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過去の記録

小渕外務大臣の訪米

平成9年12月6日

●小渕大臣はオタワにおける対人地雷全面禁止条約署名式御出席後、4日から6日にかけて米国を訪問した。

●この間、ゴア副大統領、バーガー大統領補佐官、ルービン財務長官、コーエン国防長官、バシェフスキー通商代表と会談したほか、ロス上院議員始め米側議員、米国プレスとの懇談を行った。(オルブライト国務長官は急遽訪欧のため、不在)

●日程(現地時間(日本時間はプラス14時間))は以下の通り。

4日(木)  16:50~17:35  : ゴア副大統領との会談
  17:50~18:25  : バーガー大統領補佐官との会談
5日(金)  08:00~ 09:00 : 米連邦議員との朝食会
  09:30~10:00  : ロス上院議員との会談
  10:35~11:15  : ケネディ夫人との懇談
  12:00~13:30  : 米国人プレスとの懇談
  14:10~14:50  : ルービン財務長官との会談
  15:00~15:30  : コーエン国防長官との会談
  16:30~17:00  : バシェフスキー通商代表との会談
  19:30~ 邦人プレスとの懇談

●各会談等の概要、次のとおり。

1.ゴア副大統領との会談

(1)冒頭、小渕大臣より、自分はフォーリー大使とは長年の友人であり、日本における「フォーリー派」の一人である旨述べたのに対し、ゴア副大統領より、自分もフォーリー派であり、フォーリー派同士仲良くしたい、旨の応答があった。

(2)会談の主なやり取りは以下の通り。

(イ)COP3

(ゴア副大統領)米国の代表として交渉を任せているのはアイゼンスタット国務次官であり、自分は交渉のモメンタムを生み出すために京都を訪問する。差異化については、日本の立場に近づけるための大きなステップを取った。数値目標は現実的で達成可能なものでなくてはならず、現在の米国案でも25-30%の削減となる。米国は6種類の温室効果ガスを対象とすることを提案している。米国が議定書に参加するための条件は、(a)排出権の取引、(b)クレジットつきの共同実施、(c)途上国の意味のある参加の3点。現在、米国から見て合意のための要素が出揃っていないが、京都会議の成功に向けて日本を支援したい。

(小渕大臣)貴副大統領の京都訪問を歓迎。米国が差異化を認める動きがあるとの報告を受けているが、途上国参加についても柔軟な対応を期待する。今般、米・EU首脳会議が予定されている由であるが、EUにも合意に向けて働きかけていただきたい。

(ロ)アジア経済

(小渕大臣)韓国への金融支援には米国も日本も協力したところ、今後も日米間で協力していきたい。

(ゴア副大統領)本問題については、引き続き協力したい。

(ハ)日本経済

(ゴア副大統領)日本が預金者保護のために公的支援を実施するとの立場を歓迎。アジアのためにも内需主導による成長、安定した金融市場が重要。例えば、航空交渉の決着等、市場開放に向けての規制緩和努力を期待しており、バーミンガム・サミットまでに成果が上がることを期待。

(小渕大臣)ご意見を受け止める。日本も自己責任の原則に従い変化しつつある。

2.バーガー国家安全保障補佐官との会談

(1)日米関係全般

(小渕大臣)日米関係は安全保障・経済を含め基本的に良好である。

(バーガー補佐官)日米関係は過去にないほど強固な関係にあるという点は同感。

(2)韓国への金融支援

(小渕大臣)IMFとともに日米が協力して事態が好転することを期待。

(バーガー補佐官)クリントン大統領は橋本総理が韓国の金融問題に非常に適切に対処されたことを評価している。

(3)アジア経済と日本経済

(バーガー補佐官)アジアに再び成長をもたらすことのできる国は日米二カ国のみ。米としては、内需主導の日本の経済成長、安定した金融システム、日本の経済成長率の上昇が重要と考えている。

