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川口外務大臣


日露外相会談(概要)


平成14年10月12日


 10月12日10:00~11:50及び14:50~16:50にかけて、モスクワにて日露外相会談及びワーキング・ランチが行われたところ、概要以下の通り。
(露側出席者)イワノフ外相、パノフ在京ロシア大使、ロシュコフ次官、ベールィ第2アジア局長、ヤコヴェンコ情報出版局長、トクヴィニン外交政策企画局次長、オストロベンコ大臣補佐官、シェフチュク第2アジア局次長代行他。
(日本側同席者)川口大臣、丹波駐露大使、高島外務報道官、齋藤欧州局長、篠田条約局審議官、石井大臣秘書官、上月ロシア課長、今村ロシア支援室長、伊藤在ロシア大使館公使、長内在ロシア大使館公使他。


1.二国間関係(概要)

(1) 日露関係に関する基本認識

(イ) イワノフ外相より、国際舞台における協力、貿易・経済関係における協力、平和条約締結問題の3分野についての協力を続けていきたい、日本との善隣友好に基づく創造的パートナーシップ関係の進展はロシアの一貫した戦略であり、この点から小泉総理の訪露は重要である旨述べた。

(ロ) これに対し川口大臣より、日露関係は相互補完的な関係にあり、経済分野や国際舞台において、協力に向けた大きな潜在的可能性がある、日露関係を質的に新たなレベルに発展させなければならず、そのために平和条約を締結することにより日露関係を正常化しなければならない旨述べた。

(2) 小泉総理の訪露及び日露行動計画

(イ) 小泉総理訪露時に作成される日露行動計画の内容の主要な要素について以下の6点とすることで意見が一致した。
1)政治対話の深化、2)平和条約締結に向けた努力、3)国際舞台における協力、4)経済分野における協力、5)治安・防衛分野における協力、6)文化・人的交流の進展

(ロ) 行動計画に関する議論の関連で、国際舞台における協力、更に経済分野における協力について取り上げられたところ、以下のとおり。

(a) 国際舞台における協力

(i) 朝鮮半島情勢に関し、北東アジアの地域の安全保障に関する六者協議の重要性について意見が一致した。ロシア側からは、右協議が効果的に行われるためには、全ての参加国が同じ権利を有すること、決定はコンセンサスの原則の下で行われるべきことが重要であるとの説明があった。

(ii) 11月13、14日に東京で、茂田国際テロ対策担当大使とサフォーノフ外務次官との間で日露テロ協議を行うことが合意された。

(iii) 日本側から、タジク・アフガニスタン国境地域における麻薬対策プロジェクトに、日本として200万ドルの協力を実施すべくUNDCPと協議中である旨説明した。

(b) 経済分野における協力

(i) 両国の経済関係の発展の可能性について、日本側から日本からのロシアへの輸出が昨年40%増えたこと、対露直接投資が前年度比2倍伸びたこと等を説明した。

(ii) 川口大臣より、サハリンの1,2プロジェクトについて、日本企業がサハリン1,2に各々30%、45%出資しており、同プロジェクトの発展は二国間関係にとって重要である旨述べた。イワノフ外相からは、サハリンと日本を結ぶガス・パイプラインの建設が、経済的のみならず政治的・象徴的な意味においても重要であるとの指摘があった。

(3) 平和条約締結問題

(イ) 日露双方とも平和条約締結問題が日露関係の重要な問題であるということについて認識が一致し、平和条約交渉を継続していくことにつき合意すると共に、平和条約締結問題が行動計画における重要な柱の一つであることについて意見が一致した。

(ロ) 川口大臣より、8月の札幌・根室訪問、出発前の旧島民との会談といったことに言及しつつ、領土問題を解決して平和条約を締結し、もって日露関係を新たレベルに引き上げなければならないとの決意を新たにした、小泉総理の訪露の際に、平和条約問題についても少しでも前進すべく双方が真摯な態度で望むべきである旨言及した。

(ハ) これに対しイワノフ外相より、四島の問題は過去からの遺産であり、領土問題以外で日露関係を発展させていく障害はない旨指摘した。

(4) 対露、対北方四島住民支援

(イ) 川口大臣より、支援委員会を本年度末に廃止する、支援委員会設置協定の終了に関しロシア側と速やかに協議に入りたい旨説明した。同時に、日本センターの事業について、ロシア側からの高い評価もあり、来年度以降も継続・発展させたい、また両国間の経済交流及び文化交流の促進にも資するものとしたい旨指摘した。支援委員会廃止後の北方四島住民支援については、施設建設案件は今後実施せず、真に人道的な支援を行うという方針を説明した。

(ロ) これに対しイワノフ外相より、支援委員会の廃止に関する決定は日本側の権限であり、協議を行うことについての提案に応じる旨発言があった。

(5) サハリン支援

(イ) 川口大臣より、隣接するサハリン州との関係の重要性を認識し、93年よりサハリン州における改革を支援してきたが、支援委員会を廃止する方針となったことに伴い、サハリン支援を従来のような額や形態で継続することは不可能となった旨説明した。同時に、北方四島周辺水域における操業枠組み協定の重要性につき指摘し、今後ともこの枠組みを維持すべきであるとの認識を述べた。

(ロ) これに対しイワノフ外相より、サハリン支援の廃止は枠組み協定の存続に困難な問題をもたらしうると考えられるが、ロシア外務省としては、協定の存続に向けて国内関係者に働きかけていきたい旨述べた。

(6) 「ロシアにおける日本年」

 川口大臣より、6月のカナナスキスにおける日露首脳会談にて合意されたとおり、2003年は「ロシアにおける日本年」が予定されており、成果が上がるよう準備を進めている旨説明した。これに対しイワノフ外相より、文化省ともよく相談したい旨述べた。


2.国際情勢(概要)

(1) イラク問題

(イ) イワノフ外相より、本件に対するロシア側の立場は、イラク問題に関する全ての国連安保理決議を遵守するようイラクに対して求めていく、イラクにおける大量破壊兵器の存在を認めない、国連の査察使が速やかにイラクに戻り活動できるようイラクに対して働きかける、の3点である旨説明。

(ロ) これに対し川口大臣より、イラクに対し最大限圧力をかけるため、再度安保理決議を行い、イラクが査察の即時・無条件・無制限の実施に応じ大量破壊兵器の廃棄を行うよう、国際社会が毅然たる態度を示すべきと考える旨述べた。

(2) 中東和平問題

 国際社会が一体となって対応を決めていくべきであり、カルテットが共同して暫定政権樹立に至るロードマップを作成すべきであるとの点で一致した。

(3) 北朝鮮問題

(イ) 川口大臣側より、小泉総理の訪朝、拉致問題の現状等につき説明の上、特に拉致関係者の死亡について真相の究明を求めているが、ロシアよりも北朝鮮に対し機会を捉えて働きかけていただきたい旨述べた。

(ロ) これに対しイワノフ外相より、小泉総理の訪朝の成果を歓迎するとともに、ロシアは南北朝鮮の双方と良好な関係を築いており、北朝鮮との間のいろいろな問題の解決のためにロシアとして支援する用意がある、またロシアは日本と北朝鮮との間の対話を支持している旨述べた。

(ハ) なおイワノフ外相より、南北朝鮮鉄道の建設とそれをシベリア鉄道に連結させる計画につき、日本からの支持を期待する旨述べた。川口大臣より、このようなプロジェクトの持つ経済的意味を評価しつつ、北朝鮮との関係では、国交正常化の後に経済協力を行うこととされており、現時点では未定である旨述べた。



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