川口外務大臣のプーチン大統領表敬(概要)
平成14年10月14日
10月14日13時5分(現地時間)から約40分間、訪露中の川口外務大臣がプーチン大統領を表敬し会談を行ったところ、概要以下のとおり。
(ロシア側同席者は、イワノフ外相、プリホジコ大統領府副長官、パノフ在京大使、ロシュコフ次官、ベールィ外務省第二アジア局長、シェフチュク同次長、当方同席者は、丹波ロシア大使、齋藤欧州局長、上月ロシア課長他)
1.小泉総理の訪露
(1) |
小泉総理の訪露が来年1月9日夕刻モスクワ着、10日首脳会談、11日午後モスクワ発の日程で行われることが決定した。
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(2) |
川口大臣より、総理からプーチン大統領への以下のメッセージを伝達した。
(イ) |
朝鮮半島を巡って、貴大統領より、特に自分の訪朝に先立ち支援と助言を頂いたことに感謝。
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(ロ) |
1月の訪露を楽しみにしている。貴大統領と胸襟を開いてじっくりと話し合い、両国関係を前進させていく政治的弾みをつけたい。
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(ハ) |
10月末のAPEC首脳会議の際にも貴大統領と会えるのを楽しみにしている。
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2.朝鮮半島情勢
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プーチン大統領から、国際舞台における協力が進んでいる、小泉総理の訪朝を心から歓迎する、これはアジアにとってのみならず世界にとっても歴史的な出来事であった、六者協議についてはロシアとしてこれに参加する用意がある旨発言した。
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(2) |
これに対し川口大臣より、北東アジアの安全保障に関する六者協議についての日露の考え方は一致している、このような協力は北東アジアの安全保障に役立つものと考える旨発言。
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(3) |
更にプーチン大統領から、小泉総理の訪朝の成功について改めてお祝い申し上げる、これがアジア地域全体に好ましい影響を与えることは疑いない、総理が作られた北朝鮮を巡る肯定的な動きを助長すべくロシアは今後ともパートナーとして協力していきたい旨発言。
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3.平和条約交渉
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プーチン大統領から、日露は共に力を合わせて過去から引き継いだ全ての問題を解決しなければならない、何らかの解決策を見出すべく協力していきたい、日露双方が両国関係の発展を望んでいる旨発言。
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(2) |
これに対し川口大臣から、自分はロシアと取り引きしているビジネスマンとも話したが、両国間で平和条約が未締結となっていることが心理的にマイナスの影響を与えると言っていた、日露関係は大きな潜在力を持っているが、両国関係が完全に正常化しないためにこれを十分に汲み尽くしていないのは誠に残念である、過去の問題を解決し、両国関係を完全に正常化し、両国関係を質的に新たなレベルに引き上げることが大切である、貴大統領のリーダーシップに期待したい旨発言。
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(3) |
プーチン大統領から、まさに日露間に平和条約がないことは誠に悲しむべきことであり、つらいと言っても過言でない、いやもっと遺憾とも言える、日露で一緒に取り組んでいきたい、この問題については今月末のAPEC首脳会議の際にも、また、総理訪露の際にもじっくりお話ししたい旨発言。
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4.その他
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日露経済関係
(イ) |
プーチン大統領より、小泉総理とはカナナスキスで会談して以降既に2回電話会談を行っているが、今後広範囲に日露関係を拡大していきたい、ロシア訪問に向けて内容の濃い行動計画が準備されていると聞いているが、日露間の貿易は増えていない、この水準を高めるべく協力していかなければならない旨発言。
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(ロ) |
これに対し川口大臣から、日本の対露輸出は2001年は対前年度比40%増え、対露直接投資は対前年度比2倍になっている、サハリン1,2の投資は日本の投資にカウントされていないが、サハリン1は30%、サハリン2は45%が日本資本であり、これまでに日本から10億ドルの投資が行われており、今後日本からの投資は総額80億ドルに達する見通しである、日米中露の相互関係は北東アジアの発展と安定のために重要であるが、どの分野をとっても日露関係が最も弱いリンクである、ロシアにおいて貴大統領の進めている改革がある程度進んでいる中にあって、日露関係をこのままにしておくことは日露双方にとって損失である旨述べた。
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(2) |
テロ対策
川口大臣より、2001年9月11日以降、プーチン大統領が西側諸国と協調するとの決断をされたことが国際社会がテロ対策に向けて一致団結する上で大きな要因になったと述べた後、バリ島で発生したテロ事件に触れ、この不幸な出来事は、日露を含む世界各国がテロに立ち向かっていくことが必要であることを再確認するものとなった、この分野での日露協力の可能性は大きい旨述べた。 |
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