(小渕大臣)アジアの経済問題を含めて、米国が非常に大きな力を有しており、わが国も責任を有していることを十分に認識。日本は非常に厳しい経済環境にあるという現状はあるが、日本は責任を自覚しており、そのような観点からも対韓支援を行った。いずれにしても金融不安が起きないように万全を期す。

(4)KEDO

(小渕大臣)KEDOについて米国の協力を期待したい。日朝間で9回目の国交正常化会談が行われることを期待している。

(バーガー補佐官)日本と同様、このプロジェクトを完成させることが非常に重要であるとの考えを共有。日朝間の話し合いが始まることを喜んでいる。四者会合の本会合が始まることとなるが、このプロセスを通じて南北間の緊張が緩和されることを期待したい。

(5)日米安全保障体制

(バーガー補佐官)日米安保関係については非常に強固な良い関係。今後の問題としては、ガイドラインの作業を着実に進めることが重要であり、またSACOの最終報告が実施されることを期待している。

(小渕大臣)御指摘の通り、普天間基地を含むSACOの最終報告を着実に実施していくことが大事であり、またガイドラインを着実に実施していきたい。

3.連邦議員との朝食会

(1)米側出席者はビンガマン上院議員(民)、リーチ下院銀行委員長(共)、ビーライター下院国際関係委アジア太平洋小委員長、ピートライ下院議員(共)の4名

(2)主なやりとりは以下の通り。

(イ)議員側より、最近のアジアの金融情勢及び韓国に対する金融支援策について大臣の見解を求めたのに対し、大臣より、最近のIMF合意に基づく我が国の対韓国支援につき説明。さらに、これらの国は現在金融的な困難に直面しているが、経済的な潜在能力はあるので、現在直面している困難を乗り越えれば、安定的な経済成長を取り戻すのではないかとの見解を表明。

(ロ)大臣より、アメリカの対IMF支援について、米議会の立場を照会したのに対し、議員側より、中絶を行う国際機関への拠出に関する問題との関連で問題が生じているが、将来的には本件は解決されると考える旨表明。

(ハ)議員側より、最近米国議会においてファストトラック法案が通らなかったことに見られるように、自由貿易に後ろ向きの動きが出ている中で、アジア経済情勢から来る対米黒字の増大、及びKEDOの軽水炉問題の影響につき議員より懸念表明、大臣より、アジア金融問題につき、日米が協力して対処していくべき、KEDOについては、米の支援も得て、いままでの努力が無駄にならないように成功させたいと述べた。

(ニ)その他、北朝鮮情勢、韓国の大統領選挙について意見交換が行われた。

4.ロス上院議員財政委員長との懇談

 おもにアジアの金融情勢、我が国の対応策について意見交換が行われた。

5.エセル・ケネディ夫人(故ロバート・ケネディ未亡人)との懇談

 小渕大臣はエセル・ケネディ夫人をヴァージニア州の自宅に訪れ、お茶を共にしつつ懇談した。懇談では、小渕大臣も参加した1962年の故ケネディ司法長官による早稲田大学での講演等のエピソードが話し合われた。また、ケネディ夫人より京都を訪問したいとの希望が述べられたのに対して、小渕大臣よりご招待するので是非来ていただきたい旨述べた。

6.米国人プレスとの昼食懇談会

(1)米国人プレスの出席者は、フレッド・ハイアット論説委員(ワシンポスト)、クレイ・チャンドラー記者(ワシントンポスト)、デイビッド・サンガー記者(ニューヨーク・タイムズ)、キョウコ・アルトマン・CNNレポーター、ボブ・ディーンズ記者(コックス・ニュースペーパー)の5名。

