渉を開始したい。具体的な協定案をお渡ししたいので、ご検討願いたい。これにより、日本からサウディへの民間投資が促進されることを期待している。

(ニ)新しい分野
 サウディの国家開発に対する協力を拡充するために以下の四分野での協力につき提案したい。第一に人造り、第二に環境問題、第三に医療・科学技術、第四に文化・スポーツ。これらを「日・サウディ協力アジェンダ」と呼ぶのは如何か。具体的な協力の進め方については、両国次官級を責任者として検討を進め、その結果を国王及び総理に報告し、着実に実施していきたい。このパートナーシップというものをサウディのみならず、他のGCC諸国にも逐次当てはめていき、同様に政治・経済・新しい分野の三分野につき進めていきたい。このことは、自分(総理)の親書をもってGCC諸国に伝える予定。サウディは、湾岸地域のみならず、アラブ世界及びイスラム世界の間で極めて重要な役割を果たしており、その立場から日本とこれら諸国との間につき助言頂ければ幸いである。

(2)ファハド国王より以下発言。
 今回の橋本総理の当国訪問は両国にとり大変貴重であると認識。サウディとしては、現在の両国関係は極めて良好であり、意義深いものであると確信。今総理から話されたことは大変的確であり、今後これらのことを如何に早く進めていくかが大切。これら全てにつき、様々な機会を活用し、種々の委員会の場で検討するのが適切であると考える。特に、投資分野における環境整備は両国にとり意義深い。只今の総理の御提案の全てに賛成であり、これらを具体化し、その進捗状況を総理に伝えていきたい。本日の総理の話につき多大な関心を持って拝聴した。実現に向けて今後十分な努力をしていきたい。総理も強調されたように日サ間における要人交流は極めて重要であり、自分(国王)としてもこれを積極的に進めていきたい。

(3)サッカーのワールド・カップ
 総理より、日本が本日カザフスタンに勝ったことにより、今後のサウディとカタルとの試合の結果次第では、日本とサウディが戦うことになるかもしれない、そうなれば、日本としても正々堂々と戦うが、サウディは強いので、あまり大差で日本に勝たないで欲しい旨発言したところ、国王より、本当は日サ両国ともワールド・カップ本戦に出場できれば良いが、もし日本とサウディが戦って、日本が勝っても、日本はサウディの友人であるから、自分(国王)から日本に祝電を打つ旨発言。それに対し、総理より、サウディが勝った場合には私からも祝電を送りたい旨発言。

II.アブドッラー皇太子との会談(8日 22:40~23:40)

1.人造り

 国王との会談で言及のあった「包括的パートナーシップ」に関する詳細な話が行われた。総理より、日本の教育制度等を紹介するセミナーを開催すること、技術協力拡充のため、現在年間50名程度のJICA研修員受け入れを倍増し3年間で300名くらい増やす用意がある旨提案し、意見の一致がみられた。

2.環境問題

 総理より、アラビア湾の環境モニタリングや野生動植物の保護について協力する旨提案した。

3.「協力アジェンダ」のフォローアップ

 「協力アジェンダ」をきちんと行っていく際のフォローアップのために、日・サウディ合同委員会を活用していくとの点で一致がみられた。

4.WTO加盟

 総理より、我が国はサウディのWTO加盟を支持している、そのために湾岸工業諮問機関(GOIC)を通じ、講師を派遣するが、お役に立てることがあれば伺いたい旨発言したのに対し、先方より、是非そうして欲しい旨発言。

5.COP3

 総理より、COP3について是非御協力を頂きたい、サウディは開発途上国のリーダーであり、産油国のリーダーでもあるので、その橋渡し役を果たして欲しい旨発言したのに対し、皇太子より、基本的には日本を支持する考えである、今後検討してみる旨発言。

6.経済関係

 皇太子より、日サ両国には大きな問題はない、日本には率直に話の出来る友好国である、ただ、サウディとして日本にお願いしたいことは、もう少し石油を買って欲しいということである旨発言。
 それに対し、総理より、これは商業ベースで考えることであるが、最近の状況では、今年の上半期は前年同期比14.3%増大している、そのことをよく分かって欲しい、今後も民間のことではあるが、政府としても状況を見守っていきたい旨発言。


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