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銭其シン中国副総理との会見
(概要)平成12年8月29日
- 8月29日、訪中中の河野外務大臣は、本邦午後7時から約40分、釣魚台国賓館において銭其シン中国副総理と会見し、引き続き会食したところ、概要次のとおり。
なお、冒頭、銭副総理より、6月の訪日の際の暖かい歓迎に謝意の表明があり、今次訪中は成功と聞いている旨述べたのに対し、河野大臣より、小渕前総理の葬儀参列に謝意を表明した。1.日中関係
(1)河野大臣より、日中二国間関係は概ね順調であるが、21世紀を前に、より信頼し得る関係とするため、朱鎔基総理の訪日を意義あるものにしたい、両国間の問題につき、唐家セン外交部長との会談の中で、信頼関係を構築するための措置をとることで一致できた旨発言。
(2)これに対し、銭副総理より、二国間関係について、誤解や障害があるかもしれないが、これをなくすために、双方が真剣に対処すべきである、そのために、我々は多くの仕事をしてきた、全体としては望ましい方向に進んでいる旨発言。日中間のどのような問題でも解決できない問題はなく、必ず解決できると確信する旨述べた。
2.地域情勢
河野大臣より、今回の訪中の目的は(A)朱鎔基総理訪日の準備、(B)日中関係における問題についての議論及び(C)地域情勢について中国首脳から話を聞くことの3つである旨述べ、朝鮮半島情勢、台湾情勢、ロシア情勢についての中国側の見方を照会した。これに対し、銭副総理より次のとおり。
(1)朝鮮半島情勢
- (イ)北朝鮮については、6月の自分(銭副総理)の訪日以後の情勢は好ましい方向に発展していると思う。日朝国交正常化交渉も再開され、かつ非常に雰囲気がよかったと聞いている。
(注)日朝交渉についてこれ以上の言及はなく、河野大臣よりの発言もなかった。(ロ)朝鮮半島情勢は一部に変化が生じているし、全体として緩和の方向に進んでいると見ている。但し、用心深く対応すべきである。よい雰囲気をつくることは簡単ではないことに加え、この問題の解決については、まだ、一定の時間とプロセスが必要と見ている。
(ハ)北朝鮮の衛星やミサイルを一方的に放棄させるのは難しい。一方で、北朝鮮側も、衛星やミサイルを開発なり維持なりしていても問題は解決できないとの理屈を理解しているはずである。また、米国の「ならずもの国家が世界の安全を脅かしている」と主張するやり方を貫くのも難しいであろう。関係方面が接触し、相互理解を増進し、情勢が緩和されていけば、問題は自ずと解決しやすくなるだろう。
- (2)台湾情勢
- (イ)特に大きな変化はない。両岸の人的交流や、経済貿易関係は、絶えず発展している。また、台湾のいくつかの党派の代表団も頻繁に大陸を訪問している。誰もが引き続き台湾海峡に平和が保たれることを期待している。
(ロ)但し、台湾島内の経済状態は芳しくないようである。政局についても、統一なのか分裂なのか、相当意見の食い違いもあって、新たないわゆる政府は様々な難題を抱えている。こうした状況の中で、台湾問題を完全に解決することは容易ではない。
(ハ)かたや、新しいいわゆる政府で台湾を直ちに独立させることも難しいであろう。国際社会は台湾独立を受け入れないし、台湾の各界もこのような認識を徐々に持つようになるだろう。
(ニ)我々は「一つの中国」の原則の下、どんな問題でも話し合えるという立場である。当面は、両岸間の人的交流や経済貿易関係が、ますます発展することを期待している。(河野大臣より、台湾の主張が今のような状況でも、人的交流を進めていくというのが現在の中国の立場と質したのに対し)そのとおり。
(ホ)(河野大臣より、台湾問題については、粘り強い話し合いで問題を解決して欲しい旨述べたのに対し)中国側のねばり強さは十分である。仮に、台湾島内の台独勢力が何らの規制も受けないままであるとすると、危ない状況になると憂慮している。国際社会が「一つ中国」の原則を堅持し、台湾に誤った信号を出して利用されないよう期待する。また、日本にもこの点に注意していただきたい。(これに対し、河野大臣より、我が国は、日中共同声明のとおり、これまでの立場を堅持している、台湾海峡の平和と安定は日本にとっても何としても必要なものと考えている旨発言。)
(ヘ)米国では大統領選挙が行われているが、いずれにせよ、全体として、米は台湾問題に対する姿勢を維持していくだろうとの認識を有している。PNTR(恒久的最恵国待遇付与法案)の問題については、その状況を見ていきたい。(これに対し、大臣より、WTOについては、我が国は世界に先駆けて中国と早い段階で合意した、中国が国際社会の経済ルールの中で発展していくことを期待している、国際経済の同じルールで中国が経済を進めていくことは、米にとっても利益となる、やがて結論は出るであろうと発言。)
- (3)ロシア情勢
- (イ)ロシアの先般の潜水艦事故やテレビ塔の火災等の動きを受け、ロシア国内では、管理の面で種々の困難が残っているようであり、本来の意味での安定までには相当長いプロセスが必要であろう。
(ロ)中露関係は全体としてはよい。これまでのような中ソ間の深刻な対立とも違い、また、かつての中ソ同盟とも違う、あくまでも全く正常な国家関係との位置づけである。これは、かつての同盟とその後の30年間の対立の時代から汲み取った結論であり、教訓である。正常な国家間関係が一番よいと考え、それを確立したのである。
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