(2)主要な話題は以下の通り。

(イ)故ロバート・ケネディ司法長官とのエピソード

(ロ)昨日のゴア副大統領との会談に触れつつ、京都会議に臨むわが国の姿勢、会議の見通しについてのやりとり

(ハ)日本の経済状況、アジアの経済問題についての質疑応答

7.ルービン財務長官との会談

(1)アジア経済

(ルービン長官)タイ、インドネシア、韓国等の困難において、IMFを中心とする日米協調により有意義な成果を挙げられたことを喜んでいる。

(小渕大臣)日本が米国とともに対応することにより、アジア経済を成長の軌道に戻し、経済の安定の回復が可能となることを確信している。

(2)日本経済

(ルービン長官)内需主導の成長を回復することを期待するとともに、それがアジア、ひいては世界経済に貢献すると考える。これはクリントン大統領が常々述べていることでもある。金融システムについては、現在日本が取っている措置に注目している。

(小渕大臣)日本経済が有する国際的責任は十分自覚しており、わが国の経済のあり方がアジア、米国にも影響を及ぼすことは自分も認識している。金融不安が生じないために必要な措置をとっており、その結果不良債権の回収が進んできているが、まだ金融機関に対する不安が見られることから、具体的措置が現在検討されているところ。今後米国とも協力して、わが国として相応しい国際的役割を果たしていくため努力していきたい。

8.コーエン国防長官との会談

 話題としては日米防衛協力の指針、沖縄、対人地雷、駐日米軍経費、国防長官の訪日。

(1)防衛協力の指針

(コーエン長官)ガイドラインについての合意は喜ばしい。

(小渕大臣)9月のNYにおける合意を覚えている。来週、国会審議が予定されている。

(2)沖縄

(コーエン長官)普天間基地の問題は、沖縄県民に負担をかけていることもあり、できる限り早く解決したい。

(小渕大臣)普天間基地の問題は、クリントン大統領と橋本総理が努力して進めてきたが、住民投票を控え、政府を挙げて地元の合意の取付けに努力している。現在も官房長官(外相代理)及び沖縄担当大臣が、沖縄の指導者と会談している。

(3)対人地雷

(コーエン長官)日本の条約署名は承知。米軍がアジア太平洋地域で任務を果たし得るよう、日本政府と緊密に協議していきたい。

(小渕大臣)特に朝鮮半島問題の関係で米国がおかれている立場は十分理解。日米安保体制を損なわぬよう緊密に協議を継続したい。

(4)駐日米軍経費負担

(コーエン長官)米議会・政府とも、大幅削減がなされることを懸念。

(小渕大臣)厳しい財政状況下にあるが、日米安保体制に実質的影響が及ばないよう努力している。

(5)コーエン国防長官の訪日

(コーエン長官)湾岸情勢悪化のためアジア訪問の延期を余儀なくされたが、1月中・下旬にアジア訪問を行う際には訪日を実現したい。

(小渕大臣)明年1月に訪日される貴長官をフォーリー大使と共にお迎えしたい。

9.バシェフスキー通商代表との会談

(1)先方より以下について発言

(イ)フィルム
 (5日に発表された)WTOの中間報告については、未だ十分読んでいないので、今後内容につき検討を行うこととするが、その後如何に対応するかについては日米間で協議して参りたい。

(ロ)規制緩和
 先般の日米首脳会談で、クリントン大統領はバーミンガム・サミットまでに 具体的な成果を挙げることが重要である旨強調したが、それによって両首脳で 合意したイニシアティヴが成功したことを示す必要がある。

(ハ)自動車・同部品、紙、板ガラス、保険
 かかる分野における既存の日米間の取り決めの誠実な実施を重視している。

(2)以上に対し、小渕大臣より以下の旨応答。

(イ)今次訪問は、個別問題について交渉することを目的とするものではなく、日米間の重要な一部を成す通商・投資を担当する貴代表と面識を得ることを目的とするものである。但し、わが国は、両国間で合意された内容については常に誠実に実施しており、自分としてもその遵守を確保する決意である。

(ロ)規制緩和については、バーミンガム・サミットに確認できる成果を挙げるべく努力したい。

(ハ)今後とも、必要に応じ貴代表と連絡を取り合っていきたい。

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