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橋本総理の中南米訪問


中南米訪問の目的
-アジアと中南米:新時代のパートナーシップを求めて-



 橋本総理大臣は、来る8月20日より10日間、メキシコ、チリ、ブラジル、ペルーを訪問します。メキシコでは7年振り、ブラジル、ペルーでは14年振り、そしてチリでは37年振りの我が国総理の訪問となり、各国とも総理受け入れの準備を急ピッチで行っております。

1.訪問の背景

 中南米は90年代に入り政治の民主化、経済の自由化、経済統合の進展を通じ、「失われた80年代」から「安定と発展の90年代」へと大きく脱皮しましたが、こうした背景から中南米のアジア太平洋地域に対する関心が高まっており(こうした証左として、93年メキシコ、94年チリのAPEC参加が挙げられます)、近年「来日ラッシュ」とも言える数の中南米要人が日本を訪問しています。本年に限っても、7月までに4名の国家元首ないし首相及び9名の外相が来日しました。本年は我が国から、7月には斎藤参議院議長(メキシコ、チリ)、小川外務政務次官(チリ、ウルグァイ、パラグァイ、アルゼンティン)が相次いで中南米を訪問し、まさに日本と中南米の双方向でより緊密な友好関係が築かれるよう様々な努力が行われています。また昨年は日本・ブラジル修好100周年に当たり、その一環として、清子内親王のブラジル訪問(95年11月)、カルドーゾ大統領の来日(96年3月)が行われたほか、両国で様々な記念事業が展開されました。ここ数年、我が国は多くの中南米諸国と相次いで修好・移住100周年を迎えることとなっており、日本と中南米の伝統的な友好関係に立脚したより緊密な関係を求める機運が高まっています。
 中南米は、80年代の累積債務、低成長、ハイパーインフレーションを脱却して大きく様変わりをしています。民主的価値を共有し政治的連帯を深めつつ、地域経済統合を進め域内貿易の活性化と域外との積極的な関係強化を図り、今やアジアに次ぐ世界経済第二の成長センターとなっています。米国と中南米との関係もかつてなく良好であり、2005年までの交渉終了に向けた米州自由貿易地域(FTAA)創設のためのプロセスが進展しています。こうした政治面、経済面で国際的な重要性を増しつつある中南米地域に対して、米・EU等は政治対話を活発化しているほか、民間でも中南米との経済関係、特に対中南米直接投資が拡大の一途にあるという情勢です。こうした中南米の実情に対する認識は、未だに日本国内ではあまり広まっていない様に見られますが、今回の橋本総理の中南米訪問を通じて、日本国内でも理解が一層深まることが期待されます。

2.橋本総理と中南米との関わり

 橋本総理は、永年にわたり中南米を重視し、これら諸国との関係強化に尽力してこられました。その背景には、総理自身が政界に進出する以前、紡績会社に勤務していたときに、奇しくも我が国の戦後の対中南米投資第1号となったエルサルバドル向け投資(紡績工場建設)プロジェクトに関わった経験によるものもあったようです。また、80年代末から90年代初めにかけて、当時の大蔵大臣として中南米の累積債務問題の解決に貢献されました。特に、1991年には、当時国際金融社会から外れていたペルーの国際金融社会復帰のため、ペルーの支援国グループ結成に尽力し、国際収支救済のためのブリッジローンを実現させ、以降、ペルーは橋本総理を国家再建の功労者として、深い敬意を払っています。

3.訪問の意義:新時代のパートナーシップを求めて

 今回の橋本総理の中南米訪問には次の3つの意義があります。

(1)日本と中南米の新時代のパートナーシップの構築
 中南米は、東アジアに次ぐ世界の成長センターとなっており、近年アジア太平洋地域への関心を高めております。太平洋を挟みダイナミックな発展を遂げるアジア地域と中南米地域の相互交流の拡大が望まれる中で、今次総理訪問を通じ、日本と中南米との幅広い分野にわたる新時代のパートナーシップを構築することが期待されています。

(2)21世紀に向けての国際協力の拡大
 中南米は、人口、食糧、資源、エネルギー、環境、麻薬など、グローバルな課題の解決において鍵を握る地域の一つであります。我が国は中南米諸国の民主化・経済改革努力を高く評価するとともに、民主化と経済改革への支援(「2つのD」:Democracy & Development)を引き続き対中南米外交の基本としつつ、今次総理訪問を通じ、国連改革、軍備管理・軍縮、WTO等を含め、21世紀に向けての人類的課題の解決のために中南米諸国との国際協力の一層の拡大を図ります。

(3)新たな100年に向けての日本と中南米との友好協力関係の強化
 前述の通り、ここ数年我が国は中南米諸国と相次いで修好・移住100周年を迎えることとなっており(97年:メキシコ、チリ、98年:アルゼンティン、99年:ペルー)、一つの歴史の節目にあります。中南米は伝統的に親日的な地域であり、海外最大の日系人社会(約150万人)が存在し、また豊富な天然資源に恵まれた潜在力と将来性に富んだ地域でもあります。こうした中で、総理の訪問は、新たな100年に向けての中南米との友好協力関係強化のスタートをきる上で重要です。



日本と中南米:新時代のパートナーシップを求めて


1.日本と中南米の新時代のパートナーシップの構築
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中南米は90年代に入り政治の民主化、経済の自由化、経済統合の進展を通じ、 「失われた80年代」から「安定と発展の90年代」へと大きく脱皮し、今や東アジアに次ぐ世界の経済成長センターとなっている。
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太平洋を挟むアジアと中南米とのダイナミックな交流が始まりつつある中で、中 南米諸国の我が国をはじめとするアジア諸国に対する期待と関心が一層高まっている。このような状況の中で、今次総理訪問により、日本と中南米との幅広い分野にわたる新時代のパートナーシップを構築することが期待される。


