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東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大外相会議個別会合(ASEANプラス1会合)
池田外務大臣ステートメント

平成9年7月29日
於:クアラルンプール

 プラチュアップ外務大臣閣下、
 ご列席の皆様、

 本年、創設30周年を迎えるASEANは、域内各国の信頼醸成と国及び地域の強靱性の強化を主眼として発足し、合意の漸進的な積み上げにより協力関係を深化させてゆくという独自の手法により発展し、今日では広くアジア太平洋地域における秩序形成の一翼を担っています。幾つかの不安定要素を抱えつつダイナミックな発展を続けるこの地域にあって、ASEANが果たしている役割は高く評価されるべきものと考えます。
 また、冷戦構造下での東南アジア地域における対立も今や過去のものとなり、ヴィエトナムの95年の正式加盟に続き、今般、ラオス、ミャンマーが新たに加盟されるに至りました。我が国としては、ASEANメンバーの拡大が東南アジアの平和と安定に資すると共に、ASEANがより一層国際的役割を果たすことを期待しています。
 カンボディアについては、我が国を含む国際社会の大きな努力により達成された和平が後戻りすることのないよう、情勢の改善に向けて引き続き同国の指導者に対する働きかけを行っていく所存であり、ASEAN諸国とも協力を行っていきたいと考えています。

 加盟各国の経済成長を背景として、ASEANがこのように「深化」と「拡大」を続け、国際関係の重要な主体へと成長する中で、日・ASEAN関係もまた、近年、「深化」と「拡大」を遂げつつあります。
 もとより、我が国とASEAN諸国は、従来より緊密な関係を構築してきており、我が国はASEANの最初の対話国として拡大外相会議創設当初より外相レベルでの対話を重ねて参りました。当初、双方の関心事項は、日・ASEAN間の経済協力や文化協力、旧インドシナを巡る諸問題が中心でしたが、現在では、協力がより重層的になり、かつ国際的な視点からの広がりを見せています。
 橋本総理が年頭に「より幅広く奥深い関係の構築」を訴え、対話・交流の強化、文化面での協力の強化、国際社会が直面する諸課題への協力を各国首脳に提案したのも、かかる傾向を加速し、一層の相互理解と政策協調を進めんとするものです。
 橋本総理の提案に各国より賛同いただき、首脳レベルの対話の緊密化のため、本年末に日・ASEAN首脳会議を行うことが決定された他、多国籍文化ミッションの派遣準備やテロに関する情報交換ネットワークの構築という具体的進展が見られたことを喜ばしく思います。

 本年12月の日・ASEAN首脳会議は、日・ASEAN関係の成熟を象徴的に表すものであると同時に、新しい時代に相応しい関係の探求の出発点となる重要な意義を有するものと考えております。協力の方向性の詳細については、日・ASEAN間で今後十分議論していきたいと考えていますが、とりあえず以下の諸分野での協力が重要と考えています。
 まず、政治面では、地域の安全保障の基盤を成す日米安全保障体制に関する意見交換、ARFプロセスの強化、KEDOへの協力等を進め、地域・国際社会の平和と安定を共に支えていきたいと考えます。
 経済面では、ASEANがAFTAの推進やAICOの実施等の経済協力を進めて市場のリンクを強めることにより、企業のより活発な活動のための環境が整備され、貿易・投資関係が一層強固なものとなることを期待しています。
 また、経済協力という観点では、ASEAN域内の経済格差の解消のための支援、人材育成の強化に向けた協力の継続、民間活力の活用によるインフラ整備、ASEAN域内の開発の遅れた地域を対象とするASEANの一部諸国との三角協力等を促進し、地域経済の発展と貧困解消に向け協力していくことが重要と思います。また、我が国は、ASEANが行う他の地域に対する協力を支援したいと考えており、先般バンコクにて開催のアジア・アフリカ・フォーラムの成果を明年の第2回アフリカ開発会議(TICADⅡ)に活かしつつ、アフリカの貧困に共に対処していきたいと考えています。
 更に、各国国民がより良く共生していくために、各国固有の文化の維持・発展に対して積極的に協力すると共に、相互の文化の理解を促進したいと思います。また、文化・芸術交流の促進、知識人、経済人、留学生等の交流、地方レベルでの交流の拡大により裾野が広く豊かな友好関係を構築すべく努力していきたいと思います。
 国際社会のパートナーである日・ASEANが、地域・国際社会の政治・経済協力システムの発展を目して、国連、WTO、APEC、ASEM等における政策協調に努めることも重要です。また、国際社会が直面する諸課題についても、双方で喫緊と思われる分野から、可能なところから徐々に協力を進めていくこととしたいと考えます。
 その分野としては、先にも挙げたテロリズム、環境問題があります。先般、我が国が国連の環境特別総会にて発表した環境開発支援構想(ISD)を推進する中で、東アジア酸性雨モニタリング・ネットワークの様な協力や環境教育の推進等ASEANとの協力を図っていきたいと思います。また、本年12月には地球温暖化防止に向けた2000年以降の国際的取り組みを定める機会となる第3回気候変動枠組み条約締約国会議が京都で開催されます。地球温暖化防止は人類全体が取り組んでいかなければならない問題です。京都会議の成功に向けてASEAN諸国の協力をお願いします。更に、APECの枠組みで議論することを提案している麻薬や銃器の不正取引を含む国際犯罪への対処についても日・ASEAN間でまず作業を進めていくことを模索したいと思います。この他、世界全体の保健・福祉の向上のために昨年12月に沖縄にて行った東アジア社会保障担当閣僚会議のフォローアップ等、様々な分野における協力を今後進めていきたいと考えます。

 本日の外相会議の機会に、既に幾度か事務レベルでも伝達したこれら協力の方向性につき、日・ASEAN間で共通の認識を得て、事務レベルで具体的協力の内容につき議論を深めていきたいと考えています。

 最後になりましたが、我が国との調整国としてこの3年間労をとられたタイ政府に心より感謝申し上げます。



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