第4回ASEAN地域フォーラム:議長声明の骨子
- 1.ARFプロセスの概観
- ARFプロセスは、多国間の安全保障対話・協力の重要なフォーラムに発展しており、全参加国にとって快適なペースで進められており、これにより率直な議論が可能。
- 2.討議された主要事項
- -ミャンマーの建設的関与の努力を含め、繁栄と平和のための東南アジア諸国による緊密な協力及び相互支援を賞賛。ASEANの積極的な役割を歓迎し、ASEAN拡大はこの目的に貢献。
- -97年12月のオタワでの条約署名を意図して、対人地雷の使用、製造、移転等の包括的禁止交渉が9月にオスロで開催されることに留意。ジュネーブ軍縮会議が対人地雷問題のための特別調整者を任命したことに留意。また、地雷除去及び被害者のリハビリの支援に合意。
- -CTBTの大多数による採択を歓迎。
- -南シナ海に関し、国際法及び自己抑制による関係国の平和的解決の探求を歓迎。
- -カンボディアにおける最近の情勢について懸念を表明。カンボディア外相が政治的安定性の回復を支援する上で、ASEANの果たす役割を歓迎したことに留意し、右役割を支持。
- -朝鮮半島情勢に関し、停戦協定の重要性を確認。北朝鮮における食糧不足が安全保障と人々の生活に与える影響に懸念を表明。四者協議の進展及びKEDOによる進展を歓迎。
- -地域における核廃棄物の越境移動を議論。かかる移送は既存の国際安全基準に従い、適切な廃棄物貯蔵施設を持たない国への輸出を禁ずるため国際社会は最大限努力すべき。
- 3.昨年以降のトラック1、トラック2活動報告
- (1)閣僚は、トラック1会合の報告を賞賛をもって留意。また、4つのインターセッショナル活動(信頼醸成措置ISG、捜索救難、災害救助及びPKOに関するISM)の提言を承認。
- (2)閣僚は、予防外交及び不拡散に関するトラック2会合の報告に留意した。
- 4.明年閣僚会合までの活動の計画
- (1)トラック1活動について以下が合意された。
イ.災害救助に関するISMをNZとタイが共催の下に1年間延長。
ロ.信頼醸成措置に関するISGをブルネイと豪の共催の下に1年間延長。
ハ.捜索救難に関するISMに関し、シンガポールがSAR専門家会合を開催。
ニ.PKOに関するISMに関し、EUがPKO訓練ワークショップを開催。
- (2)閣僚は、合意されたが未実施のすべての提案を包括的に見直すよう指示した。
- (3)シンガポール及び英の研究機関が予防外交に関するトラック2会合を共催する提案を歓迎。
- 5.今後のARFの活動
- (1)新規参加国問題については、明年ARF・SOMにおいて、検討を開始。
- (2)ARFプロセスの将来の方向性及び特にCBMと予防外交に関し意見交換を実施した。信頼醸成措置に関するISGに対し、予防外交及び右への取り組み方を明確化するよう要請することに合意した。
参考:トラック1会合における提言の概要
- 1.信頼醸成に関するインターセッショナル支援会合
- (1)安全保障認識に関する対話
- 地域安全保障環境に関する意見交換の継続
- 二国間及び関係国間のCBM協力の継続
- (2)国防政策の公表
- 各国の国防政策についての意見交換の継続
- 国防政策及び防衛交流についてのペーパーの提出
- (3)防衛交流
- (4)国連軍備登録制度
- ARF全参加国の参加奨励
- 国連提出データーのARF参加国間での共有
- (5)その他の信頼醸成措置
- コンタクト・ポイントの定期的改訂
- 演習の事前通報及び視察員参加についての議論の継続
- 軍備管理・軍縮努力への支持
- 海洋分野におけるCBMについての協議の実施
- 各国提出ペーパーの取りまとめ
- 軍民転換に関する情報共有と協力の継続
- 軍事的CBMとともに非軍事的CBMも適切に推進
2.捜索救難に関するインターセッショナル会合
- ARF・SAR訓練センター(既存のSAR訓練施設を指定)のリスト作成
- シンガポール等から行われた訓練協力に関する各種の申し出を歓迎する(9週間の訓練コースの実施、SARに関する専門家年次会合の開催等)。
- 「原則と目的」を閣僚会合で承認するべく、案文を提出(以下将来の協力分野)
(A)SARコンタクトポイントの交換等情報交換のための連絡体制の確立。
(B)遭難者の国籍にかかわらず、利用可能かつ適切な方策を講ずるための協力。
(C)迅速な対応を可能とする手続きの簡素化。
(D)SAR訓練マニュアル及び手続きの標準化。
(E)専門レベル向上のための訓練協力の推進。
3.災害救助に関するインターセッショナル会合
- 以下の事項につき合意すること
(A)災害救助に関するコンタクトポイントの交換
(B)災害救助に関する情報交換及び非公式のネットワークの継続
(C)タイにおいて次回ISMを開催し議論を継続
- 以下を将来的に検討していくこと
(A)経験と訓練の共有を通じ災害準備態勢を向上させるための協力を推進
(訓練コースの実施、専門家ディレクトリーの作成等)
(B)災害派遣の運用力を向上させる(手続きの標準化の範囲の拡大、各国の災
害救助能力及び要求に関する地域的データベースの作成等)
- 4.PKO関連活動
- A.ARF・PKOに関するワークショップ(教官訓練ワークショップ)
- PKO・ISMをPKO訓練に関するフォーローアップ会合のために1年延長。
- 軍事派遣隊の訓練基準に関するワークショップの開催
- 軍事監視員・文民警察監視員の訓練に関する検討結果を国連PKO局に提出。
- 軍事派遣隊の訓練基準の作成のため、その訓練に関する検討結果を提出
- 軍事監視員や文民警察監視員の早期展開のための支援を行う際、経験豊かな人員を含むことが望ましいかを明確化するよう国連PKO局に要請。
- 訓練派遣隊により使用されている任務毎の訓練ガイダンスを発展。
- B.ARF・地雷除去セミナー
- 地雷被敷設国を支援する国際的努力の継続を慫慂。
- 事務総長の下の単一の国連機関が国連地雷除去活動の責任を果たすべき。
- ARF地雷除去セミナー等を通じた地雷除去の計画及び技術の交換を検討。
- すべての被敷設国に利用可能なセミナー議事録の作成。