2.地球規模問題解決のための国際協力の拡大
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中南米は、人口、食糧、資源、エネルギー、環境、麻薬など、グローバルな課題の解決において鍵を握る地域の一つである。また、中南米は、民主主義・市場経済等の共通の価値観を持ち、ラ米非核地域条約を他に先駆けて発効させる等国際社会の安定勢力として、近年その発言力を増大させている。
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このような状況を踏まえ、我が国は中南米諸国の民主化支援と経済改革支援 (「2つのD」:Democracy & Development)を引き続き対中南米外交の基本としつつ、今次総理訪問を通じ、国連改革、軍備管理・軍縮、WTO等を含め、21世紀に向けての人類的課題の解決のために中南米諸国との国際協力の一層の拡大を図る。

3.新たな100年に向けての友好協力関係の強化
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ここ数年、我が国は中南米の主要国と相次いで修好・移住100周年を祝賀することとなっており、ひとつの歴史の節目にある。こうした中で、総理訪問は、新たな100年に向けての中南米との友好協力関係強化のためのスタートをきる上で重要である。
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中南米は伝統的に親日的な地域であり、海外最大の日系社会(全体で約150万人)が存在する。また、天然資源と経済的活力に恵まれ、我が国と広範な協力関係を築いていく潜在力と将来性に富んだ地域でもある。






訪問国・国別主要テーマ


 1.メキシコ(89年の海部総理以来7年ぶりの総理訪問)
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94年末の通貨危機に起因する経済困難から立ち直るため、自由開放経済政策と政治改革を維持しつつ努力しているセディージョ政権の真摯な姿勢を評価し、支持を表明する。
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97年の日本人移住100周年を祝賀し、これを契機とする二国間関係の一層の拡大につき合意する。また、国連、APEC等においても協力関係の強化を呼びかける。


 2.チリ (59年の岸総理以来37年ぶり)
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徹底した経済自由化と90年以降の民主化を通じ、経済パフォーマンスで「中南米の優等生」となっていることを評価するとともに、努力の継続につき期待を表明する。チリのアジア太平洋重視政策を歓迎し、APEC等での協力関係の強化を呼びかける。
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97年の修好100周年を祝賀し、これを契機とする二国間関係の一層の拡大に つき合意する。


 3.ブラジル(82年の鈴木総理以来14年ぶり)
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95年の日・ブラジル修好100周年の祝賀、本年3月のカルドーゾ大統領の訪日による両国関係の緊密化を更に促進するよう確認し合う。
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カルドーゾ政権の経済安定化努力を評価し、行財政・経済改革の成功に対する期待を表明する。また、国連改革、WTO・経済統合等をはじめグローバルな課題について中南米の大国ブラジルとの対話を強化する。


 4.ペルー (82年の鈴木総理以来14年ぶり)
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フジモリ大統領のテロ撲滅、インフレ抑制等の業績を高く評価し、大統領の国家再建努力に対する我が国の支持と支援を表明する。
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99年の日本人移住100周年を一つの目標に両国関係を一層緊密化するよう呼びかける。

5.中米 (我が国総理としては史上初)
 (コスタ・リカに立ち寄り、中米各国首脳と会談予定)
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我が国はこれまで、中米諸国の内戦後の和平達成、経済復興、民主化及び市場経済化を積極的に支援しているが、今後ともかかる政策を継続・強化していくことを表明する。
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我が国総理の初めての中米訪問を通じ、日本・中米「対話と協力」フォーラム等による政策対話をさらに拡大・深化させ、中米諸国との一層の関係強化を図る。

【参考データ】
1.主要国の日系人数(推定)
ブラジル:130万人   ペルー:8万人
メキシコ:1.5万人   チリ :0.2万人
2.我が国と中南米諸国との修好・移住100周年
95年:ブラジル修好100周年
97年:チリ修好100周年、メキシコ移住100周年
98年:アルゼンティン修好100周年
99年:ペルー移住100周年
3.歴代総理の中南米訪問
59年・岸総理:メキシコ、ペルー、チリ、アルゼンティン
74年・田中総理:ブラジル、メキシコ
80年・大平総理:メキシコ
81年・鈴木総理:メキシコ(南北サミット出席のため)
82年・鈴木総理:ブラジル、ペルー
89年・海部総理:メキシコ
4.中南米のアジア太平洋への関心の増大
(1)APEC
 メキシコは93年、チリは94年にAPEC参加。
ペルー、コロンビア、エクアドル、パナマ等も参加を希望。
 ブラジルはオブザーバー参加を希望。
(2)近年、アジア・中南米諸国間の経済交流が活発化。双方の政府・民間関係者が多数相互訪問。


【訪問国基礎データ】
メキシコチリブラジルペルー中米6カ国
人  口
(1996年)
9550万人1450万人1億6440万人2420万人3162万人
面  積
(万平方キロ)
195.875.7851.2128.550
G N P
(億ドル・1994年)
3,6875015,363441399
一人当たりGNP
(ドル・1994年)
4,0103,5603,3701,8901,262
元 首 セディージョ大統領フレイ大統領 カルドーゾ大統領フジモリ大統領 (注)
外 務 大 臣グリア外相インスルサ外相ランプレイア外相トゥデラ外相 (注)


(注)中米6カ国の元首・外務大臣
コスタリカグァテマラホンデュラスエルサルヴァドル ニカラグァパナマ
元首フィゲーレス大統領アルスー大統領レイナ大統領カルデロン大統領チャモロ大統領ペレス・バヤダレス大統領
外相ナランホステインウルビソゴンサレスレアルアリアス


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