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高村外務大臣の中東諸国及び英国訪問
【概要】平成11年1月22日
1.訪問の概要(1)高村外相は、1月5日から13日まで、英国、エジプト、レバノン、シリア、ジョルダン、パレスチナ自治区、イスラエルの6ヶ国、1地域を訪問し、以下の要人と会談した。
クック英外相 アラファト・パレスチナ自治政府長官 ムバラク・エジプト大統領 アブ・アラ・パレスチナ評議会議長 ガンズーリ・エジプト首相 ワイツマン・イスラエル大統領 ムーサ・エジプト外相 ネタニヤフ・イスラエル首相 ラフード・レバノン大統領 シャロン・イスラエル外相 ホッス・レバノン首相 モルデハイ・イスラエル国防相 アサド・シリア大統領 バラク・イスラエル労働党党首 シャラ・シリア外相 ハッサン・ジョルダン皇太子 ハティーブ・ジョルダン外相 (2)また、パレスチナ自治区訪問中に、パレスチナ評議会において「21世紀に向けた日本と中東との新しい架け橋」と題して、わが国の対中東政策に関するスピーチを行った。その中でわが国のパレスチナ支援策とともに、南レバノン問題解決のための提案(「高村四項目提案」)を発表し、内外マスコミに大きく取り上げられ、注目されることとなった。
2.会談等の具体的概要
(1)中東和平
今回の中東諸国訪問においては、わが国が、中東の平和と安定のために応分の役割を果たしていくという意味で、中東和平に関する積極的関与の姿勢を示すことが最大の眼目であった。この点については大きな成果をあげたと考える。
(イ)パレスチナ・トラック
ワイ・リバー合意の実施に関し、ネタニヤフ首相、シャロン外相に強く働きかけたが、先方は、パレスチナ側に問題があるとの主張を繰り返すのみであった。また、アラファト議長に対しては、5月4日の暫定自治期間終了に向けて一方的な独立宣言という形ではなく、あくまでも交渉による解決を目指して欲しい旨自制を促し、和平プロセスにコミットする限り、わが国はパレスチナ支援を行っていくこと、今後2年間で2億ドルを目途とした支援を行っていくことを改めて伝え、感謝された。(ロ)シリア・トラック
シリアに対しては、安保理決議242、338及び中東和平問題の包括的解決を支援する、即ち、ゴラン高原返還を支持するというわが国の基本的立場を確認しつつ、イスラエルとの交渉のテーブルにつくよう働きかけた。イスラエルに対しても、過去の交渉の経緯を考慮して交渉を再開するよう求めた。他方、双方ともに交渉再開の見通しは全く立たない状況。(ハ)レバノン・トラック(南レバノン問題に関する「高村四項目提案」)
アラブ・イスラエル双方への働きかけの一環として、南レバノン問題に関する「高村四項目提案」を行った。(南レバノン問題に関する四項目提案)
(i) 南レバノンからのイスラエル軍の撤退は安保理決議425の規定通り実施されるべし。 (ii) 右提案は、中東和平問題の包括的解決に資するものであるべし。 (iii) 右撤退の動きは阻害されてはならず、関係当事者はその具体的方法につき、前提条件なく話し合うべし。 (iv) 国際社会はイスラエル軍撤退後の南レバノンの安定化のため支援を行うべし。 大臣自ら、エジプト、レバノン(日本の外相として初訪問)、シリア、イスラエルの各首脳へ具体的な提案に基づき直接働きかけを行ったこと自体が、わが国として初めての試みであった。
(ニ)わが国の対中東政策スピーチ
日本の閣僚として初めてパレスチナ評議会でスピーチを行った。わが国のパレスチナ支援策について述べるとともに、高村四項目提案の発表の場とした。(2)イラク情勢
アラブ側指導者とイラク情勢に関し意見交換を行った。イラクによる関連安保理決議上の義務の履行の必要性、イラク国民の窮状への憂慮、サダム・フセインの立場への非難、及び外交的解決の重要性等につき、アラブ側指導者と基本的な立場を共有した。他方、特にムーサ・エジプト外相は、UNSCOMへの不信感を示すと共に、査察の透明性確保とUNSCOMの活動ぶりの改善が重要である旨指摘。高村大臣よりは、先般の米国の武力行使は、イラクの度重なる安保理決議違反に対する措置であった旨述べた。
(3)二国間関係
(イ)エジプト
ムーサ外相との会談においては、政治、経協、文化等に関する二国間協議の活性化の必要性、貿易、投資の拡大につき議論が行われた。また、先方より円借款を含めた経協の活性化を要請した。(ロ)レバノン
ラフード大統領、ホッス首相に対し日本赤軍メンバーの身柄移送を要請したが、先方は司法府の判断の問題であるとした。(ハ)シリア
シャラ外相よりUNDOFへのわが国部隊の派遣やわが国の経協に対する謝意が述べられた。日本赤軍問題について当方よりシリアの協力を求めたところ、先方は日本の治安の脅威になるものとの理解の下、出来る限りの協力を行うことを約束した。(ニ)ジョルダン
和平プロセスにおけるジョルダン安定の重要性に鑑み、「平和の配当」として今後とも経済的支援を継続していくことを表明。観光セクター円借款に関する署名式も行われた。(ホ)パレスチナ
和平プロセス支援として改めて2年間2億ドルの支援を伝達し、その皮切りとしてガザ空港のインフラ整備等にUNDPを通じ2033万ドルを拠出する旨を伝達。(へ)イスラエル
シャロン外相との会談で、援助協調、航空協定等について議論された。
目次
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