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文化財保存に対する我が国の取り組み

平成9年1月14日
文化交流部

 東南アジア地域における豊かな文化的遺産を末永く保存し、個々の文化的多様性を守るため、我が国はこれまでに以下のような文化遺産の保存・修復協力を行ってきている。


1.ユネスコ文化遺産保存日本信託基金

(1)
昭和63年に竹下総理(当時)が訪問先のロンドンでのスピーチで、世界的な文化遺産保存のため、積極的な貢献を行うべきである旨表明されたことを受け、従来より文化遺産保存活動を積極的に行っているユネスコ(国連教育科学文化機関)に、文化遺産保存日本信託基金を平成元年に設立した。我が国は同基金にこれまで計2,015万ドルの拠出を行っている。

(2)
同基金を用いて、世界の文化遺産としてその価値が客観的に認められ、かつ崩壊の危機に瀕しているため緊急の保存・修復が必要とされる遺跡を対象とし、保存・修復作業(工事、専門家及びスタッフの派遣等)及び右作業に密接に関連する事業(事前調査、現地スタッフの研修等)について協力を行っている。東南アジア地域での協力の実績としては、アンコール(カンボディア)、フエ(ヴィエトナム)に加えて、ワット・プー(ラオス)、パガン(ミャンマー)がある。

(3)
特にアンコール遺跡の保存・修復作業は信託基金の最も重要な事業の一つとなっており、94年から4年間の長期プロジェクト(約1000万ドル)を策定の上、事業の実施のため「日本国政府アンコール遺跡救済チーム」が結成された。これまで、11次にわたる調査団(年3回)の派遣と、5人の日本人長期派遣専門家、現地駐在事務所スタッフを含めた約100人のカンボディア人スタッフによる日常活動の運営が行われている。また、毎回調査にはプノンペン王立芸術大学の建築と考古の学生に参加してもらい、共同調査、共同生活を通して、現場研修と講義を行っているほか、現地カンボディア人スタッフに対しても、各人の得意分野に対する継続的な訓練を行う等、カンボディアの人材育成にも協力している。さらに、アンコール遺跡についての国際的協力の意図表明と調整を行うための会合を93年に30カ国、7国際機関の参加を得て東京で開催し(共同議長:日・仏、事務局:ユネスコ)、同会合で採択された「東京宣言」に基づき、国際協力の調整を行うための会議を日仏共同議長の下、計年3回カンボディアにおいて開催している。

2.ユネスコ無形文化財保存振興日本信託基金

(1)
平成4年にユネスコより資金援助要請を受け、平成5年にユネスコで初めての無形文化財保存振興のための信託基金を設立し、平成8年度までに計125万ドルを拠出を行っている。

(2)
同基金の目的は、アジア太平洋地域を対象に、社会体制や生活様式の変化により失われつつある伝統工芸、舞踊、音楽等の無形文化の保存及び振興に協力することである。既にヴィエトナム少数民族伝統工芸図録作成、ラオスでの専門家会議、ミャンマーでの漆技術に関するワークショップ等のプロジェクトが実施されている。また、平成7年には、この地域の無形文化財で早急に手当てが必要なものをリストアップし、その保存のための方途をより専門的な角度から検討することを目的に、「アジア太平洋無形文化財保存国際会議」を14カ国・国際機関から専門家の出席を得て東京で開催した。

3.東南アジア文部大臣機構(SEAMEO)への協力

 東南アジア文部大臣機構は、教育・科学及び文化を通じ東南アジア諸国間の協力を促進することを目的とし、1986年にASEAN加盟各国及びラオス、カンボディアの参加の下、発足した。我が国は同地域の「人造り」及び「国造り」に寄与すべく、1972年以来資金面における協力及び専門家派遣・受け入れを実施してきたが、今年度からは日本特別協力計画として10万ドルを同機構の下部組織でバンコックにある考古学・美術センターに拠出し、文化財遺産保存に関する人材養成に協力する予定。


4.文化無償協力

 文化無償協力は、我が国の文化交流における国際文化協力の一環として、1件5000万円を限度として、文化財及び文化遺跡の保存や活用、文化関係の公演や展示の開催、教育及び研究の振興のために必要とされる資機材を購入するための資金を贈与するものである。文化無償協力により文化財・遺跡保存関連の機材として、これまで東南アジア地域に各国の博物館に対する展示、記録機材やタイのスコータイ遺跡修復機材など、計19件、7億8990万円の協力を実施している。


5.世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)

 世界遺産条約は、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的として第17回ユネスコ総会において採択された。同条約に基づき、ユネスコに、顕著な普遍的価値を有する遺産の保護のための政府間委員会(世界遺産委員会:21カ国で構成)が設置され、我が国は平成4年に同委員会に加入し、平成7年12月より、同委員会の副議長を務めている。同委員会は、締約国が提出する当該締約国の領域内の遺産の目録に基づき、かつ、同委員会が定めた基準に従って「世界遺産一覧表」を作成し、同一覧表に記載された物件に関し、締約国が表明する国際的援助の要請を検討し、同委員会が実施する援助の性質及び範囲並びにその活動の優先順位を決定する。また、同一覧表に記載された物件を保護するための「世界遺産基金」を信託基金として設立しており、我が国は、締約国中、米国に次ぐ2番目の拠出(平成8年度は、約56万3千ドル)を行っている。


6.国際交流基金

 国際交流基金においても、文化遺産の保存・修復に協力するため日本人専門家派遣や海外の専門家の招聘等の事業を行っている。特に、平和友好交流計画の一環として平成7年10月に設立された国際交流基金アジアセンターは、知的交流、国内におけるアジア理解促進と並びアジア地域における文化振興支援を事業の3本柱の一つとしている。有形文化財については、美術・工芸品や古文書などの修復、保存や公開、また無形文化財については、音楽、舞踊、工芸技術などの記録や担い手育成を目的とした事業に対して協力している。具体的なプロジェクトとして、例えば東南アジアのテキスタイル研修ワークショップ、クメール伝統織物研究所に対する支援などがある。

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