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過去の記録

日中外相会談
(概要)

平成12年8月28日


 8月28日、訪中した河野外務大臣は、本邦時間17時30分から20時30分まで計約3時間にわたり(予定では2時間)、唐家セン外交部長との間で外相会談を行った。
 今回の会談では、(1)日中関係全般、就中、朱鎔基総理の訪日の準備及び(2)日中間で取り組まなければならない案件、特に、(イ)中国海洋調査船及び海軍艦艇の活動の問題及び(ロ)対中経済協力について意見交換が行われた。
 なお、引き続き、唐部長主催の夕食会が行われたが、社交的な話題に終始した。

1.日中関係

(1)日中関係全般

 唐部長より、基本的には日中関係は発展の方向にある、中国は5月に江沢民主席が日中関係についての重要講話を述べたように、対日関係重視の方針で一致しており、今後も努力していきたい旨発言。江沢民訪日の際に合意した友好協力パートナーシップの推進が重要であり、そのためにも、積極的要素を引き出し、消極的要素を抑えていきたい旨発言。これに対し河野大臣も賛意を表明し、朱鎔基総理の訪日は、日中関係を更に発展させていくよい機会である旨発言。

(2)朱鎔基総理の訪日

(イ)日本政府の招待で10月12日から17日の日程で訪日することで合意。双方は、朱鎔基総理の訪日は今年の日中間の最も重要な外交行事であり、この成功に向け緊密に協力していくことを確認。また、朱総理訪日の準備を兼ねて、9月下旬に東京において第18回日中外交当局間協議(外務審議官級)を開催することで合意。

(ロ)唐部長より、朱総理訪日時には、首脳間のホットラインを正式に開通させたい旨発言したのに対し、河野大臣より、日中双方が努力することが重要である旨発言。更に、河野大臣より、江沢民主席訪日時に一致した33項目の協力については、朱総理訪日時に進捗状況を見直し確認したい、特に、9月に日中の主要シンクタンク間で共同研究が開始されることとなった知的交流分野の協力や青少年交流等の進展状況についてもレビューしたい旨発言。また、IT(情報技術)について首脳間で意見交換することも有意義である旨発言。

2.中国海洋調査船及び海軍艦艇の活動

(1)海洋調査船

(イ)河野大臣より、我が国の排他的経済水域または大陸棚において事前の同意なく海洋調査活動を行うことは認められない、中国側より調査活動の目的、対象等につき何ら説明がないことにつき国内の不満は高まっており、日中関係に影響を与えることを懸念しているとして日本国内の厳しい雰囲気を伝えた。その上で、中国側の自制を求めるとともに、事前相互通報の枠組みにつき言及

(ロ)唐部長よりは、本件は日中間において境界画定がなされていないということが問題の本質である旨応答。その上で、双方が、新しい枠組みが境界画定に関する双方の立場に影響を与えないという前提の下、事前相互通報の枠組みを作ることで一致(注1)。また、これを受け、今後、早急に事務レベルの協議を進めることとなった。

(ハ)また、双方は、排他的経済水域及び大陸棚の境界画定の問題を解決することの重要性について確認し、9月下旬に北京において第3回の「海洋法の問題に関する日中協議」 (注2)を開催することで一致した。

(注1)境界画定について、中間線の設定の仕方や通報すべき水域の範囲等の具体的な考えについては議論されず、今後詳細について事務的に協議していくこととなった。
(注2)アジア局参事官が議長。境界画定、海洋調査活動の問題等について議論することとなる。

(2)海軍艦艇

(イ)河野大臣より、5月及び7月に日本近海で行われた海軍艦艇の活動は、日中相互の信頼関係を傷つけるものであるとして、自制を強く求めた上で、説明があればいいと言うものではないが、活動内容及び目的を我が方に説明すべきである、恒常的に信頼関係を醸成するためには、日中安保対話をより頻繁に開催すべきであることを求めた。

(ロ)これに対し、唐部長より、日本側の心配している事態は既に存在しない(注)、中国側としても両国はこれから防衛及び安全保障分野における対話を通じて相互信頼を向上させていくべきと考えている旨発言。

(注)当分の間、中国側が最近日本近海で行ったような海軍艦艇の活動を行わないことを示唆したものと考えられる。

3.経済関係(対中経済協力等)

(1)対中経済協力を巡る動き

(イ)唐部長より、我が国の対中経済協力につき、中国の経済発展に大いに役立っているとの評価の言葉が述べられるとともに、10月には対中経済協力開始20周年を記念するレセプションが開催され、中国側要人も出席を予定している旨発言。

(ロ)これに対し、河野大臣より、対中経済協力を巡り、中国の国防政策についての透明性の欠如、第三国援助についての説明不足等とも関連して、日本国内で中国に対する不満が募っているとして、日本国内の雰囲気を説明。7月中旬より今後の対中経済協力のあり方について検討する懇談会が開始されたことも説明の上、今後、対中経済協力を進めていくためには、両国国民の理解と支持が不可欠であることを強調

(ハ)これに対し、唐部長より、国防政策の透明性向上のために国防白書の発行等の努力を行っている、公表資料等を見てもらえば理解が得られると考える旨回答。また、第三国援助は中国の建国以来、毛沢東主席や周恩来総理が自ら策定した政策であり、いわゆる南南協力または「貧しい友人間の協力」という性格のものであって、日中間の経済協力とは単純に比較できない旨説明。

(注)特別円借款についてのやりとりはなかった

(2)中国における投資環境整備/西部大開発

(イ)唐部長より、西部大開発について、中国政府は現在具体的な構想を検討中である、早ければ朱総理訪日前には発表できると思うので、日本側より理解と協力を得たい旨発言。また、科学技術や環境分野における日中協力の検討も提案。

(ロ)これに対し、河野大臣より、日本からの投資が期待されているが、中国では、広東国際信託投資公司(GITIC)等ノンバンクの債務処理、鉄鋼輸入規制、加工貿易新管理制度、保険会社の認可、日本商工会の認可等の投資環境面での進展が見られず、企業は中国における投資にはリスクが大きいと感じている旨述べ、これらの問題の解決を求めた。

(ハ)唐部長よりは、債務返済については法律に則って、公開、公平、公正の原則に従い処理を進める、債務者の利益は最大限守りたいし、日本の金融機関とのこれまでの良好な関係に鑑み、今後も債務者への配慮に努力したい旨発言。保険分野で日本企業より進出希望があることは承知しており、また、対外開放のスピードを上げたいと考えている分野でもあり、引き続き検討していきたい旨回答。

4.台湾を巡る問題

 唐部長より、台湾を巡る問題についての中国の原則的立場について表明の上、李登輝訪日につき、中国にとっては非常に敏感な問題なので、日本政府は慎重に対応して欲しい旨の希望表明があった。



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